社会保険労務士試験【健康保険法】<令和4年第4問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和4年第4問 A

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定については、夫婦とも被用者保険の被保険者である場合には、被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、健康保険被扶養者(異動)届が出された日の属する年の前年分の年間収入の多い方の被扶養者とする。

解答の根拠

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日保保発0430第2号/保国発0430第1号)

根拠通達を確認します。

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について
1 夫婦とも被用者保険の被保険者の場合には、以下の取扱いとする。
(1) 被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。以下同じ。)が多い方の被扶養者とする。

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日保保発0430第2号/保国発0430第1号)

本肢は、「被扶養者」に関する問題です。

実務上でも、「税法扶養」と「健康保険の扶養」の概念がごっちゃになっている方をよく見かけます。

税法扶養の方は、年末調整や確定申告などの手続きからわかるとおり、かなり厳密に確定した金額をもって不要か否かを判定します。

一方、健康保険の扶養は、上記根拠通達からもわかるとおり、「見込み」という比較的緩めなイメージです。

したがって、仮に前年分の年間収入が多かったとしても、現時点で働いていなく収入ゼロ…という場合は「現時点での収入+今後も当面収入はない」ということで被扶養者認定される…となります。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第4問 B

被保険者の事実上の婚姻関係にある配偶者の養父母は、世帯は別にしていても主としてその被保険者によって生計が維持されていれば、被扶養者となる。

解答の根拠

法第3条第7項第3号

根拠条文を確認します。

(定義)
第三条 
 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

健康保険法

本肢は、「被扶養者」に関する問題です。

健康保険の被扶養者は、「生計維持要件」は全員必要ですが、「同居要件」については…
・不要…配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹
・必要…上記以外の3親等内の親族

となります。

問題文にある「配偶者の養父母」は、直系尊属ではない3親等内の親族となりますので、同居が必要です。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第4問 C

全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者に係る介護保険料率は、各年度において保険者が納付すべき介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く。)の額を、前年度における当該保険者が管掌する介護保険第2号被保険者である被保険者の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の合算額で除して得た率を基準として、保険者が定める。

解答の根拠

法第160条第16項

根拠条文を確認します。

(保険料率)
第百六十条
16 介護保険料率は、各年度において保険者が納付すべき介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く。)の額を当該年度における当該保険者が管掌する介護保険第二号被保険者である被保険者の総報酬額の総額の見込額で除して得た率を基準として、保険者が定める。

健康保険法

本肢は、「介護保険料率」に関する問題です。

介護保険料率の決定方法は、上記根拠条文のとおりです。

整理すると…
各年度において保険者が納付すべき介護納付金 ÷ 介護保険第2号被保険者の総報酬額総額見込額
を基準として保険者が定める

とされています。

問題文では、「標準報酬月額の総額及び標準賞与額の合算額」とされていますが、ここが正しくは「総報酬総額の見込額」となるわけですね。

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第4問 D

患者自己負担割合が3割である被保険者が保険医療機関で保険診療と選定療養を併せて受け、その療養に要した費用が、保険診療が30万円、選定療養が10万円であるときは、被保険者は保険診療の自己負担額と選定療養に要した費用を合わせて12万円を当該保険医療機関に支払う。

解答の根拠

法第86条第2項

根拠条文を確認します。

(保険外併用療養費)
第八十六条
 保険外併用療養費の額は、第一号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及び第二号に掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及び第三号に掲げる額の合算額)とする。
 当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき第七十六条第二項の定めを勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について第七十五条の二第一項各号の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額)を控除した額
 当該食事療養につき第八十五条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額
 当該生活療養につき前条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から生活療養標準負担額を控除した額

本肢は、「保険外併用療養費」に関する問題です。

まず、保険診療の30万円については3割負担となりますので、
30万円 × 30% = 9万円なります。

次に、選定療養の10万円については全額自己負担となります。

したがって総額は、9万円 + 10万円 = 19万円となります、

本肢は×です。

健康保険法 令和4年第4問 E

全国健康保険協会の役員若しくは役職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならず、健康保険法の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すると定められている。

解答の根拠

法第7条の37第1項 / 法第207条の2

根拠条文を確認します。

(秘密保持義務)
第七条の三十七 協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。

第二百七条の二 第七条の三十七第一項(同条第二項及び第二十二条の二において準用する場合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

本肢は「秘密保持義務と罰則」に関する問題です。

まず、上記根拠条文第7条の37にあるとおり、「協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者」については「秘密保持義務」が課せられています

次に、この「秘密保持義務」に反した場合は、どのような罰が設定されているのでしょうか。

上記根拠条文第207条の2によると「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」とされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

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