労働安全衛生法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、Cにおける「電子情報処理組織」とは、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法第151号)第6条第1項に規定する電子情報処理組織をいう。
労働安全衛生法 令和7年第8問 A
労働安全衛生法第3条第3項には、仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないように配慮しなければならないとの責務が定められているが、当該規定は、建設工事以外の注文者にも適用される。
労働安全衛生法および同法施行令の施行について(昭和47年9月18日基発602号)
根拠通達を確認します。
Ⅰ 法律関係
1 定義(第二条関係)
1の2 事業者等の責務(第三条・第四条関係)
(2) 第三条第三項の「建設工事の注文者等」には、建設工事以外の注文者も含まれること。労働安全衛生法および同法施行令の施行について(昭和47年9月18日基発602号)
本肢は「事業者等の責務」に関する問題です。
法3条3項の「仕事を他人に請け負わせる者」は、上記根拠通達にあるとおり、「建設工事以外の注文者も含まれる」とされています。
なお法改正により、現在では下記の通り変更となっています。
・改正前…施工方法、工期等
・改正後…施工方法、作業方法、工期、納期等
本肢は○です。
労働安全衛生法 令和7年第8問 B
労働安全衛生法第29条第1項には、元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならないと定められているが、当該規定は、建設業、造船業及び製造業に限らず全ての事業に適用される。
法第29条第1項
根拠条文を確認します。
(元方事業者の講ずべき措置等)
第二十九条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。労働安全衛生法
本肢は「元方事業者の講ずべき措置等」に関する問題です。
法29条1項では、元方事業者の指導について規定されています。
この規定については、特段業種を限定するような文言はありませんので、全ての事業に適用される、とされています。
なお法改正により、現在では下記の通り変更となっています。
・改正前…関係請負人の労働者
・改正後…関係請負人に係る作業従事者
本肢は○です。
労働安全衛生法 令和7年第8問 C
労働安全衛生規則第2条第2項は、事業者が労働安全衛生法の定めにより総括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所定事項を、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない旨定めている。
則第2条第2項
根拠条文を確認します。
(総括安全衛生管理者の選任)
第二条
2 事業者は、総括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項に規定する電子情報処理組織(以下「電子情報処理組織」という。)を使用して、次に掲げる事項を、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に報告しなければならない。
一 労働保険番号
二 事業の種類並びに事業場の名称、所在地及び電話番号
三 常時使用する労働者の数
四 総括安全衛生管理者の氏名、生年月日及び選任年月日
五 総括安全衛生管理者の経歴の概要
六 前任者がいる場合はその氏名及び辞任、解任等の年月日
七 初めて総括安全衛生管理者を選任した場合はその旨
八 報告年月日及び事業者の職氏名労働安全衛生規則
本肢は「総括安全衛生管理者の選任」に関する問題です。
上記根拠通達にあるとおり、総括安全衛生管理者を選任したときは、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない、とされています。
本肢は○です。
労働安全衛生法 令和7年第8問 D
労働安全衛生規則第11条第1項には、衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないとされているが、産業医については、作業場等を定期巡視する義務を課す規定は定められていない。
則第15条
根拠条文を確認します。
(産業医の定期巡視)
第十五条 産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
二 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの労働安全衛生規則
本肢は「産業医の定期巡視」に関する問題です。
産業医には、少なくとも毎月1回(所定の場合は2月に1回)の巡視義務・必要な措置を講じる義務が課せられています。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労働安全衛生法 令和7年第8問 E
労働安全衛生規則第12条の3第1項には、安全衛生推進者は、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任する場合を除きその事業場に専属の者を選任するよう定められているが、専任の者とすることまでは定められていない。
則第12条の3第1項
根拠条文を確認します。
(安全衛生推進者等の選任)
第十二条の三 法第十二条の二の規定による安全衛生推進者又は衛生推進者(以下「安全衛生推進者等」という。)の選任は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他法第十条第一項各号の業務(衛生推進者にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから、次に定めるところにより行わなければならない。
一 安全衛生推進者等を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。
二 その事業場に専属の者を選任すること。ただし、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、この限りでない。労働安全衛生規則
本肢は「安全衛生推進者等の選任」に関する問題です。
上記根拠条文にあるとおり、安全衛生推進者については、
・原則…その事業場に専属の者を選任
・例外…労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、この限りでない
とされています。
本肢は○です。


