社会保険労務士試験【雇用保険法/徴収法】<令和3年第4問>

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特定理由離職者と特定受給資格者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

雇用保険法/徴収法 令和3年第4問 A

事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、特定受給資格者に該当する。

解答の根拠

法23条2項、則35条3号

本問は全般的に「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」に該当するかどうか、が問われています。

まず、本肢では「特定受給資格者」に該当するか否かを判断します。

特定受給資格者の定義について、条文を確認します。

第二十三条
 前項の特定受給資格者とは、次の各号のいずれかに該当する受給資格者(前条第二項に規定する受給資格者を除く。)をいう。
 当該基本手当の受給資格に係る離職が、その者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てその他厚生労働省令で定める事由に該当する事態をいう。第五十七条第二項第一号において同じ。)又は当該事業主の適用事業の縮小若しくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの
 前号に定めるもののほか、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。第五十七条第二項第二号において同じ。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者

雇用保険法

上記の条文から、以下のように定義をまとめることができます。

特定受給資格者…倒産・事業の縮小や廃止、または、解雇を理由として離職した者

この定義をまずはおさえましょう。

次に、本肢では「いわゆる有期事業(あらかじめ事業の期間がいつからいつまでと決まっている事業)において、その期間が終了したために事業が廃止され、その結果離職となった場合」は、上記の「特定受給資格者」に該当するかどうかが問われています。

この点につき、根拠条文を確認します。

法第二十三条第二項第一号の厚生労働省令で定めるもの)
第三十五条 法第二十三条第二項第一号の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。
 倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て又は前条の事実をいう。)に伴い離職した者
 事業所において、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二十七条第一項の規定による離職に係る大量の雇用変動の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下この条において同じ。)の数を三で除して得た数を超える被保険者が離職したため離職した者
 事業所の廃止(当該事業所の事業活動が停止し、再開する見込みがない場合を含み、事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことによるものを除く。)に伴い離職した者
 事業所の移転により、通勤することが困難となつたため離職した者

雇用保険法施行規則

先ほど挙げた「雇用保険法第23条第2項第1号」の赤マーカー部分に「厚生労働省令で定める」とありましたが、それについて定めているのが上記の「雇用保険法施行規則第35条」になります。

この条文の第3号の黄色マーカーを引いた部分に、「事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことによるものを除く」とありますので、本肢の状況は「特定受給資格者」に該当しない、となります。

もともと事業が終わることは、有期事業ということで明確にわかっていたはずですから、救済の程度として低いことは、イメージとしてつかみやすいと思います。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第4問 B

いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長についての合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、特定理由離職者に該当する。

解答の根拠

法13条3項、則19条の2、行政手引50305-2

次に、本肢では「特定理由離職者」に該当するか否かを判断します。

特定理由離職者の定義について、条文を確認します。

(基本手当の受給資格)
第十三条
 前項の特定理由離職者とは、離職した者のうち、第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者(筆者注:特定受給資格者のことです)以外の者であつて、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。

雇用保険法

上記の条文から、以下のように定義をまとめることができます。

特定理由離職者…特定受給資格者以外で、有期労働契約の期間満了かつ当該有期労働契約の更新がない(本人が更新を希望したのに更新されなかった場合に限る)、その他やむを得ない理由により離職した者

この定義をまずはおさえましょう。

次に、本肢では「派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣就業を指示されなかったことにより離職した場合」は、上記の「特定理由離職者」に該当するかどうかが問われています。

この点につき、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)を確認します。

50305-2 (5-2) 特定理由離職者の範囲
いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長について合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより、離職に至った場合が本要件に該当する。

雇用保険に関する業務取扱要領

今回の問題文は、上記の行政手引からの引用でした。

派遣労働者には、「登録型」と「常用(雇用)型」があります。

前者の「登録型」は、派遣元に氏名や就業可能な業務などをあらかじめ登録しておき、その条件に当てはまる仕事が発生したときにその派遣期間だけ雇用契約を結び、派遣先で働くスタイルです。

一方、後者の「常用(雇用)型」は、派遣元の社員として雇用されることになりますので、派遣業務が発生した場合は当該業務に従事し、派遣期間が終わっても派遣元の社員としての地位は失わないスタイルです。

