社会保険労務士試験【労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識】<令和3年第2問>

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我が国の労働者の就業形態の多様化に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第2問 A

令和元年10月1日現在で、就業形態別に当該就業形態の労働者がいる事業所の割合(複数回答)をみると、「正社員以外の労働者がいる事業所」は前回調査(平成26年)と比べて低下している。

解答の根拠

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P6

本問は「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査」をもとにした出題です。

白書以外のものから出題があったとしても、落ち着いて「The 常識力」で解いていきましょう。

本肢は、「正社員以外の労働者がいる事業所」の増減について問われています。

一時期の就職氷河期に比べればだいぶ雇用は改善されたと思いますが、それでもなお、正社員以外…契約社員や派遣労働者の人数は一定数いて、それらの方々が在籍している事業所の割合が低下しているとは言えない状況だろう、となんとなく想像できるかな…と思います。

念のため、当該調査から該当する部分を引用します。

令和元年 10 月1日現在で、就業形態別に当該就業形態の労働者がいる事業所の割合(以下「就業形態別事業所割合」という。)(複数回答)をみると、「正社員がいる事業所」は 94.5%、「正社員以外の労働者がいる事業所」は 84.1%、「正社員のみの事業所(正社員以外の労働者がいない)」は 15.9%となっており、「正社員以外の労働者がいる事業所」は前回の 80.1%と比べて上昇している。

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P6

本肢は×です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第2問 B

正社員以外の就業形態別事業所割合をみると、「派遣労働者(受け入れ)がいる」が最も高くなっている。

解答の根拠

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P6

正社員以外の労働者、として、本調査に挙げられているものとしては、以下の通りになります。

・出向社員
・契約社員
・嘱託社員
・パートタイム労働者
・臨時労働者
・派遣労働者(受け入れ)
・その他の労働者

この中で見ると、確かに派遣労働者が多いかもな…と思ってしまいそうですのね、本肢はなかなか正誤の判断がつきづらいでしょう。

そのような場合は、いったん回答を保留にして、他の肢で明確に正誤判断ができないかを探るのも一つの手です。

当該調査から該当する部分を引用します。

正社員以外の就業形態別事業所割合をみると、「パートタイム労働者がいる」が 65.9%と最も高くなっている。

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P6

派遣労働者とパートタイム労働者の人数感は、「The常識力」では判断が難しいかもしれません。

ですが、「パートタイム」という名の通り、フルタイムではなく部分的に働く方を指すことを考えると、頭数では多そうなイメージもありますね。

本肢は×です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第2問 C

正社員以外の労働者がいる事業所について、正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)をみると、「正社員を確保できないため」とする事業所割合が最も高くなっている。

解答の根拠

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P11

肢Bで挙げた「正社員以外の労働者」の方々を、企業が活用する理由はなんでしょうか。

パッと浮かぶのは「人手が足りないから」だと思います。

と考えると、問題文にある「正社員を確保できないため(人手が足りないから)」と考えられそうですね。

当該調査から該当する部分を引用します。

正社員以外の労働者がいる事業所について、正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)をみると、「正社員を確保できないため」とする事業所割合が 38.1%(前回 27.2%)と最も高く、前回に比べて上昇している。次いで、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」が 31.7%(前回 32.9%)、「賃金の節約のため」が 31.1%(前回 38.6%)となっており、これらの理由の事業所割合は、前回に比べて低下している。

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P11

本肢は○となり、本問の正解となります。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第2問 D

正社員以外の労働者がいる事業所について、正社員以外の労働者を活用する上での問題点(複数回答)をみると、「仕事に対する責任感」が最も高くなっている。

解答の根拠

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P14

正社員以外の労働者の活用に関する課題はなんでしょうか。

「仕事に対する責任感」も該当しそうな気もしますので、判断が難しいところですね。

ただ、私個人としては、正社員以外の労働者だからといって、誰もかれもが「仕事に対する責任感に課題がある」とは思っていません。

中には、それこそ一昔前のドラマ「ハケンの品格」の篠原涼子さんが演じられた役のような、正社員顔負けの優秀な方も多いのではないでしょうか。

そう考えると、「責任感」うんぬんより、「そもそも、そのような優秀な正社員以外の労働者の方を確保できるか」という点が課題になりそうですね。

当該調査から該当する部分を引用します。

正社員以外の労働者がいる事業所について、正社員以外の労働者を活用する上での問題点(複数回答)をみると、「良質な人材の確保」56.8%が最も高く、次いで「定着性」が 52.5%、「仕事に対する責任感」が 46.0%などとなっている。

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P14

本肢は×となります。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第2問 E

雇用期間の定めのある正社員以外の労働者について、期間を定めない雇用契約への変更希望の有無をみると、「希望する」が「希望しない」を上回っている。

解答の根拠

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P22

本肢は誰もが引っかかってしまう意地悪な問題だと思いました。

「The常識力」で考えれば、「雇用期間の定めのある正社員以外の労働者の方々は、多くが無期雇用転換を希望している。なぜなら、その方が雇用が安定するからだ」と思うのが普通だと思います。

しかし、本調査では下記のような結果となっています。

雇用期間の定めのある正社員以外の労働者について、期間を定めない雇用契約への変更希望の有無をみると、「希望しない」が 47.1%、「希望する」が 35.0%となっている。

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 P22

ということで、なんと「希望しない」の方が多い調査結果となったようです。

正社員以外の労働者の方が皆、正社員(無期雇用)になりたいわけではないのですね。

正社員となると、どうしても働く時間が固定的になったり、求められる仕事の量や質が変わったり…となりますので、敢えて選択しない方も多くなっているようです。

また、時代の変化も大きいと思います。

一昔前の「大卒で大手企業に入り、順調にキャリアアップして年収を上げ、結婚し、家と車を買い、定年まで勤めあげて、多額の退職金で余生を悠々自適に過ごす」というステレオタイプな道は影を潜めつつあり、転職が当たり前…逆に一度も転職したことない方がリスクとする意見も出てきたり、「ギグワーカー」といういろいろな短時間の仕事を掛け持ちする働き方も出てきたり…と働き方・仕事観が多様化しています。

そんな時代の変化も、「The常識力」としてインプットしておきたいですね。

本肢は×となります。

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