社会保険労務士試験【健康保険法】<令和4年第1問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和4年第1問 A

被保険者又は被扶養者の業務災害(労災保険法第7条第1項第1号に規定する、労働者の業務上の負傷、疾病等をいう。)については健康保険法に基づく保険給付の対象外であり、労災保険法に規定する業務災害に係る請求が行われている場合には、健康保険の保険給付の申請はできない。

解答の根拠

健康保険法の第1条(目的規定)等の改正に関するQ&Aについて 問7

根拠通達を確認します。

【質問7】
労災保険における審査の結果、業務外であることを理由に不支給となった場合は、原則として健康保険の給付対象となるが、その労災保険の審査結果について、健康保険の保険者はどのような方法で確認することになるのか。

○ 労災保険の不支給決定通知は請求人本人に対してのみ送付されることから、健康保険の保険者は被保険者又は被扶養者からその結果を確認することとなる。このため、保険者は一定期間経過後(※)に被保険者等に対して連絡を行うなど、十分な配慮を行うこと。
※ 労災保険における負傷の場合の標準的な審査期間:1ヶ月程度
  労災保険における疾病の場合の標準的な審査期間:6~8ヶ月程度
  (ただし、事案により調査に時間がかかる場合がある。)

○ なお、健康保険の保険者においては、保険給付の時効期間(2年間)を考慮し、労災保険給付の請求が行われている場合であっても、健康保険給付の申請が可能であることを被保険者等に対して周知するなどの十分な配慮を行うこと。

健康保険法の第1条(目的規定)等の改正に関するQ&Aについて

本肢は、「労災保険給付の請求との関係」に関する問題です。

労災と健康保険は併用できない…これは基本的な知識で特に問題ないと思います。

しかし、労災適用なのか、健康保険適用なのか、ケースによっては微妙な場合もあります。

上記引用したQAの中にあるとおり、労災の審査には結構時間がかかり、特に疾病の場合は、標準的な審査機関が6~8か月程度と、「そんなにかかるの!?」という感じですよね。

場合によっては、長い労災の審査が終わって認定されなかった場合で、ではそこから健康保険の適用を申請しよう…と思っても、健康保険給付の時効期間が過ぎてしまっていることもありえます。

そのため、上記QAでは、労災・健康保険、並行して申請しておいてOKですよ、としているわけですね。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第1問 B

健康保険組合の理事長は、規約の定めるところにより、毎年度2回通常組合会を招集しなければならない。また、理事長は、必要があるときは、いつでも臨時組合会を招集することができる。

解答の根拠

令第7条第2項・第3項

根拠条文を確認します。

(組合会の招集)
第七条
 理事長は、規約で定めるところにより、毎年度一回通常組合会を招集しなければならない。
 理事長は、必要があるときは、いつでも臨時組合会を招集することができる。

健康保険法施行令

本肢は、「組合会」に関する問題です。

本肢は上記根拠条文のとおりでして、毎年度2回ではなく1回通常組合会を招集しなければならない、とされています。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第1問 C

事業主は、被保険者が資格を喪失したときは、遅滞なく被保険者証を回収して、これを保険者に返納しなければならないが、テレワークの普及等に対応した事務手続きの簡素化を図るため、被保険者は、被保険者証を事業主を経由せずに直接保険者に返納することが可能になった。

解答の根拠

健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行に関する留意事項等について Q5

根拠通達を確認します。

Q5 テレワークの普及等に対応した事務の簡素化を図るため、被保険者証等の返納についても、事業主経由を省略してよいか。

A 省略できない。改正省令による改正後の健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号。以下「施行規則」という。)においても、被保険者が資格を喪失したとき、その保険者に変更があったとき、又はその被扶養者が異動したときは、事業主は遅滞なく被保険者証を回収して保険者に返納しなければならないこととされている。

健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行に関する留意事項等について

本肢は、「テレワークと被保険者証等の返納」に関する問題です。

時代を反映した問題だな、と思いました。

テレワークで出社しない被保険者が被保険者証を返納する際に、直に保険者に返納した方が効率が良いような気がします。

しかし、そのようなことをされてしまうと、保険者の方で混乱が起きることは容易に想像できます。

テレワークの場合においても、通常の返納ルート…つまり事業主経由でルールに基づいて返納してもらう必要があるわけですね。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第1問 D

介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となったが、当該医療機関において医療保険適用病床に空きがないため、患者を転床させずに、当該介護保険適用病床において療養の給付又は医療が行われた場合、当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うものとされている。

解答の根拠

保医発0327第3号

根拠通達を確認します。

第1 厚生労働大臣が定める療養告示について
1 第1号関係について

(1) 介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のあることが想定され、このような場合については、当該病床において療養の給付又は医療が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うものであること。

保医発0327第3号(「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について)

本肢は、「介護保険と健康保険」に関する問題です。

上記根拠通達の記載そのものの出題なので、これを知っていればすぐに解けますが、おそらくほとんどの方がこの通達の存在を知らないことでしょう。

このような問題の場合は、一般常識と同じく「The常識力」で考えてみましょう。

問題文のシーンを想像します。

介護保険適用病床に入所中の方が医療行為が必要な状態に陥ったとき、医療保険適用病床に搬送して必要な医療行為を行うことになります。

しかし、問題文にあるとおり、搬送先の医療保険適用病床に空きがないなど搬送が困難な場合、介護保険適用病床で必要な処置を行わなければなりません。

その場合、「医療保険適用病床での処置ではないから」といって、健康保険の適用外とするのは酷ですよね。

そのような場合でも健康保険等医療保険の対象としますよ、というのが通達の内容になります。

本肢は○となり、本問の正解となります。

健康保険法 令和4年第1問 E

育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定の要件に該当する被保険者の報酬月額に関する届出は、当該育児休業等を終了した日から5日以内に、当該被保険者が所属する適用事業所の事業主を経由して、所定の事項を記載した届書を日本年金機構又は健康保険組合に提出することによって行う。

解答の根拠

則第26条の2第1項

根拠条文を確認します。

(育児休業等を終了した際の報酬月額変更の届出)
第二十六条の二 法第四十三条の二第一項に該当する被保険者の報酬月額に関する法第四十八条の規定による届出は、速やかに、第三十八条の二に規定する申出書に次に掲げる事項を記載した届書を機構又は健康保険組合に提出することによって行うものとする。

健康保険法施行規則

本肢は「育児休業等を終了した際の報酬月額変更の届出」に関する問題です。

本肢は単純なすり替え問題ですね。

問題文には5日間とありますが、正しくは上記根拠条文のとおり、「速やかに」となります。

本肢は×です。

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