もちろん、後者の方が「雇用の安定性」としては高いことになります。

本問では、前者の「登録型」について問われていますが、説明した通り「派遣期間だけ雇用契約を結ぶ」→「派遣期間が終われば雇用契約が終わり離職する」となりますので、人が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣就業の指示がないことで離職に至った場合は、一般的な「契約更新がされなかった状態」に類似していると判断されて、「特定理由離職者」に該当する、とされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

雇用保険法/徴収法 令和3年第4問 C

常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合、当該転勤は労働者にとって通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない。

解答の根拠

法23条2項、則36条6号、行政手引50305

本肢はまた「特定受給資格者」の話に戻ります。

本肢では「介護が必要な親族と同居する労働者が、遠方に転勤を命じられて介護と両立できない状態になったために離職した」場合に、「特定受給資格者」に該当するかどうかが問われています。

この点につき、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)を確認します。

50305(5)特定受給資格者の範囲
ロ 法第 23 条第 2 項第 2 号による離職(解雇等による離職)
(ヘ) 事業主が労働者の配置転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないこと
次のいずれかに該当する場合に適用する。
d 権利濫用に当たるような事業主の配転命令がなされた場合
家族的事情(常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等の事情がある場合をいう。)を抱える労働者が、遠隔地(※)に転勤を命じられた場合等がこれに当たる。

l※「遠隔地」とは、通常の交通機関を利用し、又は自動車、自転車を用いる等通常の方法により通勤するために、概ね往復 4 時間以上要する場合をいう。

雇用保険に関する業務取扱要領

ということで、介護をしている労働者が往復4時間以上要する遠隔地に転勤を命じられたために離職した場合は、「特定受給資格者」に該当する、とされています。

これは、実際にあったら本当にひどい話です。

会社が、当該労働者が介護していることを知っておきながら、そのような転勤命令を出したために離職せざるをえない状態になったら、手厚く保護する必要があります。

そのようなイメージから、「特定受給資格者」に該当する、というのは違和感ないと思います。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第4問 D

労働組合の除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、当該組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合には、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないとしても、特定受給資格者に該当しない。

解答の根拠

法23条2項、則36条1号、行政手引50305

本肢は引き続き「特定受給資格者」の話です。

本肢では「労働協約から除名されたために、当然解雇となる団体協約(一般的に、ユニオンショップ協定/ユ・シ協定といいます)に基づいて解雇された」場合に、「特定受給資格者」に該当するかどうかが問われています。

この点につき、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)を確認します。

50305(5)特定受給資格者の範囲
ロ 法第 23 条第 2 項第 2 号による離職(解雇等による離職)
(イ) 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)
(略)なお、労働組合からの除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないにもかかわらず、組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合は当該基準に該当する。

雇用保険に関する業務取扱要領

今回の問題文は、上記の行政手引からの引用でした。

「当該基準に該当する」というのは「特定受給資格者」として認める、という意味になります。

自己の責めに帰すべき重大な理由…何か悪いことをしてしまったとかなどの事情があれば保護に値しませんが、そのようはことはなく、単にユニオンショップ協定に基づいて解雇されてしまった場合は、保護する必要があるとの整理になります。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第4問 E

子弟の教育のために退職した者は、特定理由離職者に該当する。

解答の根拠

法13条3項、則19条の2、行政手引50305-2

本肢はまた「特定理由離職者」の話に戻ります。

本肢では「子弟(子どもや弟)の教育のために離職した」場合に、「特定理由離職者」に該当するかどうかが問われています。

この点につき、雇用保険に関する業務取扱要領(行政手引)を確認します。

50305-2 (5-2) 特定理由離職者の範囲
ロ 法第 33 条の正当な理由のある自己都合退職者
(ハ) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために退職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために退職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことによって退職した場合
(中略)
なお、学校入学、訓練施設入校(所)、子弟教育等のために退職することはこの基準に該当しない。

雇用保険に関する業務取扱要領

今回の問題文は、上記の行政手引からの引用でした。

家族の死亡や看護を理由として退職をせざるを得ない状態になった労働者は、保護に値することはイメージできると思いますが、教育のため…となると、「そこまでは保護しなくても…」というのは違和感ないと思います。

本肢は×です。

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