社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和4年第3問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

厚生年金保険法 令和4年第3問 A

甲は、昭和62年5月1日に第3種被保険者の資格を取得し、平成元年11月30日に当該被保険者資格を喪失した。甲についての、この期間の厚生年金保険の被保険者期間は、36月である。

解答の根拠

昭60法附則第47条第4項

根拠条文を確認します。

(厚生年金保険の被保険者期間等に関する経過措置)
第四十七条
 平成三年四月一日前の第三種被保険者等であつた期間につき厚生年金保険の被保険者期間を計算する場合には、新厚生年金保険法第十九条第一項及び第二項の規定にかかわらず、これらの規定によつて計算した期間に五分の六を乗じて得た期間をもつて厚生年金保険の被保険者期間とする。

厚生年金保険法昭和60年附則

本肢は、「被保険者資格の経過措置」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、
平成3年4月1日前の第3種被保険者であった期間
⇒5分の6を乗じた期間

とされています。

したがって、問題文の被保険者期間は
(昭和62年5月~平成元年10月)30月×6/5=36月
となります

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第3問 B

老齢厚生年金の加給年金額の加算の対象となっていた子(障害等級に該当する障害の状態にないものとする。)が、18歳に達した日以後の最初の3月31日よりも前に婚姻したときは、その子が婚姻した月の翌月から加給年金額の加算がされなくなる。

解答の根拠

法第44条第4項第7号

根拠条文を確認します。

(加給年金額)
第四十四条
 第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、配偶者又は子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、同項の規定にかかわらず、その者に係る同項の加給年金額を加算しないものとし、次の各号のいずれかに該当するに至つた月の翌月から、年金の額を改定する。
 死亡したとき。
 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき。
 配偶者が、六十五歳に達したとき。
 子が、養子縁組によつて受給権者の配偶者以外の者の養子となつたとき。
 養子縁組による子が、離縁をしたとき。
七 子が、婚姻をしたとき。
 子(障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子を除く。)について、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。
 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子を除く。)について、その事情がやんだとき。
 子が、二十歳に達したとき。

厚生年金保険法

本肢は、「加給年金額」に関する問題です。

上記根拠条文は、加給年金額の支給停止事由に関する条文となります。

その中に今回の問題のケースである「子が婚姻をしたとき」があり、その月の翌月から年金を改定することになります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第3問 C

適用事業所に使用されている第1号厚生年金被保険者である者は、いつでも、当該被保険者の資格の取得に係る厚生労働大臣の確認を請求することができるが、当該被保険者であった者が適用事業所に使用されなくなった後も同様に確認を請求することができる。

解答の根拠

法第31条第1項

根拠条文を確認します。

(確認の請求)
第三十一条 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、第十八条第一項の規定による確認を請求することができる。

(資格の得喪の確認)
第十八条
 被保険者の資格の取得及び喪失は、厚生労働大臣の確認によつて、その効力を生ずる。ただし、第十条第一項の規定による被保険者の資格の取得及び第十四条第三号に該当したことによる被保険者の資格の喪失は、この限りでない。

厚生年金保険法

本肢は、「資格の得喪の確認」に関する問題です。

上記根拠条文の構成を考えます。
・第18条…被保険者資格の得喪は厚生労働大臣の確認で効力を生じる
・第31条…被保険者・被保険者であった者は、上記「厚生労働大臣の確認」はいつでも請求できる

したがって、問題文のとおりとなります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第3問 D

障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、障害手当金の障害の程度を定めるべき日において遺族厚生年金の受給権者である場合は、その者には障害手当金は支給されない。

解答の根拠

法第56条第1項第1号

根拠条文を確認します。

第五十六条 前条の規定により障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、同条の規定にかかわらず、障害手当金を支給しない。
 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。)

厚生年金保険法

本肢は、「障害手当金」に関する問題です。

障害手当金も他の年金と同様に「併給調整」があります。

上記根拠条文のとおり、「年金たる保険給付の受給権者」は併給調整の対象となりますので、問題文にある「遺族厚生年金の受給権者」は同時に障害手当金を受給することができません。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第3問 E

同時に2以上の適用事業所で報酬を受ける厚生年金保険の被保険者について標準報酬月額を算定する場合においては、事業所ごとに報酬月額を算定し、その算定した額の平均額をその者の報酬月額とする。

解答の根拠

法第24条第2項

根拠条文を確認します。

(報酬月額の算定の特例)
第二十四条
 同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第二十一条第一項、第二十二条第一項、第二十三条第一項、第二十三条の二第一項若しくは前条第一項又は前項の規定によつて算定した額の合算額をその者の報酬月額とする

本肢は「報酬月額の算定の特例」に関する問題です。

複数の事業所で働く場合の報酬月額はどのように算定されるのでしょうか。

この場合は、単純に各事業所について所定の規定によって算定した額を合算額して、報酬月額とする、とされています。

したがって、問題文にあるように「平均額」を報酬月額とすることはありません。

本肢は×となり、本問の正解となります。

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