社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和3年第3問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

厚生年金保険法 令和3年第3問 A

障害等級2級に該当する程度の障害の状態であり老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となっている受給権者の子が、17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった場合、その時点で加給年金額の加算の対象から外れ、その月の翌月から年金の額が改定される。

解答の根拠

法第44条第4項第9号

根拠条文を確認します。

(加給年金額)
第四十四条
 第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、配偶者又は子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、同項の規定にかかわらず、その者に係る同項の加給年金額を加算しないものとし、次の各号のいずれかに該当するに至つた月の翌月から、年金の額を改定する。
(中略)
 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子を除く。)について、その事情がやんだとき。

老齢厚生年金の加給年金額に関する問題です。

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある場合に、65歳到達時点で生計を維持されている配偶者(65歳未満)または子(18歳到達年度末 or 障害等級1・2級状態の20歳未満)がいるときに加算されます。

本肢は、子で障害等級該当のケースですが、問題文に「17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった」とありますので、一瞬「じゃあ、要件を満たさなくなるから、加給年金は停止だな」と思ってしまいますよね。

しかし、子の場合は、もちろん障害状態がなくなっても、18歳到達年度末までは引き続き要件を満たしますので、「加算対象から外れる」というのは誤りとなります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和3年第3問 B

老齢厚生年金の受給権者の子(15歳)の住民票上の住所が受給権者と異なっている場合でも、加給年金額の加算の対象となることがある。

解答の根拠

平成23年3月23日年発0323第1号

根拠通達を確認します。

3 生計同一に関する認定要件
(1) 認定の要件
生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者に係る生計同一関係の認定に当たっては、次に該当する者は生計を同じくしていた者又は生計を同じくする者に該当するものとする。
① 生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者が配偶者又は子である場合
ア 住民票上同一世帯に属しているとき
イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき
ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき
(ア) 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき
(イ) 単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
(ア) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
(イ) 定期的に音信、訪問が行われていること

平成23年3月23日年発0323第1号(生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて)

加給年金額の加算の要件として、「生計を維持していたこと」が求められます。

ただし、「生計を維持してた」といっても、世の中にはいろいろな「生計の維持のかたち」があります。

根拠通達では、上記のように想定されるケースを列挙しており、今回の問題文にある「住民票上の住所が受給権者と異なっている場合」についても、黄色マーカー部分のように認めることがあります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和3年第3問 C

厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。なお、いずれの場合も、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。

解答の根拠

法附則8条の2第1項2項

根拠条文を確認します。

(特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例)
第八条の二 男子又は女子(第二号厚生年金被保険者であり、若しくは第二号厚生年金被保険者期間を有する者、第三号厚生年金被保険者であり、若しくは第三号厚生年金被保険者期間を有する者又は第四号厚生年金被保険者であり、若しくは第四号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)であつて次の表の上欄に掲げる者(第三項及び第四項に規定する者を除く。)について前条の規定を適用する場合においては、同条第一号中「六十歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

昭和二十八年四月二日から昭和三十年四月一日までの間に生まれた者六十一歳
昭和三十年四月二日から昭和三十二年四月一日までの間に生まれた者六十二歳
昭和三十二年四月二日から昭和三十四年四月一日までの間に生まれた者六十三歳
昭和三十四年四月二日から昭和三十六年四月一日までの間に生まれた者六十四歳

 女子(第一号厚生年金被保険者であり、又は第一号厚生年金被保険者期間を有する者に限る。)であつて次の表の上欄に掲げる者(次項及び第四項に規定する者を除く。)について前条の規定を適用する場合においては、同条第一号中「六十歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

昭和三十三年四月二日から昭和三十五年四月一日までの間に生まれた者六十一歳
昭和三十五年四月二日から昭和三十七年四月一日までの間に生まれた者六十二歳
昭和三十七年四月二日から昭和三十九年四月一日までの間に生まれた者六十三歳
昭和三十九年四月二日から昭和四十一年四月一日までの間に生まれた者六十四歳
厚生年金保険法附則

問題文に登場する「男子」は、上記根拠条文である法附則8条の2第1項の適用(支給開始年齢:64歳)/「女子」は同条2項の適用(支給開始年齢:62歳)となります。

ということで、年齢が異なる…ということで正しい、となります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和3年第3問 D

厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は同じである。

解答の根拠

法附則第8条の2第1項

根拠条文は先ほどと同じです。

肢Cの根拠条文のピンクマーカー部分の記載にあるとおり、女子でも「第4号厚生年金被保険者期間のみ」の場合は、男子と同じ法附則第8条の2第1項が適用されますので、支給開始年齢は同じで64歳となります。

ちなみに、第4号厚生年金被保険者とは、私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者たる厚生年金保険の被保険者のことを指していますので、併せて確認しておきましょう。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和3年第3問 E

脱退一時金の額の計算に当たっては、平成15年3月31日以前の被保険者期間については、その期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額を使用する。

解答の根拠

法附則第29条第3項 / 平12法附則第22条第1項

根拠条文を確認します。

(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)
第二十九条
 脱退一時金の額は、被保険者であつた期間に応じて、その期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)に支給率を乗じて得た額とする。

厚生年金保険法法附則第29条第3項

(厚生年金保険法による脱退一時金等に関する経過措置)
第二十二条 厚生年金保険の被保険者であった期間の全部又は一部が平成十五年四月一日前である者に支給する脱退一時金につき、その額を計算する場合においては、厚生年金保険法附則第二十九条第三項に定める額は、同項の規定にかかわらず、同日前の被保険者期間の各月の標準報酬月額に一・三を乗じて得た額並びに同日以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額及び標準賞与額を合算して得た額を、被保険者期間の月数で除して得た額に、被保険者であった期間に応じて、支給率(同条第四項に規定する支給率をいう。)を乗じて得た額とする。

厚生年金保険法平12法附則第22条第1項

本肢は「脱退一時金」に関する問題です。

まず、脱退一時金の計算の基本は、以下の通りです。

平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額)×支給率

上記の「平均標準報酬額」について、上記根拠条文の2つめにある「平12法附則第22条第1項」にて経過措置が設定されています。

その内容は、以下の通りです。

【平成15年4月1日前の被保険者期間分の特例】
同日前の被保険者期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額並びに同日以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額及び標準賞与額を合算して得た額 ÷ 被保険者期間の月数で除して得た額

ということで、経過措置として「1.3」を乗じる特例対応がありますので、問題文の通りとなります。

本肢は○です。

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