社会保険労務士試験【健康保険法】<令和4年第3問>

スポンサーリンク

健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
1 .(アとイ)
2 .(アとウ)
3 .(イとエ)
4 .(イとオ)
5 .(エとオ)

健康保険法 令和4年第3問 ア

健康保険法第100条では、「被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。」と規定している。

解答の根拠

法第100条第1項

根拠条文を確認します。

(埋葬料)
第百条 被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。

健康保険法

本肢は、「埋葬料」に関する問題です。

本肢は条文通りの問題ですね。

埋葬料は
・被保険者が死亡したとき
・その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うもの

に支給されます。

本肢は○です。

健康保険法 令和4年第3問 イ

被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は療養所に移送されたときは、保険者が必要であると認める場合に限り、移送費が支給される。移送費として支給される額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額とする。ただし、現に移送に要した金額を超えることができない。

解答の根拠

法第97条 / 則第80条

根拠条文を確認します。

第九十七条 被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する。

健康保険法

(移送費の額)
第八十条 法第九十七条第一項の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額とする。ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。

健康保険法施行規則

本肢は、「移送費」に関する問題です。

まず前段について確認します。

前段は移送費の定義となり、上記根拠条文のとおりとなります。

移送費は
・療養の給付を受けるため
・病院又は診療所に移送されたとき

に支給されます。

次に後段について確認します。

後段は、移送費の額に関してです。

上記根拠条文のとおり、移送費の額は
・最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額
・ただし、現に移送に要した金額を超えることができない

とされています。

問題文にあるような「保険者が算定した額から3割の患者自己負担分を差し引いた金額」というルールはありません。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第3問 ウ

全国健康保険協会(以下本問において「協会」という。)が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、協会の理事長が当該変更に係る都道府県に所在する協会支部の支部長の意見を聴いたうえで、運営委員会の議を経なければならない。その議を経た後、協会の理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

解答の根拠

法第160条第6項・第8項

根拠条文を確認します。

(保険料率)
第百六十条
 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ、理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならない。
 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

健康保険法

本肢は、「保険料率」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、保険料率を変更する場合は、
「都道府県支部長の意見聴取 + 運営委員会の議 + 厚生労働大臣の認可」
の3点セットが必要となります。

本肢は○です。

健康保険法 令和4年第3問 エ

傷病手当金の支給を受けている期間に別の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、後の傷病に係る待期期間の経過した日を後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日として傷病手当金の額を算定し、前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額の傷病手当金を支給する。その後、前の傷病に係る傷病手当金の支給が終了又は停止した日において、後の傷病に係る傷病手当金について再度額を算定し、その額を支給する。

解答の根拠

持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&A(平成27年12月18日事務連絡)

根拠通達を確認します。

問8 1つの傷病について傷病手当金の支給を受けている期間中に、別の傷病についても傷病手当金の支給要件を満たしている場合は、どのように額を算定すればよいのか。

(回答)
後の傷病に係る待期期間の経過した日を「後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日」として額を算定し、前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額を支給する。この場合、後の傷病に係る傷病手当金の「支給を始める日」が確定するため、前の傷病手当金の支給が終了又は停止した日において、後の傷病手当金について再度額を算定する必要はない。

持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&A(平成27年12月18日事務連絡)

本肢は、「傷病手当金」に関する問題です。

傷病手当金を受給している間に、別の傷病手当金の受給権が発生した場合に、どのように調整するのでしょうか。

上記根拠通達によれば、以下の通りとなります。
・後の傷病に係る待期期間の経過した日を「後の傷病に係る傷病手当金の支給を始める日」として額を算定
⇒前の傷病に係る傷病手当金の額と比較し、いずれか多い額を支給

つまり、併給はもちろんありませんが、前後を比較してより多い方が支給されます。

そして、問題と関係する部分ですが、一度多い方として決まった金額は、その後に前の傷病手当金の支給が終了・停止した場合であっても、再度金額を見直すことは不要、とされています。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第3問 オ

指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、基本利用料とその他の利用料を、その費用ごとに区分して記載した領収書を交付しなければならない。

解答の根拠

法第88条第9項 / 則第72条

根拠条文を確認します。

(訪問看護療養費)
第八十八条
 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。

健康保険法

(訪問看護療養費に係る領収証)
第七十二条 指定訪問看護事業者は、法第八十八条第九項の規定により交付しなければならない領収証には、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成十二年厚生省令第八十号)第十三条第一項に規定する基本利用料及び同条第二項に規定するその他の利用料について、個別の費用ごとに区分して記載しなければならない。

健康保険法施行規則

本肢は「訪問看護療養費に係る領収証」に関する問題です。

かなり実務的な…細かいルールの問題ですね。

上記根拠条文のとおり、訪問看護療養費に関係して、被保険者が訪問看護に要した費用を支払った際には、指定訪問看護事業者は領収証を交付しなければならない…とされています。

そしてその領収書は「個別の費用ごとに区分して記載しなければならない」とされています。

そんなことも法律で定めておくのだな…と思いました。

本肢は○です。

以上から、誤りはイとエとなり、3が正解となります。

タイトルとURLをコピーしました