社会保険労務士試験【労働安全衛生法】<令和4年第9問>

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労働安全衛生法に定める作業主任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

労働安全衛生法 令和4年第9問 A

労働安全衛生法施行令第6条第18号に該当する特定化学物質を取り扱う作業については特定化学物質作業主任者を選任しなければならないが、作業が交替制で行われる場合、作業主任者は各直ごとに選任する必要がある。

解答の根拠

昭和47年12月23日基発799号

根拠通達を確認します。

15. 第27条関係(特定化学物質等作業主任者の選任)
(問2.) 交替制の場合、作業主任者は、各直ごとに選任する必要があると考えるがどうか。
(答) 作業主任者は、作業が行なわれる現場において、労働者の指揮、保護具の使用状況の監視等の職務を遂行しなければならないものであり、貴見のとおり

特定化学物質等障害予防規則の疑義に関する質疑事項の回答について(昭和47年12月23日基発799号)

本肢は、「特定化学物質等作業主任者の選任」に関する問題です。

根拠としては「通達に書いてある通り…」となりますが、このような通達は私も知りませんし、受験生の中で何人がこの通達の存在を知っているのか…怪しいものです。

このようなときには、また「The 常識力」で考えてみましょう。

私であれば…
・特定化学物質作業主任者、っていうくらいだから、特定化学物質を用いる作業の安全を確保することが責務なんだな…
・ということは、作業が交替制で行われるのであれば、その各直ごと(つまり、交替制それぞれの時間帯)にその役割を担う人がいなければダメだよな(穴があいてしまう時間帯ができてしまうのは危険)…

と考えて、「作業主任者は各直ごとに選任する必要がある」と判断します。

本肢は○となり、本問の正解となります。

労働安全衛生法 令和4年第9問 B

特定化学物質作業主任者の職務は、作業に従事する労働者が特定化学物質に汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮することにあり、当該作業のために設置されているものであっても、局所排気装置、除じん装置等の装置を点検することは、その職務に含まれない。

解答の根拠

特定化学物質障害予防規則第28条第1号・第2号

根拠条文を確認します。

(特定化学物質作業主任者の職務)
第二十八条 事業者は、特定化学物質作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
 作業に従事する労働者が特定化学物質により汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
 保護具の使用状況を監視すること。
 タンクの内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第三十八条の八において準用する有機則第二十六条各号(第二号、第四号及び第七号を除く。)に定める措置が講じられていることを確認すること。

特定化学物質障害予防規則

本肢は、「特定化学物質作業主任者の職務」に関する問題です。

根拠としては「条文に書いてある通り…」となりますが、「特定化学物質障害予防規則」なんていうマイナーな法律(関係者の方がいらっしゃったら申し訳ございません…)、私も知りません(2回目)。

では、この法律のこの条文を知っていなかったら、本肢の正誤は判断できないのでしょうか。

このようなときには、また「The 常識力」で考えてみましょう。

私であれば…
・特定化学物質作業主任者、っていうくらいだから、特定化学物質を用いる作業の安全を確保することが責務なんだな…
・ということは、業務に使用する装置の点検だって、当然に業務範囲に含まれるよな…そこだけ除外することもないよな…

と考えて、「職務に含まれない、とするのはオカシイ!」と判断します。

ぜひ、「なんだこりゃ!見たことない!知らない!」と焦らず、落ち着いてじっくりと考えてみましょう…。

本肢は×です。

労働安全衛生法 令和4年第9問 C

労働安全衛生法施行令第6条第18号に該当する特定化学物質を取り扱う作業については特定化学物質作業主任者を選任しなければならないが、金属製品を製造する工場において、関係請負人の労働者が当該作業に従事する場合、作業主任者は元方事業者が選任しなければならない。

解答の根拠

法第14条

根拠条文を確認します。

(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

労働安全衛生法

本肢は、「作業主任者の選任」に関する問題です。

作業主任者を選任するのは「事業主」ですが、元方事業者・関係請負人の関係がある場合で、関係請負人の労働者が当該作業を行う場合に、選任義務は元方事業者・関係請負人、どちらにあるのでしょうか。

法には特段細かい規定はなく、ただ「事業者」としかありません。

このようなときには、またまた「The 常識力」で考えてみましょう。

問題文にあるとおり「関係請負人の労働者が当該作業に従事する」のであれば、選任義務は「関係請負人」にあるのでは…と思うのが自然の考えではないかな…と思います。

自社の社員が特定の危険な業務に従事するわけですから、その労働者の安全に責任があるのはやはり直属の上司…「関係請負人」ではないかと。

本肢は×です。

労働安全衛生法 令和4年第9問 D

事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知するよう努めなければならないとされている。

解答の根拠

則18条

根拠条文を確認します。

(作業主任者の氏名等の周知)
第十八条 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生規則

本肢は、「作業主任者の氏名等の周知」に関する問題です。

本肢は、社労士試験であるあるの「義務 or 努力義務」の論点ですね。

問題文には「周知するよう努めなければならない(努力義務)」とありますが、条文には「周知させなければならない(義務)」とあります。

本肢は×です。

労働安全衛生法 令和4年第9問 E

労働安全衛生法第14条において、作業主任者は、選任を必要とする作業について、経験、知識、技能を勘案し、適任と判断される者のうちから、事業者が選任することと規定されている。

解答の根拠

法第14条

根拠条文を確認します。

(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

労働安全衛生法

本肢は「作業主任者の選任」に関する問題です。

上記根拠条文の通り、作業主任者は、「都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者」のうちから、事業者が選任することとされています。

ポイントとしては…
・選任する主語は「事業者」
・作業主任者になれるのは誰でも良いわけではなく「免許を受けている or 技能講習を修了している」

となります。

専門家ですので、問題文にあるような「経験、知識、技能を勘案し、適任と判断される」というような抽象的な基準ではダメということですね。

本肢は×です。

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