国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和5年第問 A
保険料の全額免除の規定により、納付することを要しないとの厚生労働大臣の承認を受けたことのある老齢基礎年金の受給権者が、当該老齢基礎年金を請求していない場合、その承認を受けた日から10年以内の期間に係る保険料について追納することができる。
法第94条
根拠条文を確認します。
(保険料の追納)
第九十四条 被保険者又は被保険者であつた者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、厚生労働大臣の承認を受け、第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前十年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき追納をすることができる。ただし、同条第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限る。国民年金法
本肢は、「保険料の追納」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、追納できる主体は「被保険者又は被保険者であつた者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)」とされています。
問題文には「老齢基礎年金の受給権者が…」とされていますので、追納はできません。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第問 B
付加年金は、第1号被保険者及び第3号被保険者としての被保険者期間を有する者が老齢基礎年金の受給権を取得したときに支給されるが、第2号被保険者期間を有する者について、当該第2号被保険者期間は付加年金の対象とされない。
法第87条の2
根拠条文を確認します。
第八十七条の二 第一号被保険者(第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により保険料を納付することを要しないものとされている者、第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされている者及び国民年金基金の加入員を除く。)は、厚生労働大臣に申し出て、その申出をした日の属する月以後の各月につき、前条第三項に定める額の保険料のほか、四百円の保険料を納付する者となることができる。
国民年金法
本肢は、「付加年金」に関する問題です。
付加年金の対象者は「第1号被保険者」です。
「第2号被保険者」「第3号被保険者」は対象外です。
問題文には「第1号被保険者及び第3号被保険者としての被保険者期間を有する者」が対象者とされているので、誤りとなります。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第問 C
厚生労働大臣は、被保険者から保険料の口座振替納付を希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
法第92条の2
根拠条文を確認します。
(口座振替による納付)
第九十二条の二 厚生労働大臣は、被保険者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うこと(附則第五条第二項において「口座振替納付」という。)を希望する旨の申出があつた場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。国民年金法
本肢は、「口座振替による納付」に関する問題です。
口座振替による保険料納付が認められる要件は、上記根拠条文のとおり、
・納付が確実と認められる
・申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められる
両者を満たす場合とされています。
問題文では、「出を承認することが保険料の徴収上有利と認められる」について触れられておりませんので、誤りとなります。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第問 D
被保険者ではなかった19歳のときに初診日のある傷病を継続して治療中の者が、その傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した当該傷病による障害認定日(20歳に達した日後とする。)において、当該傷病により障害等級2級以上に該当する程度の障害の状態にあるときには、その者に障害基礎年金を支給する。
法第30条の4第1項
根拠条文を確認します。
第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。
国民年金法
本肢は、「20歳前傷病による障害基礎年金」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文のとおりとなります。
「20歳前傷病による障害基礎年金」の支給要件は、
・疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満
・障害認定日以後に二十歳に達した→二十歳に達した日/障害認定日が二十歳に達した日後→その障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態にある
となります。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和5年第問 E
寡婦年金の額は、死亡した夫の老齢基礎年金の計算の例によって計算した額の4分の3に相当する額であるが、当該夫が3年以上の付加保険料納付済期間を有していた場合には、上記の額に8,500円を加算した額となる。
法第50条
根拠条文を確認します。
(年金額)
第五十条 寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第一号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、第二十七条の規定の例によつて計算した額の四分の三に相当する額とする。国民年金法
本肢は「寡婦年金」に関する問題です。
寡婦年金には、問題文にあるような「夫が3年以上の付加保険料納付済期間を有していた場合に加算する」というような規定はありません。
支給要件は、上記根拠条文のとおりです。
本肢は×です。