社会保険労務士試験 労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年 第9問

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労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問における「概算保険料申告書」とは、労働保険徴収法第 15 条第 1項及び第 2 項の申告書をいう。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第9問 A

事業主が概算保険料を納付する場合には、当該概算保険料を、その労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した概算保険料申告書に添えて、納入告知書に係るものを除き納付書によって納付しなければならない。

解答の根拠

法15条1項 / 則38条4項

本問は全体的に「労働保険料の納入実務」に関する問題になります。

実際に、試験合格後、晴れて社労士となった際に(特に開業社労士であれば)実務として大いに関係するテーマでもありますので、単なる正解・不正解を追い求めるのではなく、ぜひ問題の内容を理解して解けるようにしましょう。

それでは肢Aからです。

まず、根拠法令を確認します。

(概算保険料の納付)
第十五条 事業主は、保険年度ごとに、次に掲げる労働保険料を、その労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書に添えて…(以下略)

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(労働保険料等の申告及び納付)
第三十八条
 労働保険料(印紙保険料を除く。)その他法の規定による徴収金の納付は、納入告知書に係るものを除き納付書によつて行なわなければならない

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

上記2つの根拠法令をまとめると…

労働保険料(概算保険料)を納付するには
・申告書に添えて
・納付書によって
納付する

となります。

この内容は、肢Aの内容と合致しております。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第9問 B

有期事業(一括有期事業を除く。)の事業主は、概算保険料を、当該事業を開始した日の翌日から起算して20日以内に納付しなければならないが、当該事業の全期間が200日であり概算保険料の額が80万円の場合には、概算保険料申告書を提出する際に延納の申請をすることにより、当該概算保険料を分割納付することができる。

解答の根拠

法18条 / 則28条

まずは根拠法令を確認します。

(概算保険料の延納)
第十八条 政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が第十五条から前条までの規定により納付すべき労働保険料を延納させることができる

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

第二十八条 有期事業であつて法第十五条第二項の規定により納付すべき概算保険料の額が七十五万円以上のもの又は当該事業に係る労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの事業の全期間が六月以内のものを除く。)についての事業主は、同項の申告書を提出する際に法第十八条に規定する延納の申請をした場合には、その概算保険料を、その事業の全期間を通じて、毎年四月一日から七月三十一日まで、八月一日から十一月三十日まで及び十二月一日から翌年三月三十一日までの各期(期の中途に保険関係が成立した事業については、保険関係成立の日からその日の属する期の末日までの期間が二月を超えるときは保険関係成立の日からその日の属する期の末日までを、二月以内のときは保険関係成立の日からその日の属する期の次の期の末日までを最初の期とする。)に分けて納付することができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

以上をまとめると…

●有期事業の概算保険料延納要件
・ 概算保険料の額が75万円以上/or/労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されている
・ 事業の全期間が6か月を超えている

上記を満たす場合に、下記のスケジュールで延納をすることができます。

・最初の期…保険関係成立の翌日から20日以内
・4/1~7/31…3/31期限
・8/1~11/30…10/31期限
・12/1~3/31…1/31期限

本肢の内容は、
・全期間…200日→6か月以上
・概算保険料額…80万円→75万円以上
と上記延納要件を満たしますので、延納(分割納付)ができる、となります。 

本肢は○です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第9問 C

労働保険徴収法第16条の厚生労働省令で定める要件に該当するときは、既に納付した概算保険料と増加を見込んだ賃金総額の見込額に基づいて算定した概算保険料との差額(以下「増加概算保険料」という。)を、その額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書に添えて納付しなければならないが、当該申告書の記載事項は増加概算保険料を除き概算保険料申告書と同一である。

