我が国の転職者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和 2 年転職者実態調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第3問 A
転職者がいる事業所の転職者の募集方法(複数回答)をみると、「求人サイト・求人情報専門誌、新聞、チラシ等」、「縁故(知人、友人等)」、「自社のウェブサイト」が上位3つを占めている。
令和2年転職者実態調査 2 転職者の採用状況(3)転職者の募集状況
根拠となる調査を確認します。
2 転職者の採用状況
令和2年転職者実態調査
(3)転職者の募集状況
転職者がいる事業所の転職者の募集方法(複数回答)をみると、「ハローワーク等の公的機関」とする事業所割合が57.3%で最も高く、次いで「求人サイト・求人情報専門誌、新聞、チラシ等」が43.2%、「縁故(知人、友人等)」が27.6%となっている。
本肢は、「令和2年転職者実態調査」に関する問題です。
本問全体として「転職者」に関する調査からの出題となっています。
もちろん、受験生の多くはこの調査の存在を知らない・知っていたとしてもすべての調査結果を暗記しているわけではありません。
ということで、やはりこの手の問題を解くときには「The常識力」が必要となってきます。
まず本肢は、「転職者の募集媒体」が問われています。
一見…
○求人サイト・専門誌・新聞・チラシ
○縁故(いわゆるリファラル採用というやつですね)
○自社のウェブサイト
と、それらしきものがトップ3として挙げられています。
しかし、社労士を目指す方であれば、雇用保険絡みで「ハローワーク経由はないのかな?」と思いついてほしいところです。
上記引用した調査結果のとおり、ハローワーク等の公的機関経由の採用が1位となっているいますね。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第3問 B
転職者がいる事業所において、転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した要素(複数回答)をみると、「年齢」、「免許・資格」、「前職の賃金」が上位3つを占めている。
令和2年転職者実態調査 2 転職者の採用状況(4)転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した要素
根拠となる調査を確認します。
2 転職者の採用状況
令和2年転職者実態調査
(4)転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した要素
転職者がいる事業所において、転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した要素(複数回答)をみると、「これまでの経験・能力・知識」とする事業所割合が74.7%と最も高く、次いで「年齢」が45.2%、「免許・資格」が37.3%となっている。
本肢は、「令和2年転職者実態調査」に関する問題です。
皆さんが仮に会社の人事担当として、経験者を採用する場合に重視するポイントは何ですか?
問題文に挙げられているような…
○年齢
○免許・資格
○前職の賃金
でしょうか。
それらも確かに大切ですが、転職者ということを考えると、新人と異なる視点が「今まで培ってきた経験・能力・知識」ではないでしょうか。
それが問題文に出ていないのは、やはりおかしいな…と気づけば「×」と判断できますね。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第3問 C
転職者がいる事業所で転職者を採用する際に問題とした点(複数回答)をみると、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」、「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」が上位3つを占めている。
令和2年転職者実態調査 2 転職者の採用状況(5)転職者を採用する際の問題
根拠となる調査を確認します。
2 転職者の採用状況
令和2年転職者実態調査
(5)転職者を採用する際の問題
転職者がいる事業所の転職者を採用する際の問題の有無をみると、「問題がある」事業所割合が84.1%となっている。「問題がある」とする事業所で問題(複数回答)をみると、「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が67.2%と最も高く、次いで、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が38.8%、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」が32.3%となっている。
本肢は、「令和2年転職者実態調査」に関する問題です。
転職者を採用する際に、問題として何が考えられるでしょうか。
問題文に挙げられているのは、
○採用を判断する客観的基準がない(どのような視点で採用・否採用を決めてよいかわからない)
○採用時の賃金水準や処遇の決め方
○採用後の処遇やキャリア形成の仕方
がトップ3されています。
そのほかに考えられるのは、今は完全に「売り手市場」つまり、採用する企業よりも採用される転職者の方が少ないため、人材の獲得競争になっている状況であることが浮かべば、「そもそも応募数が少ないことも問題となっているのではないか」と気づくと思います。
実際に調査結果でも「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が1位となっているようです。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第3問 D
転職者がいる事業所が転職者の採用に当たり重視した事項(複数回答)をみると、「人員構成の歪みの是正」、「既存事業の拡大・強化」、「組織の活性化」が上位3つを占めている。
令和2年転職者実態調査 2 転職者の採用状況(1)転職者の採用に当たり重視した事項
根拠となる調査を確認します。
2 転職者の採用状況
令和2年転職者実態調査
(1)転職者の採用に当たり重視した事項
転職者がいる事業所が転職者の採用に当たり重視した事項(複数回答)をみると、「人員構成の歪みの是正」とする事業所割合が43.8%と最も高く、次いで、「既存事業の拡大・強化」が42.0%、「組織の活性化」が29.1%となっている。
本肢は、「令和2年転職者実態調査」に関する問題です。
問題文には、転職者のの採用に当たり重視した事項として
○人員構成の歪みの是正(特定の年代が少ないので、その層を補う)
○既存事業の拡大・強化
○組織の活性化
がトップ3として挙げられています。
実際の調査結果もその通りのようですね。
特に1位は、2000年代のいわゆる「就職氷河期」で、企業が採用を絞ったことが、約20年経った現在にしわ寄せがきていると言われています。
その当時の新卒入社者が20年経った今は40歳で、いわゆる企業の中核の年齢層に当たりますが、年齢構成をピラミッドグラフにすると、砂時計のように40歳代のゾーンがくびれている…つまりその年代の社員が極端に少ない会社が多いと言われています。
本肢は○となり、本問の正解となります。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第3問 E
転職者がいる事業所の転職者に対する教育訓練の実施状況をみると、「教育訓練を実施した」事業所割合は約半数となっている。
令和2年転職者実態調査 3 転職者に対する教育訓練の実施状況
根拠となる調査を確認します。
3 転職者に対する教育訓練の実施状況
令和2年転職者実態調査
転職者がいる事業所の転職者に対する教育訓練の実施状況をみると、「教育訓練を実施した」事業所割合が74.5%となっている。
本肢は「令和2年転職者実態調査」に関する問題です。
昨今「リスキリング」という言葉も流行っていますが、「教育訓練」は企業が一層力を入れようとしている様子がうかがえます。
充実した教育訓練体系・メニューが用意されていることも、転職者の企業選びの一つの条件となっていると思います。
したがって、問題文のように「半数」というのは少なすぎるな…というイメージをもっていただければ、「×」と判断できるのではないかな、と。
本肢は×です。