社会保険労務士試験【労働安全衛生法】<令和4年第10問>

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労働安全衛生法に定める安全委員会、衛生委員会及び安全衛生委員会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

労働安全衛生法 令和4年第10問 A

衛生委員会は、企業全体で常時50人以上の労働者を使用する企業において、当該企業全体を統括管理する事業場に設置しなければならないとされている。

解答の根拠

令第9条

根拠条文を確認します。

(衛生委員会を設けるべき事業場)
第九条 法第十八条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

労働安全衛生法施行令

本肢は、「衛生委員会を設けるべき事業場」に関する問題です。

労働安全衛生法や労働基準法は「事業場」という概念がベースとなっています

例えば、本社とは別に複数の支店を設置してる大きな会社でも、36協定などの労使協定は、原則として本社に加えて支店ごとに締結・届出をする必要があります

上記根拠条文のとおり、衛生委員会の設置についても、主語は「事業場」となっておりますので、本社に加えて、支店でも50人以上の労働者が存在する場合は、その支店においても本社とは別に衛生委員会を設置する必要があります。

問題文には「企業全体で」「当該企業全体を統括管理する事業場」とありますので、それでは足りない場合もある…ということですね。

本肢は×です。

労働安全衛生法 令和4年第10問 B

安全委員会は、政令で定める業種に限定してその設置が義務付けられているが、製造業、建設業、運送業、電気業、ガス業、通信業、各種商品小売業及び旅館業はこれに含まれる。

解答の根拠

令第8条

根拠条文を確認します。

(安全委員会を設けるべき事業場)
第八条 法第十七条第一項の政令で定める業種及び規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
 林業、鉱業、建設業製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業及び輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業及び港湾運送業、自動車整備業、機械修理業並びに清掃業 五十人
 第二条第一号及び第二号に掲げる業種(前号に掲げる業種を除く。) 百人

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第二条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第十条第一項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人
 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人

労働安全衛生法施行令

本肢は、「安全委員会を設けるべき事業場」に関する問題です。

安全委員会を設ける事業場(業種・企業規模)については、労働安全衛生法施行令の第8条(準用:第2条)に規定されています。

全部覚えるのは大変なので、本問の回答プロセスとしては、他の4つの肢を×と判断して、残った肢Bが正解…とできればよいと思います。

かといって、無視して良いものでもないので、問題を解くたびに対象の業種・企業規模は確認するようにしましょう!

今回については、上記根拠条文のとおり、問題文に挙げられている業種は規定されております。

本肢は○となり、本問の正解となります。

労働安全衛生法 令和4年第10問 C

安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないとされている場合において、事業者はそれぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができるが、これは、企業規模が300人以下の場合に限られている。

解答の根拠

法第19条第1項

根拠条文を確認します。

(安全衛生委員会)
第十九条 事業者は、第十七条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。

労働安全衛生法

本肢は、「安全衛生委員会」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、
・安全委員会
・衛生委員会
の設置が必要な場合、それぞれを合体して「安全衛生委員会」の設置…とすることも可能
です。

したがって、問題文の前半部分は正しい、となります。

では、後半部分のように、この合体措置について企業規模の条件はあるのでしょうか。

上記根拠条文には、特段の企業規模に関するルールは規定されておりません。

したがって、企業規模の大小にかかわらず、合体措置が取れることとなります。

本肢は×です。

労働安全衛生法 令和4年第10問 D

安全委員会及び衛生委員会の委員には、労働基準法第41条第2号に定める監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者を選任してはならないとされている。

解答の根拠

法第17条第2項 / 法第18条第2項

根拠条文を確認します。

(安全委員会)
第十七条
 安全委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員(以下「第一号の委員」という。)は、一人とする。
 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
 安全管理者のうちから事業者が指名した者
 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

(衛生委員会)
第十八条
 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
 産業医のうちから事業者が指名した者
 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

労働安全衛生法

本肢は、「安全委員会・衛生委員会の委員」に関する問題です。

安全委員会・衛生委員会の構成メンバーは、上記のとおり法第17条第2項・第18条第2項に規定があります。

ここに掲げられているメンバーのうち、特にことわりがあるのは、それぞれの条文の1号の「統括管理するもの」で、「1人」というきまりがあります。

それ以外のメンバーは、人数や、その方の属性(管理監督者か否か)なのかも含め、特段のことわりや例外事項は規定されていません。

ということは、問題文に「労働基準法第41条第2号に定める監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者を選任してはならない」とありますが、上記の通り、メンバーの属性…管理監督者や機密事務を取り扱う者などはメンバーとしてはNG、とのルールはありませんので、選任することは可能です。

本肢は×です。

労働安全衛生法 令和4年第10問 E

事業者は、安全衛生委員会を構成する委員には、安全管理者及び衛生管理者のうちから指名する者を加える必要があるが、産業医を委員とすることについては努力義務とされている。

解答の根拠

法第19条第2項

根拠条文を確認します。

(安全衛生委員会)
第十九条
 安全衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
 安全管理者及び衛生管理者のうちから事業者が指名した者
三 産業医のうちから事業者が指名した者
 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

労働安全衛生法

本肢は「安全衛生委員会の委員」に関する問題です。

安全衛生委員会の構成メンバーは、上記のとおり法第19条第2項に規定があります。

ここに掲げられているメンバーのうち、特にことわりがあるのは、1号の「統括管理するもの」で、「1人」というきまりがあります。

それ以外のメンバーは、人数や、義務なのか努力義務なのかも含め、特段のことわりや例外事項は規定されていません。

ということは、問題文に「産業医を委員とすることについては努力義務」とありますが、例外の規定なく「構成する」とある以上は、産業医を委員とすることは「努力義務」ではなく「義務」となります。

本肢は×です。

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