社会保険労務士試験【労働者災害補償保険法/徴収法】<令和5年第9問>

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労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第9問 A

労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主のほか、他の都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主についても、当該労働保険事務組合に労働保険事務を委託することができる。

解答の根拠

法第33条第1項 / 則第62条第1項

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合)
第三十三条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であつて代表者の定めがないものを除く。以下同じ。)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、この章の定めるところにより、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(委託事業主の範囲)
第六十二条 法第三十三条第一項の厚生労働省令で定める事業主は、同項に規定する事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であつて、当該事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体又はその連合団体に委託することが必要であると認められるものとする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「委託事業主の範囲」に関する問題です。

令和2年に法改正があり。労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業の事業主に加えて、他の都道府県の事業の事業主についても労働保険事務組合に労働保険事務を委託できることとなっております。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第9問 B

労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、必要があると認めたときは、当該労働保険事務組合に対し、当該労働保険事務組合が労働保険事務の処理の委託を受けることができる事業の行われる地域について必要な指示をすることができる。

解答の根拠

則第62条第3項

根拠条文を確認します。

(委託事業主の範囲)
第六十二条 
 労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、必要があると認めたときは、当該労働保険事務組合に対し、当該労働保険事務組合が労働保険事務の処理の委託を受けることができる事業の行われる地域について必要な指示をすることができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「委託事業主の範囲」に関する問題です。

こちらは条文そのものの問題です。

上記根拠条文の通り、「労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、必要があると認めたときは、当該労働保険事務組合に対し、当該労働保険事務組合が労働保険事務の処理の委託を受けることができる事業の行われる地域について必要な指示をすることができる」と規定されています。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第9問 C

労働保険事務組合は労働保険徴収法第33条第2項に規定する厚生労働大臣の認可を受けることによって全く新しい団体が設立されるわけではなく、既存の事業主の団体等がその事業の一環として、事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理するものである。

解答の根拠

法第33条第2項

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合)
第三十三条
 事業主の団体又はその連合団体は、前項に規定する業務を行なおうとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は、「労働保険事務組合」に関する問題です。

上記根拠条文の通り、「労働保険事務組合」は、まず既存の団体があり、その団体が厚生労働大臣の認可を受けたことにより「労働保険事務組合」となります。

認可を受けて初めて新団体が設立するわけではなく、既存の団体に追加で権限を与えるイメージです。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第9問 D

労働保険事務組合事務処理規約に規定する期限までに、確定保険料申告書を作成するための事実を事業主が報告したにもかかわらず、労働保険事務組合が労働保険徴収法の定める申告期限までに確定保険料申告書を提出しなかったため、所轄都道府県労働局歳入徴収官が確定保険料の額を認定決定し、追徴金を徴収することとした場合、当該事業主が当該追徴金を納付するための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったときは、当該労働保険事務組合は政府に対して当該追徴金の納付責任を負うことはない。

解答の根拠

法第35条第2項

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合の責任等)
第三十五条
 労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は、「労働保険事務組合の責任」に関する問題です。

事業主はしっかりと対応したにもかかわらず、労働保険事務組合の提出遅れが理由で追徴金と対象となってしまった場合、事業主と労働保険事務組合、どちらが責任(追徴金の納付義務)を負うのでしょうか。

もちろんですが、当該追徴金は、労働保険事務組合の責任によって生じた追徴金であるので、当該労働保険事務組合が納付する責任を負うことになります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第9問 E

清掃業を主たる事業とする事業主は、その使用する労働者数が臨時に増加し一時的に300人を超えることとなった場合でも、常態として300人以下であれば労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託することができる。

解答の根拠

則第62条第2項

根拠条文を確認します。

(委託事業主の範囲)
第六十二条
 法第三十三条第一項の厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主は、常時三百人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については百人)を超える数の労働者を使用する事業主とする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は「委託事業主の範囲」に関する問題です。

まず、労働保険事務組合に労働保険事務を委託できる事業主の要件を整理します。

●労働保険事務組合に委託できる事業主

使用労働者数が…
・金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人以下
・卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人以下
・その他常時300人以下

では、例えば上記の使用労働者数ギリギリの状況があった場合に、一時的に上限を超えてしまったら、その瞬間から対象外となってしまうのでしょうか。

この点については、「常態として」…つまり、通常の使用労働者が上記上限以下であれば、仮に一時的に上限を超えてしまったとしてもセーフ、とされています。

本肢は○です。

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