使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払い方法として、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に掲げる要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)のうち労働者が指定するものの第二種資金移動業に係る口座への資金移動によることができる(いわゆる賃金のデジタル払い)が、次の記述のうち、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に定めるものとして、誤っているものはどれか。
労働基準法 令和6年第4問 A
賃金の支払に係る資金移動を行う口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の額が500万円を超えることがないようにするための措置又は当該額が500万円を超えた場合に当該額を速やかに500万円以下とするための措置を講じていること。
則第7条の2第1項第3号
根拠条文を確認します。
第七条の二
三 資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号。以下「資金決済法」という。)第三十六条の二第二項に規定する第二種資金移動業(以下単に「第二種資金移動業」という。)を営む資金決済法第二条第三項に規定する資金移動業者であつて、次に掲げる要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた者(以下「指定資金移動業者」という。)のうち当該労働者が指定するものの第二種資金移動業に係る口座への資金移動
イ 賃金の支払に係る資金移動を行う口座(以下単に「口座」という。)について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の額が百万円を超えることがないようにするための措置又は当該額が百万円を超えた場合に当該額を速やかに百万円以下とするための措置を講じていること。
ロ 破産手続開始の申立てを行つたときその他為替取引に関し負担する債務の履行が困難となつたときに、口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額を速やかに当該労働者に弁済することを保証する仕組みを有していること。
ハ 口座について、労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰することができない理由で当該労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することが困難となつたことにより当該債務について当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
ニ 口座について、特段の事情がない限り、当該口座に係る資金移動が最後にあつた日から少なくとも十年間は、労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することができるための措置を講じていること。
ホ 口座への資金移動が一円単位でできるための措置を講じていること。
ヘ 口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法その他の通貨による受取ができる方法により一円単位で当該受取ができるための措置及び少なくとも毎月一回は当該方法に係る手数料その他の費用を負担することなく当該受取ができるための措置を講じていること。
ト 賃金の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。
チ イからトまでに掲げるもののほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。労働基準法施行規則
本肢は、「賃金のデジタル払い」に関する問題です。
根拠条文(イ)のとおり、いわゆる賃金のデジタル払いの要件として、「賃金の支払に係る資金移動を行う口座(以下単に「口座」という。)について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の額が百万円を超えることがないようにするための措置又は当該額が百万円を超えた場合に当該額を速やかに百万円以下とするための措置を講じていること。」と定められています。
問題文には「500万円」とありますが、正しくは「100万円」です。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労働基準法 令和6年第4問 B
破産手続開始の申立てを行ったときその他為替取引に関し負担する債務の履行が困難となったときに、賃金の支払に係る資金移動を行う口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額を速やかに当該労働者に弁済することを保証する仕組みを有していること。
則第7条の2第1項第3号
根拠条文は肢Aと同じです。
本肢は、「賃金のデジタル払い」に関する問題です。
根拠条文(ロ)のとおり、いわゆる賃金のデジタル払いの要件として、「破産手続開始の申立てを行つたときその他為替取引に関し負担する債務の履行が困難となつたときに、口座について、労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額を速やかに当該労働者に弁済することを保証する仕組みを有していること。」と定められており、問題文と同じ内容です。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第4問 C
賃金の支払に係る資金移動を行う口座について、労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰することができない理由で当該労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することが困難となったことにより当該債務について当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
則第7条の2第1項第3号
根拠条文は肢Aと同じです。
本肢は、「賃金のデジタル払い」に関する問題です。
上記根拠条文(ハ)のとおり、いわゆる賃金のデジタル払いの要件として、「口座について、労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰することができない理由で当該労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することが困難となつたことにより当該債務について当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。」と定められており、問題文と同じ内容です。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第4問 D
賃金の支払に係る資金移動を行う口座(以下本問において「口座」という。)について、特段の事情がない限り、当該口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも10年間は、労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することができるための措置を講じていること。
則第7条の2第1項第3号
根拠条文は肢Aと同じです。
本肢は、「賃金のデジタル払い」に関する問題です。
上記根拠条文(ニ)のとおり、いわゆる賃金のデジタル払いの要件として、「口座について、特段の事情がない限り、当該口座に係る資金移動が最後にあつた日から少なくとも十年間は、労働者に対して負担する為替取引に関する債務を履行することができるための措置を講じていること。」と定められており、問題文と同じ内容です。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第4問 E
賃金の支払に係る資金移動を行う口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法その他の通貨による受取ができる方法により1円単位で当該受取ができるための措置及び少なくとも毎月1回は当該方法に係る手数料その他の費用を負担することなく当該受取ができるための措置を講じていること。
則第7条の2第1項第3号
根拠条文は肢Aと同じです。
本肢は「賃金のデジタル払い」に関する問題です。
上記根拠条文(へ)のとおり、いわゆる賃金のデジタル払いの要件として、「口座への資金移動に係る額の受取について、現金自動支払機を利用する方法その他の通貨による受取ができる方法により一円単位で当該受取ができるための措置及び少なくとも毎月一回は当該方法に係る手数料その他の費用を負担することなく当該受取ができるための措置を講じていること。」と定められており、問題文と同じ内容です。
本肢は○です。