社会保険労務士試験【雇用保険法/徴収法】<令和3年第6問>

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教育訓練給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問において、「教育訓練」とは、雇用保険法第 60 条の 2 第 1 項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する教育訓練のことをいう。

雇用保険法/徴収法 令和3年第6問 A

特定一般教育訓練受講予定者は、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書を添えて管轄公共職業安定所の長に所定の書類を提出しなければならない。

解答の根拠

則101条の2の11の2第1項1号

本問は全体として「教育訓練給付」に関する問題です。

解説からはそれますが、多くの会社員の皆さんが、この「教育訓練給付」の存在を知らない、存在を知っていたとしても活用できていないと思っています。

私は、過去2回利用していますが、毎月支払っている雇用保険料を取り戻す?かと思うくらい、結構な額の給付を受けることができます。

今はリスキリングがブームですので、ぜひ活用しないともったいない「教育訓練給付」を使ってみましょう!

さて、雑談はこの程度にして、解説にうつります。

本肢の根拠条文を確認します。

(特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給申請手続)
第百一条の二の十一の二 教育訓練給付対象者であつて、特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするもの(以下この条において「特定一般教育訓練受講予定者」という。)は、当該特定一般教育訓練を開始する日の一箇月前までに、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(様式第三十三号の二の二)に次の各号に掲げる書類を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない
 担当キャリアコンサルタント(キャリアコンサルタントであつて厚生労働大臣が定めるものをいう。次条第一項第一号において同じ。)が、当該特定一般教育訓練受講予定者の就業に関する目標その他職業能力の開発及び向上に関する事項について、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書

雇用保険法施行規則

まず、「特定一般教育訓練受講予定者」とは、上記にあるとおり「特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者」とあります。

そして、「特定一般教育訓練」とは、一般の教育訓練よりもより高度な・再就職しやすい資格の取得やスキルアップをするための講座に設定されています。

その「特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金」を申請する際には、上記のように「キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書」が添付書類として必要となります。

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第6問 B

一般教育訓練給付金は、一時金として支給される。

解答の根拠

法60条の2 / 行政手引58014

シンプルな1行問題…こういう問題は落としたくないですね。

自信をもって、正誤を判断できるようにしましょう。

本肢の根拠となる行政手引を確認します。

58014(4)支給額等
ロ 一般教育訓練給付金は一時金として支給される。

雇用保険に関する業務取扱要領

このような問題も、実際に自身が教育訓練給付金を受給したことがあれば、覚えているとか押さえているとか以前に、体感で正誤を判断できますね。

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第6問 C

偽りその他不正の行為により教育訓練給付金の支給を受けたことから教育訓練給付金を受けることができないとされた者であっても、その後新たに教育訓練給付金の支給を受けることができるものとなった場合には、教育訓練給付金を受けることができる。

解答の根拠

法60条の3第2項

本肢の根拠条文を確認します。

(給付制限)
第六十条の三
 前項の規定により教育訓練給付金の支給を受けることができない者とされたものが、同項に規定する日以後、新たに教育訓練給付金の支給を受けることができる者となつた場合には、同項の規定にかかわらず、教育訓練給付金を支給する

雇用保険法

イメージとしては「禊は終わった…」という感じでしょうか。

もちろん、不正受給は絶対にいけないことですが、一度過ちを犯したことで永遠にその後も制度利用ができない…というのは、かわいそうです。

なので、リスタートして再び受給要件を満たせば、以前のことは忘れて支給対象となりますよ、ということですね、

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第6問 D

専門実践教育訓練を開始した日における年齢が45歳以上の者は、教育訓練支援給付金を受けることができない。

解答の根拠

行政手引58512

本肢の根拠となる行政手引を確認します。

58512(2)教育訓練支援給付金に係る受給資格の決定
イ(へ)当該専門実践教育訓練の受講開始日において45歳未満であること

雇用保険に関する業務取扱要領

教育訓練支援給付金とは、専門実践教育訓練給付金を受給しようとしている方が、がっつり教育訓練にん取り組めるように、プラスで支給される給付金です。

がっつり取り組む方を対象としていること、また、給付金額も充実していることから、受給条件は以下のように厳しめになっています。

●教育訓練支援給付金の受給要件(厚生労働省パンフレットより引用)
①専門実践教育訓練の教育訓練給付金の受給資格があること
②専門実践教育訓練を修了する見込みがあること
③専門実践教育訓練の受講開始時に45歳未満であること
④受講する専門実践教育訓練が通信制または夜間制ではないこと
⑤受給資格確認時に一般被保険者ではにこと。また、一般被保険者ではなくなった後、短期雇用特例被保険者または日雇労働被保険者になっていないこと
⑥会社などの役員に就任していないこと
⑦自治体の長に就任していないこと
⑧今回の専門実践教育訓練の受講開始日以前に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと
⑨教育訓練給付金を受けたことがないこと(平成26年10月1日前に受けたことがある場合は例外あり)
⑩専門実践教育訓練の受講開始日が令和7年3月31日以前んであること

この条件を全部覚えるのは大変なので、イメージとして「今まで受給したことがなく、中年~若手対象の全日制対象なんだな…」くらいざっくりと押さえておけば、判断ができるのではないかと思います。

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第6問 E

一般被保険者でなくなって1年を経過しない者が負傷により30日以上教育訓練を開始することができない場合であって、傷病手当の支給を受けているときは、教育訓練給付適用対象期間延長の対象とならない。

解答の根拠

行政手引58021-58022

本肢の根拠となる行政手引を確認します。

適用対象期間の延長

58021(1)概要
基準日において一般被保険者等でない者が、教育訓練給付の支給対象者となるためには、基準日の直前の一般被保険者等でなくなった日から1年以内に妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上対象教育訓練の受講を開始することができない日がある場合には、当該一般被保険者等でなくなった日から基準日までの教育訓練給付の対象となり得る期間(以下「適用対象期間」という。)の延長が認められる。

58022(2)適用対象期間の延長が認められる理由
適用対象期間の延長が認められる理由は次の通りである。
イ 妊娠
ロ 出産
ハ 育児(18歳未満の者の育児に限る)
ニ 疾病又は負傷
ホ イからニまでの理由に準ずる理由で住居所管轄安定所長がやむを得ないと認めるもの
<以下略>

雇用保険に関する業務取扱要領

上記のとおり、疾病又は負傷により教育訓練を受けられない場合は、期間の延長が認められます。

傷病手当の支給の有無については特段要件となっておりません。

なお、せっかくなので、その他の「妊娠・出産・育児」も理由となることを併せて覚えておきましょう。

本肢は×となり、本問の正解となります。

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