社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和3年第6問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

厚生年金保険法 令和3年第6問 A

第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者であった者は、厚生労働大臣において備えている被保険者に関する原簿(以下本問において「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下本問において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。

解答の根拠

法第28条の2第1項

根拠条文を確認します。

(訂正の請求)
第二十八条の二 第一号厚生年金被保険者であり、又はあつた者は、前条の原簿(以下「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第一号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下この項において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。

厚生年金保険法

本肢は、「記録訂正の請求」がテーマの問題です。

当たり前ですが、記録が間違っているのであれば「直してくれ」と請求できるのは当たり前でありますので、問題文は長いですが、「そりゃそうだろう」と迷いなく「○」と判断できると良いですね。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和3年第6問 B

事故が第三者の行為によって生じた場合において、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る保険給付の受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く。)は、その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額の限度で、保険給付をしないことができる。

解答の根拠

法第78条の25

根拠条文を確認します。

(損害賠償請求権の特例)
第七十八条の二十五 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る保険給付について、第四十条第二項の規定を適用する場合においては、同項中「その価額」とあるのは、「その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じてあん分した価額」とする。

厚生年金保険法

本肢は、損害賠償請求権と保険給付の調整がテーマです、

保険給付の支給原因となる事故が、第三者の行為によって生じた場合で、たまたま事故にあった被保険者が2以上の種別の被保険者であった期間を有する者だった場合は、どのように調整するのでしょうか。

上記根拠条文によると、「それぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額の限度で、保険給付をしない(調整する)ことができる」とされています。

被保険者が想定以上に給付を受けることがないように、しっかりと調整しますよ、ということになりますね。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和3年第6問 C

同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。なお、同一月において2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。

解答の根拠

法第19条第5項

根拠条文を確認します。

第十九条
 同一の月において被保険者の種別に変更があつたときは、前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であつた月(二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、最後の被保険者の種別の被保険者であつた月)とみなす。

厚生年金保険法

本肢は、シンプルに根拠条文のとおりになります。

月の途中で被保険者の種別に変更があった場合には、
・1回変更…変更後の種別
・2回以上変更…最後の種別

とみなす、とされています。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和3年第6問 D

育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定若しくは産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を行うためには、被保険者が現に使用される事業所において、育児休業等終了日又は産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない。

解答の根拠

法第23条の2第1項 / 法第23条の3第1項

根拠条文を確認します。

(育児休業等を終了した際の改定)
第二十三条の二 実施機関は、(中略)育児休業等を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下この条において「育児休業等終了日」という。)において育児・介護休業法第二条第一号に規定する子その他これに類する者として政令で定めるもの(第二十六条において「子」という。)であつて、当該育児休業等に係る三歳に満たないものを養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、第二十一条の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に次条第一項に規定する産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。

(産前産後休業を終了した際の改定)
第二十三条の三 実施機関は、産前産後休業(中略)を終了した被保険者が、当該産前産後休業を終了した日(以下この条において「産前産後休業終了日」という。)において当該産前産後休業に係る子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、第二十一条の規定にかかわらず、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後三月間(産前産後休業終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者は、この限りでない。

厚生年金保険法

上記根拠条文は、
・前者…育児休業等終了時改定について
・後者…産前産後休業終了時改定について
規程されています。

そして、黄色マーカー部分にありますように、いずれも「報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く」となっております。

したがって、問題文にあるように「3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない」というわけではありません。

本肢は×となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和3年第6問 E

被保険者自身の行為により事業者から懲戒としての降格処分を受けたために標準報酬月額が低下した場合であっても、所定の要件を満たす限り、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定は行われる。

解答の根拠

法第23条の2第1項

根拠条文は、一つ前の肢Dと同じになります。

根拠条文である第23条の2第1項には、肢Dでも確認いただいたように、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定についてのルールが規定されています。

その中に、問題文にあるような「被保険者自身の行為により事業者から懲戒としての降格処分を受けたために標準報酬月額が低下した場合」に改定を行わない…という規定はありませんので、改定が行わることとなります。

本肢は○です。

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