次のアからオの記述のうち、厚生年金保険法第38条第1項及び同法附則第17条の規定によってどちらか一方の年金の支給が停止されるものの組合せとして正しいものはいくつあるか。ただし、いずれも、受給権者は65歳に達しているものとする。
ア 老齢基礎年金と老齢厚生年金
イ 老齢基礎年金と障害厚生年金
ウ 障害基礎年金と老齢厚生年金
エ 障害基礎年金と遺族厚生年金
オ 遺族基礎年金と障害厚生年金
1 .一つ 2 .二つ 3 .三つ 4 .四つ 5 .五つ
法第38条第1項 / 法附則第17条
根拠条文を確認します。
(併給の調整)
厚生年金保険法
第三十八条 障害厚生年金は、その受給権者が他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金を除く。)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。老齢厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く。)又は同法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)を受けることができる場合における当該老齢厚生年金及び遺族厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(老齢厚生年金を除く。)又は同法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金、障害基礎年金並びに当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族基礎年金を除く。)を受けることができる場合における当該遺族厚生年金についても、同様とする。
(併給の調整の特例)
厚生年金保険法附則
第十七条 第三十八条第一項(第七十八条の二十二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の適用については、当分の間、同項中「遺族厚生年金を」とあるのは「遺族厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)を」と、「並びに障害基礎年金」とあるのは「並びに障害基礎年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)」と、「老齢厚生年金を」とあるのは「老齢厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)を」と、「老齢基礎年金及び付加年金、障害基礎年金」とあるのは「老齢基礎年金及び付加年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)、障害基礎年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)」とする。
本肢は、「併給調整」に関する問題です。
併給調整の問題は頻出なので必ずおさえておきましょう。
おさえ方としては…
・原則:併給できない
・例外:併給できる ← このパターンを覚えておく
となります。
まず併給できる例外その1は、同一の支給事由による「国年法の年金」と「厚年法の年金」です。
【併給可能な組み合わせ①】
・老齢基礎年金+老齢厚生年金
・障害基礎年金+障害厚生年金
・遺族基礎年金+遺族厚生年金
次に併給できる例外その2は、下記の特殊な組み合わせです。
【併給可能な組み合わせ②】
・障害基礎年金+老齢/遺族厚生年金(ただし65歳以上)
・老齢基礎年金+遺族厚生年金(ただし65歳以上)
では、上記を踏まえて選択肢の組み合わせをチェックしていきましょう。
ア 老齢基礎年金と老齢厚生年金
⇒ 上記その1により○(併給可能)
イ 老齢基礎年金と障害厚生年金
⇒ 上記いずれにもあたらず×(併給不可)
ウ 障害基礎年金と老齢厚生年金
⇒ 上記その2により○(併給可能)
エ 障害基礎年金と遺族厚生年金
⇒ 上記その2により○(併給可能)
オ 遺族基礎年金と障害厚生年金
⇒ 上記いずれにもあたらず×(併給不可)
ということで、併給不可は「イ」と「オ」となり、正解は「2.二つ」となります。