雇用保険の高年齢雇用継続給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
雇用保険法 令和6年第6問 A
支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が、雇用保険法第17条第4項第1号に掲げる賃金日額の最低限度額(その額が同法第18条の規定により変更されたときは、その変更された額)の100分の80に相当する額を超えないとき、当該支給対象月について高年齢雇用継続基本給付金は支給されない。
法第61条第6項
根拠条文を確認します。
(高年齢雇用継続基本給付金)
第六十一条
6 第一項及び前項の規定にかかわらず、同項の規定により支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が第十七条第四項第一号に掲げる額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)の百分の八十に相当する額を超えないときは、当該支給対象月については、高年齢雇用継続基本給付金は、支給しない。雇用保険法
本肢は、「高年齢雇用継続基本給付金」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、「支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が17条4項1号に掲げる額(その額が第18条の規定により変更されたときは、その変更された額)の100分の80に相当する額を超えないとき、当該支給対象月について高年齢雇用継続基本給付金は、支給しない」とされています。
本肢は○となり、本問の正解となります。
雇用保険法 令和6年第6問 B
就業促進手当(厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上であるものに限る。)を受けたときは、当該就業促進手当に加えて同一の就職につき高年齢再就職給付金を受けることができる。
法第61条の2第4項
根拠条文を確認します。
(高年齢再就職給付金)
第六十一条の二
4 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき就業促進手当(第五十六条の三第一項第一号ロに該当する者に係るものに限る。以下この項において同じ。)の支給を受けることができる場合において、その者が就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは就業促進手当を支給しない。雇用保険法
本肢は、「高年齢再就職給付金」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、「高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき就業促進手当(第五十六条の三第一項第一号ロに該当する者に係るものに限る。以下この項において同じ。)の支給を受けることができる場合において、その者が就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは就業促進手当を支給しない。」とされています。
つまり、就業促進手当と高年齢再就職給付金は、どちらか一方しか支給されないこととなります。
本肢は×です。
雇用保険法 令和6年第6問 C
高年齢再就職給付金の受給資格者に対して再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、基本手当の日額の算定の基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の85に相当する額未満であるとき、当該受給資格者に対して支給される高年齢再就職給付金の額は、支給対象月に支払われた賃金の額の100分の15となる。
法第61条の2第3項
根拠条文を確認します。
(高年齢再就職給付金)
第六十一条の二
3 前条第五項及び第六項の規定は、高年齢再就職給付金の額について準用する。この場合において、同条第五項中「支給対象月について」とあるのは「再就職後の支給対象月(次条第二項に規定する再就職後の支給対象月をいう。次条第三項において準用する第六項において同じ。)について」と、「当該支給対象月」とあるのは「当該再就職後の支給対象月」と、「みなし賃金日額」とあるのは「次条第一項の賃金日額」と、同条第六項中「第一項」とあるのは「次条第一項」と、「支給対象月」とあるのは「再就職後の支給対象月」と読み替えるものとする。雇用保険法
本肢は、「高年齢再就職給付金」に関する問題です。
高年齢再就職給付金の額を整理します。
①賃金の額が、基本手当の日額の算定基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64未満…賃金 × 10/100
①賃金の額が、基本手当の日額の算定基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64以上100分の75未満…賃金 × 逓減率
③賃金の額が、基本手当の日額の算定基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の75以上…支給されない
上記根拠条文のとおり、高年齢再就職給付金の支給基準の割合は、「64%・75%」という2つの基準になりますので、85%としている問題文は誤りとなります。
なお、令和7年の法改正で、高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金の額は、各支給対象月に支払われた賃金の額に100分の10を乗じて得た額となりましたので、併せておさえておきましょう。
本肢は×です。
雇用保険法 令和6年第6問 D
厚生労働大臣が雇用保険法第61条第1項第2号に定める支給限度額を同法第61条第7項により変更したため高年齢雇用継続基本給付金を受給している者の支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額以上となった場合、変更後の支給限度額は当該変更から3か月間、変更前の支給限度額の額とみなされる。
法第61条第7項
根拠条文を確認します。
(高年齢雇用継続基本給付金)
第六十一条
7 厚生労働大臣は、年度の平均給与額が平成二十七年四月一日から始まる年度(この項の規定により支給限度額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年度の八月一日以後の支給限度額を変更しなければならない。雇用保険法
本肢は、「高年齢雇用継続基本給付金」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、高年齢雇用継続基本給付金の支給限度額は見直しが入ることがあります。
見直しが入った場合は即時に適用となり、その時点で支給限度額を超えている受給者は、支給が停止することとなります。
設問にあるような「変更後の支給限度額は当該変更から3か月間、変更前の支給限度額の額とみなされる。」という適用を猶予するようなルールはありません。
本肢は×です。
雇用保険法 令和6年第6問 E
育児休業給付金の支給を受けて休業をした者は、当該育児休業給付金の支給を受けることができる休業をした月について、他の要件を満たす限り高年齢雇用継続基本給付金が支給される。
法第61条第2項
根拠条文を確認します。
(高年齢雇用継続基本給付金)
第六十一条
2 この条において「支給対象月」とは、被保険者が六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月までの期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金若しくは出生時育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかつた月に限る。)をいう。雇用保険法
本肢は、「高年齢雇用継続給付」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、高年齢雇用継続基本給付金の支給対象月は「その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金若しくは出生時育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかつた月に限る。」とされています。
したがって、介護休業給付金・育児休業給付金・出生時育児休業給付金の支給を受けた月は、高年齢雇用継続基本給付金の支給対象月とはなりません。
本肢は×です。