社会保険労務士試験【労働者災害補償保険法/徴収法】<令和3年第8問>

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保険関係の成立及び消滅に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第8問 A

労災保険暫定任意適用事業に該当する事業が、事業内容の変更(事業の種類の変化)、使用労働者数の増加、経営組織の変更等により、労災保険の適用事業に該当するに至ったときは、その該当するに至った日の翌日に、当該事業について労災保険に係る保険関係が成立する。

解答の根拠

法3条 / 整備法7条

本肢は基本中の基本ですね!

念のため根拠条文を見ておきます。

(保険関係の成立)
第三条 労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

第七条 労災保険暫定任意適用事業に該当する事業が新労災保険法第三条第一項の適用事業に該当するに至つた場合その他厚生労働省令で定める場合における徴収法第三条の規定の適用については、同条中「その事業が開始された日」とあるのは、「その事業が開始された日又はその事業が同項の適用事業に該当するに至つた日」とする。

失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

条文の構成としては、原則のルールを徴収法3条で規定し、労災保険暫定任意適用事業については、整備法7条で3条を準用し、「事業が開始された日」または「その事業が適用事業に該当するに至った日」と規定しています。

ということで、本肢のケースは「その事業が適用事業に該当するに至った日」に労災保険に係る保険関係が成立することとなります。

そのまま覚えてください…としたらそれで終わりなので、頭に残るような考え方を…

事業が開始する日…例えば、「本日から、●●会社、事業開始します!」という日があったとして、もちろんですが、その日に労災事故が起こることも十分にありうるわけです。

ウキウキオフィスを歩いていたら、片付け途中の荷物にぶつかってケガしたとか…(あるかな?)

だから、「翌日」では遅いのです…。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第8問 B

労災保険に任意加入しようとする任意適用事業の事業主は、任意加入申請書を所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、厚生労働大臣の認可があった日の翌日に、当該事業について労災保険に係る保険関係が成立する。

解答の根拠

整備法5条1項

こちらも、肢Aに続き基本中の基本です!

根拠条文を確認します。

(労災保険に係る保険関係の成立に関する経過措置)
第五条 失業保険法等の一部改正法附則第十二条第一項に規定する事業(以下「労災保険暫定任意適用事業」という。)の事業主については、その者が労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があつた日に、その事業につき徴収法第三条に規定する労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「労災保険に係る保険関係」という。)が成立する。

失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

肢Aと同様に「翌日に成立するのでは遅いよ!」と覚えておきましょう!

本肢は×です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第8問 C

労災保険に加入する以前に労災保険暫定任意適用事業において発生した業務上の傷病に関して、当該事業が労災保険に加入した後に事業主の申請により特例として行う労災保険の保険給付が行われることとなった労働者を使用する事業である場合、当該保険関係が成立した後1年以上経過するまでの間は脱退が認められない。

解答の根拠

整備法8条2項

本肢は少し問題文を丁寧に読む必要がありますね。

まず、根拠条文を確認します。

(労災保険に係る保険関係の消滅に関する経過措置)
第八条 第五条第一項若しくは第三項又は第六条の規定により労災保険に係る保険関係が成立している事業の事業主については、徴収法第五条の規定によるほか、その者が当該保険関係の消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があつた日の翌日に、その事業についての当該保険関係が消滅する。
2 前項の申請は、次の各号に該当する場合でなければ行うことができない。
一 当該事業に使用される労働者の過半数の同意を得ること。
二 第五条第一項又は第六条第一項の規定により労災保険に係る保険関係が成立している事業にあつては、当該保険関係が成立した後一年を経過していること。
三 第十八条第一項若しくは第二項、第十八条の二第一項若しくは第二項又は第十八条の三第一項若しくは第二項の規定による保険給付が行われることとなつた労働者に係る事業にあつては、第十九条第一項の厚生労働省で定める期間を経過していること。

失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

上記の根拠条文には準用が多いので、準用先の項目を当てはめると以下のようにまとめられます。

労災保険暫定任意適用事業の保険関係の消滅申請ができる要件
1.当該事業に使用される労働者の過半数の同意を得ること。
2.当該保険関係が成立した後1年を経過していること。
3.特例保険給付が行われる労働者に係る事業は、特別保険料の徴収期間を経過していること。

