社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和4年第9問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

厚生年金保険法 令和4年第9問 A

1つの種別の厚生年金保険の被保険者期間のみを有する者の総報酬制導入後の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の計算では、総報酬制導入後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を当該被保険者期間の月数で除して得た平均標準報酬額を用いる

解答の根拠

法第43条第1項

根拠条文を確認します。

(年金額)
第四十三条 老齢厚生年金の額は、被保険者であつた全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、別表各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「再評価率」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。附則第十七条の六第一項及び第二十九条第三項を除き、以下同じ。)の千分の五・四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。

厚生年金保険法

本肢は、「平均標準報酬額」に関する問題です。

老齢厚生年金の年金額は、「被保険者期間の平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 被保険者期間の月数」で求めます。

この「被保険者期間の平均標準報酬額」は、単に標準報酬額の平均をとって終わり…ではなく、上記根拠条文のとおり、「再評価率」というものを乗じることとされています

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第9問 B

65歳以上の老齢厚生年金受給者については、毎年基準日である7月1日において被保険者である場合、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎として、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する在職定時改定が導入された。

解答の根拠

法第43条第2項

根拠条文を確認します。

(年金額)
第四十三条
 受給権者が毎年九月一日(以下この項において「基準日」という。)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く。)の老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の被保険者であつた期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が一月以内である場合は、基準日の属する月前の被保険者であつた期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

厚生年金保険法

本肢は、「在職定時改定」に関する問題です。

令和4年の法改正により「在職定時改定」の仕組みが導入されました。

「在職定時改定」とは、受給権者が被保険者である場合の老齢厚生年金の額に関して、毎年9月1日を基準日とし、その基準日の属する月前の被保険者であった期間を基礎として、基準日の属する月の翌月から改定する仕組みです。

年金を受給しながら働いている人は、もらいつつ・保険料を払いつつ…の状態なので、払いつつある保険料を年金額に年1回反映させますよ、という仕組みですね。

問題文には、その改定の基準日が7月1日とされていますが、上記根拠条文のとおり、基準日は「毎年9月1日」とされています。

本肢は×となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和4年第9問 C

保険給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利については、「支払期月の翌月の初日」がいわゆる時効の起算点とされ、各起算点となる日から5年を経過したときに時効によって消滅する。

解答の根拠

法第92条第1項

根拠条文を確認します。

(時効)
第九十二条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したとき、保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る第三十六条第三項本文に規定する支払期月の翌月の初日から五年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。

本肢は、「時効」に関する問題です。

上記根拠条文は時効について規定されており、それぞれまとめると以下の通りになります。

①保険料等を徴収・還付を受ける権利 ー 行使可能な時から ー 2年経過時
②保険給付を受ける権利 ー 支給事由発生日から ー 5年経過時
③毎月の保険給付を受ける権利 ー 翌月の初日から ー 5年経過時
④保険給付の返還を受ける権利 ー 行使可能な時から ー 5年経過時

問題文のケースは、上記の③に該当します。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第9問 D

2つの種別の厚生年金保険の被保険者期間を有する者が、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行う場合、両種別の被保険者期間に基づく老齢厚生年金の繰下げについて、申出は同時に行わなければならない。

解答の根拠

法第78条の28第2項

根拠条文を確認します。

(老齢厚生年金の支給の繰下げの特例)
第七十八条の二十八
 前項の規定により第四十四条の三第一項の規定を適用する場合においては、一の期間に基づく老齢厚生年金についての同項の規定による申出は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該申出と同時に行わなければならない。

厚生年金保険法

本肢は、「老齢厚生年金の支給の繰下げの特例」に関する問題です。

2つ以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金について、支給繰下げの申出を行う場合は、それぞれ別に繰り下げをされると計算や事務などが複雑になります。

したがって、「同時に行わなければならない」とされています。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第9問 E

加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給者である夫について、その加算の対象となっている妻である配偶者が、老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が240月以上となり、退職し再就職はせずに、老齢厚生年金の支給を受けることができるようになった場合、老齢厚生年金の受給者である夫に加算されていた加給年金額は支給停止となる。

解答の根拠

法第46条第6項

根拠条文を確認します。

(支給停止)
第四十六条
 第四十四条第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、同項の規定によりその者について加算が行われている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

厚生年金保険法

本肢は「支給停止」に関する問題です。

加給年金の目的は「扶養家族がいる年金受給者の経済的負担に対するサポート」です。

ということは、その扶養される配偶者が自身の老齢厚生年金等の老齢・退職・障害を支給事由とする給付を受けるときは、配偶者自身である程度の金銭を確保できるため、サポートの必要性がなくなります。

本肢は○です。

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