解答の根拠

法16条 / 則24条2項 / 則25条2項

まずは根拠法令を確認します。

(増加概算保険料の納付)
第十六条 事業主は、前条第一項又は第二項に規定する賃金総額の見込額、第十三条の厚生労働省令で定める額の総額の見込額、第十四条第一項の厚生労働省令で定める額の総額の見込額又は第十四条の二第一項の厚生労働省令で定める額の総額の見込額が増加した場合において厚生労働省令で定める要件に該当するときは、その日から三十日以内に、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を、その額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書に添えて納付しなければならない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(賃金総額の見込額の特例等)
第二十四条 
 法第十五条第一項及び第二項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 労働保険番号
 事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
 保険料算定基礎額の見込額(当該見込額が前項の規定に該当する場合には、直前の保険年度の保険料算定基礎額)
 保険料率
 事業に係る労働者数
 事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号

(概算保険料の増額等)
第二十五条
 法第十六条の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
 労働保険番号
 事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
 保険料算定基礎額の見込額が増加した年月日
 増加後の保険料算定基礎額の見込額
 保険料率
 事業に係る労働者数
 事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、徴収法16条に該当する場合(増加概算保険料の納付)の申告書の記載事項について問われています。

要は、増加概算保険料の申告書は、通常の概算保険料の申告書と比べて、「増加概算保険料」以外の記載項目は同じでしょうか?と聞かれています。

そこで、上記の通り根拠法令を確認すると、施行規則24条2項…こちらは通常の概算保険料の申告書の記載内容が規定されており、施行規則25条2条…こちらは増加概算保険料の申告書の記載内容が規定されています。

以下、表にまとめてみました。

通常の概算保険料の申告書の記載内容増加概算保険料の申告書の記載内容
①労働保険番号①労働保険番号
②事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地②事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
③保険料算定基礎額の見込額が増加した年月日
③保険料算定基礎額の見込額(当該見込額が前項の規定に該当する場合には、直前の保険年度の保険料算定基礎額)④増加後の保険料算定基礎額の見込額
④保険料率⑤保険料率
⑤事業に係る労働者数⑥事業に係る労働者数
⑥事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号⑦事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号

このようにまとめると一目瞭然ですね。

本肢は、上記表でいうところの、左側③・右側④の違いについては触れられていますが、右側③の「保険料算定基礎額の見込額が増加した年月日」については触れられていません。

この、「保険料算定基礎額の見込額が増加した年月日」も通常の概算保険料の申告書の記載事項と異なる部分となりますので、これが漏れていてはいけませんね。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第9問 D

概算保険料の納付は事業主による申告納付方式がとられているが、事業主が所定の期限までに概算保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、都道府県労働局歳入徴収官が労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。

解答の根拠

法15条1項・3項 / 則1条3項

まずは根拠法令を確認します。

(概算保険料の納付)
第十五条
 政府は、事業主が前二項の申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(事務の所轄)
第一条
 労働保険関係事務のうち、次の労働保険料及びこれに係る徴収金の徴収に関する事務は、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官(以下「所轄都道府県労働局歳入徴収官」という。)が行う。
(略) 

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

事業主が概算保険料の申告書を提出しなかったり、提出したけど記載内容に誤りがある場合は、法15条により「政府が…労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する」と定めており、則1条3項で、「政府」とは具体的には「都道府県労働局歳入徴収官」のことと定めています。

本肢は○となります。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第9問 E

事業主の納付した概算保険料の額が、労働保険徴収法第15条第3項の規定により政府の決定した概算保険料の額に足りないとき、事業主はその不足額を同項の規定による通知を受けた日の翌日から起算して15日以内に納付しなければならない。

解答の根拠

法15条3項・4項 / 則38条4項・5項

まずは根拠法令を確認します。

(概算保険料の納付)
第十五条
 政府は、事業主が前二項の申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。
 前項の規定による通知を受けた事業主は、納付した労働保険料の額が同項の規定により政府の決定した労働保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した労働保険料がないときは同項の規定により政府の決定した労働保険料を、その通知を受けた日から十五日以内に納付しなければならない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

これは根拠法令の通りですね。

本肢は○となります。

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