我が国の能力開発や人材育成に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和3年度能力開発基本調査(事業所調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第2問 A
能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」の割合が最も高く、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」と続いている。
令和3年度能力開発基本調査(厚生労働省)
根拠となる調査を確認します。
2 事業所調査
(2)能力開発や人材育成について
① 能力開発や人材育成に関する問題点(図28、図29) 能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は、76.4%となり、4分の3以上の事業所で、能力開発や人材育成に関する問題があることがうかがえる。 能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」(60.5%)が最も高く、「人材育成を行う時間がない」(48.2%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(44.0%)と続いている。令和3年度能力開発基本調査
本肢は、「令和3年度能力開発基本調査」に関する問題です。
人材育成、人材への投資は、現代企業の必須対応項目となっています。
そんな中、企業の人材育成に関する課題は…
・指導人材不足
・指導時間不足
・育成しても辞める
ということのようです。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第2問 B
正社員を雇用する事業所のうち、正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の支援の内容としては、「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」の割合が最も高く、「受講料などの金銭的援助」、「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」と続いている。
令和3年度能力開発基本調査(厚生労働省)
根拠となる調査を確認します。
2 事業所調査
(3)労働者のキャリア形成支援について
④ 労働者の自己啓発に対する支援の実施状況
自己啓発に対する支援の内容としては、「受講料などの金銭的援助」(正社員78.0%、正社員以外65.7%)が最多となっており、「教育訓練休暇(有給、無給の両方を含む)の付与」(正社員22.1%、正社員以外18.6%)は少なくなっている。令和3年度能力開発基本調査
本肢は、「令和3年度能力開発基本調査」に関する問題です。
正社員を雇用する事業所のうち、正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の支援の内容としては、「受講料などの金銭的援助」(78.0%)の割合が最も高いようです。
問題文に挙げられている「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」は41.7%となっており、割合としては劣後します。
情報提供…となると、ただ補助をすればよい「金銭的援助」と比べて、専門性が高くなるので、割合が少ないのかもしれませんね。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第2問 C
キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所のうち、正社員に対してキャリアコンサルティングを行う上で問題があるとする事業所における問題の内訳をみると、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」の割合が最も高く、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」、「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」と続いている。
令和3年度能力開発基本調査(事業所調査)(厚生労働省)
根拠となる調査をします。
2 事業所調査
(3)労働者のキャリア形成支援について
③ 労働者の主体的なキャリア形成に向けた取組について
問題の内訳をみると、正社員では、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」(39.6%)、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(39.5%)が多く、正社員以外では、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(39.2%)、「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」(38.5%)が多くなっている。令和3年度能力開発基本調査
本肢は、「令和3年度能力開発基本調査」に関する問題です。
キャリアコンサルティングに関する回答は、上記の調査結果からわかる通り、飛びぬけて高い回答があるわけではないようです。
概ね…
・効果が見えにくい
・相談件数が少ない
・時間の確保が難しい
とおさえておきましょう。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第2問 D
労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組は、「上司による定期的な面談(1on1ミーティング等)」の割合が最も高く、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」、「自己啓発に対する支援」と続いている。
令和3年度能力開発基本調査(厚生労働省)
根拠となる調査を確認します。
2 事業所調査
(3)労働者のキャリア形成支援について
③ 労働者の主体的なキャリア形成に向けた取組について
労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組は、「上司による定期的な面談(1on1ミーティング等)」が64.3%と最も高く、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」(53.9%)、「自己啓発に対する支援」(45.2%)と続いている。令和3年度能力開発基本調査
本肢は、「令和3年度能力開発基本調査」に関する問題です。
キャリア形成支援に関しては、やはり「上司からの支援」が最も高いようですね。
身近な信頼できる上司からのアドバイスであれば、労働者にとって有効な支援となりやすいでしょう。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第2問 E
職業能力評価を行っている事業所における職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」の割合が最も高く、「人材配置の適正化」、「労働者に必要な能力開発の目標」と続いている。
令和3年度能力開発基本調査(事業所調査)(厚生労働省)
根拠となる調査を確認します。
2 事業所調査
(4)労働者の職業能力評価について
③ 職業能力評価の活用方法
職業能力評価を行っている事業所における職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」(82.1%)が最多となっており、次いで、「人材配置の適正化」(61.5%)、「労働者に必要な能力開発の目標」(39.0%)と続いている。
令和3年度能力開発基本調査
本肢は「令和3年度能力開発基本調査」に関する問題です。
職業能力評価を行っている事業所における職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」(82.1%)が最も多いようです。
人事評価を何に活用するか…と考えたときに、浮かびやすいのが「処遇への反映」や「昇格・降格」だと思いますので、本肢は多くの方が「○」と判断できたのではないかと思います。
本肢は○です。