社会保険労務士試験【国民年金法】<令和3年第3問>

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国民年金法の被保険者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

国民年金法 令和3年第3問 A

第3号被保険者が、外国に赴任する第2号被保険者に同行するため日本国内に住所を有しなくなったときは、第3号被保険者の資格を喪失する。

解答の根拠

法第7条第1項第3号

根拠条文を確認します。

(被保険者の資格)
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
(略)
 第二号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。)であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)

国民年金法

本肢は、「第3号被保険者」に関する問題です。

第2号被保険者である配偶者に海外転勤の社命がくだり、一緒についていく…となった第3号被保険者の資格はどうなるのでしょうか。

第3号被保険者については、上記根拠条文の通り、第7条に規定があります。

今回のケースは、黄色マーカー部分にあるとおり「日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者」に該当します。

ということで、本肢のケースは「第3号被保険者資格を喪失しない」ことになりますね。

本肢は×となり、本問の正解となります。

国民年金法 令和3年第3問 B

老齢厚生年金を受給する66歳の厚生年金保険の被保険者の収入によって生計を維持する55歳の配偶者は、第3号被保険者とはならない。

解答の根拠

法附則第3条 / 厚生年金保険法附則第4条の3第1項

根拠条文を確認します。

(被保険者の資格の特例)
第三条 第七条第一項第二号の規定の適用については、当分の間、同号中「の被保険者」とあるのは、「の被保険者(六十五歳以上の者にあつては、厚生年金保険法附則第四条の三第一項に規定する政令で定める給付の受給権を有しない被保険者に限る。)」とする。

国民年金法附則

本肢は、「第3号被保険者」に関する問題です。

第3号被保険者は、肢Aで引用した根拠条文にもあるとおり、「第2号被保険者の収入により生計を維持される者」となります。

ということで、本肢を判断するには「老齢厚生年金を受給する66歳の厚生年金保険の被保険者」が第3号被保険者の定義に登場する「第2号被保険者」と言えるかどうか、がポイントになります。

ここで、上記根拠条文(法附則第3条)を確認してみます。

ここには、第3号被保険者の定義に登場する第2号被保険者の定義の例外が規定されており、「65歳以上の者にあっては、厚生年金保険法附則第4条の3第1項に規定する政令で定める給付(※)の受給権を有しない被保険者に限る」とされています。

※で示した給付とは、以下の通り、老齢厚生年金や老齢基礎年金など、老齢関連の給付であることがわかりますので、本肢のように「老齢厚生年金を受給している」方も該当し、その者によって生計を維持されている場合は、第3号被保険者にはならないことになります。

(高齢任意加入被保険者)
第四条の三 適用事業所に使用される七十歳以上の者であつて、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しないもの(第十二条各号に該当する者を除く。)は、第九条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て、被保険者となることができる。

厚生年金保険法法附則

本肢は○です。

国民年金法 令和3年第3問 C

日本の国籍を有しない者であって、出入国管理及び難民認定法の規定に基づく活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において1年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うものは、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であっても第1号被保険者とならない。

解答の根拠

則第1条の2第2号

根拠条文を確認します。

(被保険者の資格)
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第一号被保険者」という。)

国民年金法

第一条の二 法第七条第一項第一号及び第三号、第八条第三号、第九条第四号並びに附則第五条第一項第一号及び第二号並びに第六項第五号、国民年金法等の一部を改正する法律(平成六年法律第九十五号。以下「平成六年改正法」という。)附則第十一条第一項第一号及び第七項第三号並びに国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「平成十六年改正法」という。)附則第二十三条第一項第一号及び第七項第三号の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
(略)
 日本の国籍を有しない者であつて、入管法第七条第一項第二号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において一年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの

国民年金法施行規則

本肢は、「第1号被保険者」に関する問題です。

日本国籍を持たない方で、1年を超えない短期期間日本に滞在し観光等を行う場合は、国民年金の被保険者になるのか、ならないのか…。

第1号被保険者の定義は、上記の通り法第7条に規定があり、黄色マーカー部分にあるとおり、「この他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く」とされています。

この「厚生労働省令」というのが、上記根拠条文の2つ目(施行規則第1条の2)になり、その中には「日本国籍を有しない者であって…本邦において1年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの」とされています。

したがって、本肢のケースは「第1号被保険者にならない」となりますね。

本肢は○です。

国民年金法 令和3年第3問 D

第2号被保険者の被扶養配偶者であって、観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する日本国内に住所を有しない20歳以上60歳未満の者は、第3号被保険者となることができる。

解答の根拠

則第1条の3第3号

根拠条文を確認します。

第一条の三 法第七条第一項第三号の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
(略)
 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者

国民年金法施行規則

本肢は、「第3号被保険者」に関する問題です。

本肢は、肢Cとは逆のパターンで、一時的に海外に渡航する第2号被保険者の被扶養配偶者は、第3号被保険者となるか、が論点です。

考え方としては、実は肢Aと同じです。

肢Aの根拠条文(法第7条第1項第3号)をもう一度戻って確認していただくと、赤色マーカーで「日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る」と強調していました。

この「厚生労働省令」というのが、上記根拠条文(施行規則第1条の3第3号)となり、この中に、「観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者」とあります。

したがって、本肢のケースは第3号被保険者となりますね。

本肢は○です。

国民年金法 令和3年第3問 E

昭和31年4月1日生まれの者であって、日本国内に住所を有する65歳の者(第2号被保険者を除く。)は、障害基礎年金の受給権を有する場合であっても、特例による任意加入被保険者となることができる。なお、この者は老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有していないものとする。

解答の根拠

平16法附則第23条第1項

根拠条文を確認します。

(任意加入被保険者の特例)
第二十三条 昭和三十年四月二日から昭和四十年四月一日までの間に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)は、同法第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。ただし、その者が同法による老齢基礎年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合は、この限りでない
 日本国内に住所を有する六十五歳以上七十歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)
 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない六十五歳以上七十歳未満のもの

国民年金法平16附則

本肢は「任意加入被保険者」に関する問題です。

上記根拠条文の通り、任意加入被保険者の対象年齢は「昭和30年4月2日~昭和40年4月1日の間に生まれた者」とされていますので、本肢のケースは対象となります。

また、但し書きで例外事項が定められており、「老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合」は対象外とされていますが、問題文には、なお書きでこれらの給付の受給権を有していないと、わざわざ断っていること、また、障害基礎年金は対象外とされていませんので、この点からも正しいことがわかりますね。

本肢は○です。

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