社労士試験を受験された方、本当にお疲れさまでした。毎年8月第4日曜日は社労士試験…というのは、試験を受けて数年経った今でも身体の感覚で残っています。
ゆっくりとお休みください…と言いたいところですが、実は、社労士試験の直後というのはいわゆる「ゴールデンタイム」だと思っており、この時期にやっておくだけで、合格・不合格に関わらず圧倒的に効果が出ることがあります。今回はその内容についてまとめてみたいと思います。
その1:不合格と割り切り、すぐにリスタートを切る
すぐにリスタートを切ることの重要性
今後、各予備校から解答予測が続々と発表されてくると思います。
どんなに転んでも絶対に合格ラインを割らない、という方は別ですが、多くの方が合格ラインギリギリ届いているか届いていないか、また、特定の科目の救済措置(社労士試験では、全体の解答状況を考慮して、予め公表している合格基準よりも下回った基準でも合格とする場合があります)に期待をかけている方でしょう(私もそうでした)。
そのようなときは、(なかなか難しいかもしれませんが、)スパッと今年の試験への未練を断ち切り、すぐにリスタートを切る(翌年の試験に向けて勉強を開始する)ことが重要です。
ご存知のとおり、社労士試験の合格発表は10月上旬です。
それまで丸々約1か月間何もしない、または、勉強していたとして心のどこかで「合格しているかもしれない。合格しているならこんなに勉強しなくてもよいのではないか」と思いながら、中途半端に勉強するのはよくありません。
今年の受験生には、新たに受験に参入する受験生に比べ、「今年の試験に向けて勉強してきた」という圧倒的なアドバンテージがありますが、この1か月であっという間にそのアドバンテージ分を詰められてしまう可能性があります。
そのアドバンテージを保ち続けるには、手を緩めずに勉強をし続けるしかありません。
でも合格していたら…、それはそれで良いと思います。
だって、社労士受験生の真の目的は「社労士試験に合格すること」ではなく、「受験で学んだ知識を活かして、実務家として活躍する」ことであり、知識はいくら磨いても無駄になることはありませんので。
また、多くの予備校が「再試験割引受講」を設けているのもこの時期です。
合格の場合は返金してくれる予備校もありますので、ぜひ次の試験のパートナーとして早めに選択を済ませるのも良いでしょう。
救済は期待しても仕方がない
特に選択試験で多いですが、救済措置を期待している受験生の方も多いと思います。
実際、私が合格した年の試験でも救済措置がありました。
しかし、その救済措置を期待してリスタートが遅くなるのはもったいないです。
救済措置は、公表されているわけではありませんが、おそらく推測するに、試験全体の解答状況を見て、合格者数を調整するのに使われている手段だと思います。
そして、試験後に多くの受験生が「〇〇が全然できなかった」「〇〇がダメだという人が多いから救済措置が入る確率が高い」などとネットに書き込んでいても、必ずそうなるわけではありません。
逆に、ネット上で多くの方ができてないポイント、裏を返せば、そのポイントを救済すれば合格者が急増するようなポイントは、合格者数調整のため逆に救済しない、という考え方もできます。
過去にも、絶対に救済措置が入ると思われていた科目に救済が入らず、SNSや掲示板が阿鼻叫喚につつまれた回も多くありました。
こればかりは神…ではなく、試験実施機関の裁量によるのみです。
宝くじと同じで、自分でコントロールできなことについて、期待したり、悩み葛藤したりするのは時間がもったいないです。
自分がコントロールできること…日々の勉強に焦点を合わせましょう。
その2:社労士試験の実況中継を日記としてつけておく
実際に試験を受けてみて、問題を見た瞬間に「何じゃこりゃ」「まいった」と一瞬思考停止状態になった方も多いのではないでしょうか。
この感覚、非常に重要です。
お勧めは、試験当日の朝から家に帰るまでの日記をつけること。
・朝はこう過ごしたが、もっとこう過ごしたらよかったかも
・試験開始までにこのような不測の事態が生じた
・試験会場に入ると…こんな意外なことが
・試験中の心の動き、思ったこと
・昼休みの過ごし方
・試験終了後の感想(もっとこうしておけばよかった、など)
これらをしっかりと記録として残しておくことは、今でしかできない事であり、仮に来年試験を受ける場合は、過去の自分から未来の自分へ向けての「あなただけの貴重なアドバイス」になります。
残念ながら、人間の記憶は当てにならず、このような実体験は日を追うごとにどんどん記憶から薄れていきます。
ぜひ、なるべく早く「社労士試験当日に思ったこと・感じたこと」を書き留めておくようにしてください。
その3:試験問題の自己分析をする
これは結構骨が折れる作業ですが、非常に効果があることです。
試験問題をおさらいし、「なぜ自分がそのような解答をしたのか、もし誤答だった場合はどのような知識を身に付けていれば正答できていたのか」を分析します。
また、「たまたま正解だったのか、解答の根拠を全部言えるか」などの視点も大切です。
これをしていくことで、本試験でどのような知識をどのレベルまで身に付けていないと合格基準に達しないのか、自己分析をすることができます。
今後各予備校から、試験問題分析や所感などが出てくると思いますが、例えば設問ごとの難易度は人それぞれであり、絶対的な難易度はないと思っています。
もちろん、条文そのままの知識を問う問題なら簡単、判例をベースにしている問題なら難しい、などはあるかもしれませんが、条文をしっかりと読み込んでいない方にとってみれば前者でも難しい問題ですし、判例が好きな方であれば後者でも簡単と思うかもしれません。
大切なのは、「今の自分にとって何が足りないのか」を、本試験問題を通じてしっかりと分析することです。
これは、合格確実な方でもぜひ行っていただきたい作業です。
実務上では、例えば「社会保険の加入条件」などは、そらで瞬時に言えなければプロとは言えません。
実務家として信頼を勝ち取るためにも、ぜひ知識量がピークである試験終了後のゴールデンタイムを有効活用してください。