問題文には、「労災保険に加入する以前に労災保険暫定任意適用事業において発生した業務上の傷病」とあります。

今回は、「暫定任意適用事業」が「任意」のため適用申請をしていなかった場合で、その期間中に労災事故が発生したため、慌てて「今まで任意だから申請していなかったけど、労災事故が起きちゃったのでやっぱ適用を申請します!」と、後出しジャンケン的な状況をイメージしてください。

法律で「任意」という状態が認められているので、適用申請をしていなかったこと自体は別に法違反でも悪い事でもないのですが、「保険」というからには、前もって加入し保険料を納めていて始めて事故に対する給付が受けられる…というのは、常識的にも当然だと思います。

ということで、このような後出しジャンケンなケースの場合は、「適用申請を受け付けるし、保険給付(この場合の保険給付を「特例保険給付」と言います)も門前払いはしないよ。でも、後出しジャンケンだから、通常の保険料に加えて、少し多めに保険料(この多めに払う保険料を「特別保険料」と言います。)を払ってね」というルールにしています。

そうでないと、みんな「余計な保険料を払いたくない!」と特例が乱発されることになりますからね。

ここまで確認したうえで、問題文に戻ります。

当たり前ですが、特例保険給付を受けるならば、特別保険料を払い終わった後でないと、「やっぱり保険関係やめます!」とできないことは理解できると思います。

ただ、払い終わってくれれば別にやめてもいいよ、というのが上記根拠条文の3に規定されているわけです。

根拠条文の2に「1年経過」とあるので、これと混同して「○だ!」と判断してしまうかもしれませんが、あくまでも特例保険給付に関しては、3の「特別保険料の徴収期間を経過していること」が適用されます。

本肢は×となります。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第8問 D

労災保険に係る保険関係の消滅を申請しようとする労災保険暫定任意適用事業の事業主は、保険関係消滅申請書を所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、厚生労働大臣の認可があった日の翌日に、当該事業についての保険関係が消滅する

解答の根拠

整備法8条1項

さて、少し込み入った肢Cを抜けると、また日付の問題に戻ります。

肢A・Bは保険関係成立でしたが、今回は保険関係消滅です。

根拠条文を確認します。

(労災保険に係る保険関係の消滅に関する経過措置)
第八条 第五条第一項若しくは第三項又は第六条の規定により労災保険に係る保険関係が成立している事業の事業主については、徴収法第五条の規定によるほか、その者が当該保険関係の消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があつた日の翌日に、その事業についての当該保険関係が消滅する。

失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

保険関係消滅申請の場合は、上記の通り「厚生労働大臣の認可があった日の翌日」に消滅する、とされています。

これも、保険関係の成立と同様にイメージすると忘れません。

例えば、「当日に消滅する」としてしまうと、厚生労働大臣の認可があったのがその日の正午だとしたら、その日の午後に起きた労災事故は対象外?という、なんか変な状況になってしまいます。

厚生労働大臣の認可が何時にあろうが、「翌日に消滅する」とすれば、そんな細かい事は気にしなくてよくなりますよね。

本肢は○となり、本問の正解となります。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第8問 E

労災保険暫定任意適用事業の事業者がなした保険関係の消滅申請に対して厚生労働大臣の認可があったとき、当該保険関係の消滅に同意しなかった者については労災保険に係る保険関係は消滅しない。

解答の根拠

整備法8条1項

本肢についても、実際のシーンをイメージしてみてください。

会社・組織として保険関係の消滅申請をしたのに、「同意しなかった労働者だけ労災が引き続き適用される」というのはおかしいですよね。

だって、もう保険料も払わないわけですし…。

そもそも保険関係の最小単位は「事業」であり「労働者」ではありませんので、同意しなかった労働者を含めて全員保険関係が消滅することとなります。

野球部の解散が決まったのに、それに納得しない部員2名が残って部活を続ける…というのは、漫画やドラマの世界だけということで…。

本肢は×となります。

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