社会保険労務士試験【労働基準法】<令和4年第3問>

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労働基準法第 36 条(以下本問において「本条」という。)に定める時間外及び休日の労働等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

労働基準法 令和4年第3問 A

使用者が労働基準法施行規則第23条によって日直を断続的勤務として許可を受けた場合には、本条第1項の協定がなくとも、休日に日直をさせることができる。

解答の根拠

労働基準法施行規則第23条 / 昭和23年6月16日基収1933号

根拠条文および通達を確認します。

第二十三条 使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によつて、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第三十二条の規定にかかわらず、使用することができる。

労働基準法施行規則

使用者が施行規則第23条によって日直の許可を受けた場合には、法第36条第1項の協定がなくとも、休日に日直をさせることができる

昭和23年6月16日基収1933号

本肢は、「日直」に関する問題です。

日直…というと、学校の日直をすぐに思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか…。

労基法上における日直とは、夜間~早朝に、防災や防犯のための巡視や有事の時の対応などに従事する業務で、警備員さんのイメージを持っていただければと思います。

もちろん、通常の労働基準法の労働時間等のルールに当てはまらないような働き方をされる方たちなので、例外ルールが設けられています。

本肢では、「36協定がなくても休日に日直をさせることができるか」という点がテーマですが、この点についてはドンピシャの通達が出ており、「させることができる」とされています

ぜひおさえておきましょう。

本肢は○です。

労働基準法 令和4年第3問 B

小売業の事業場で経理業務のみに従事する労働者について、対象期間を令和4年1月1日から同年12月31日までの1年間とする本条第1項の協定をし、いわゆる特別条項により、1か月について95時間、1年について700時間の時間外労働を可能としている事業場においては、同年の1月に90時間、2月に70時間、3月に85時間、4月に75時間、5月に80時間の時間外労働をさせることができる。

解答の根拠

平成30年7月6日基発0706

根拠通達を確認します。

2 時間外労働の上限規制
(6)ウ 対象期間の初日から1か月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1か月、2か月、3か月、4か月及び5か月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1か月当たりの平均時間 80 時間を超えないこと。

平成30年7月6日基発0706

本肢は、いわゆる「2019年改正(時間外労働の上限規制)」ですが、その中でも上記に引用した「○ヶ月平均」に関する問題です。

要は、2~6か月の平均のどこを見ても「80時間内」に収まっていないといけないアレです。

問題文を読み、1月~5月の時間外労働時間が書かれている時点で、ピンと来てほしい問題です。

問題を解く時間が惜しいですが、時間をかければ確実に正誤が判断できます。

確認すると、以下のようになります。
2か⽉平均:(90時間+70時間)÷2か月 = 80時間/月
3か⽉平均:(90時間+70時間+85時間)/3か月 = 約81.6時間/月
4か⽉平均:(90時間+70時間+85時間+75時間)/4か月 = 80時間/月
5か⽉平均:(90時間+70時間+85時間+75時間+80時間)/5か月 = 80時間/月

ということで、上記黄色マーカー部分にあるとおり、3ヶ月平均で若干80時間を上回ってしまっていますのでアウト!となります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労働基準法 令和4年第3問 C

労働者が遅刻をし、その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合に、一日の実労働時間を通算すれば労働基準法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、本条第1項に基づく協定及び労働基準法第37条に基づく割増賃金支払の必要はない

解答の根拠

 昭和29年12月1日基収6143号

根拠条文を確認します。

法第32条又は第40条に定める労働時間は実労働時間をいうものであり、時間外労働について本条第1項に基く協定及び法第37条に基く割増賃金の支払を要するのは、右の実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。従って、例えば労働者が遅刻をした場合その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算すれば法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、本条第1項に基く協定及び法第37条に基く割増賃金支払の必要はない

昭和29年12月1日基収6143号

本肢は、「労働時間」に関する問題です。

具体的なケースを用いて、本肢のケースを考えてみましょう。

例えば、
・始業…9:00
・終業…18:00
・昼休憩1時間で所定労働時間8時間
のケースを考えてみます。

このケースで、ある社員が遅刻して10時から勤務を開始し、19時に勤務を終えたとします。

この場合、18~19時の1時間は、残業(時間外労働)になるのでしょうか?

いくら通常の終業時間18時を超えて勤務したとしても、1時間遅刻しているわけですので、実労働時間は10:00~19:00(1時間休憩)の8時間となります。

上記の根拠通達で言いたいのは、「遅刻をして、終業時間を繰り下げたとしても、実労働時間が法定労働時間を超えていないのであれば時間外労働とはならず、割増賃金の支払いも必要ない」ということになります。

なので、先ほどのケースもピッタリ法定労働時間なので、時間外労働とはならないわけですね。

本肢は○です。

労働基準法 令和4年第3問 D

就業規則に所定労働時間を1日7時間、1週35時間と定めたときは、1週35時間を超え1週間の法定労働時間まで労働時間を延長する場合、各日の労働時間が8時間を超えずかつ休日労働を行わせない限り、本条第1項の協定をする必要はない。

解答の根拠

昭和23年4月28日基収1497号

根拠通達を確認します。

協定を要するのは、労基法第 32 条から第 32 条の5まで又は第 40 条に定める労働時間を超える場合であるので、たとえ就業規則その他で定められた労働時間を超えて労働時間を延長しても、労基法第 32 条に規定されている労働時間(1日8時間、1週 40 時間(労基法第 40 条による例が定められている事業にあっては、その労働時間))の範囲内であれば、36 協定を締結する必要はない

昭和23年4月28日基収1497号

本肢は、「36協定の締結の必要性」に関する問題です。

36協定の締結が必要な場合は、
・1日8時間
・1週40時間
を超える時間外労働をさせるときです。

したがって、問題文のケースであれば
・1日7時間
・1週35時間
であれば、8・40を超えませんので36協定の締結の必要はありません。

就業規則に記載の所定労働時間は関係なく、あくまで、法定労働時間の1日8時間・1週40時間を基準に、協定締結の必要性を判断するわけですね。

本肢は○です。

労働基準法 令和4年第3問 E

本条第1項の協定は、事業場ごとに締結するよう規定されているが、本社において社長と当該会社の労働組合本部の長とが締結した本条第1項の協定に基づき、支店又は出張所がそれぞれ当該事業場の業務の種類、労働者数、所定労働時間等所要事項のみ記入して所轄労働基準監督署長に届け出た場合、当該組合が各事業場ごとにその事業場の労働者の過半数で組織されている限り、その取扱いが認められる。

解答の根拠

昭和24年2月9日基収4234号

根拠通達を確認します。

本社において社長と当該会社の労働組合本部の長とが締結した協定書に基づき、本社以外の事業場が労働者数等所要事項のみを記入して所轄署長に届け出た場合、当該労働組合が各事業場ごとにその事業場の労働者の過半数で組織されている限り、有効なものとして取り扱って差し支えない

昭和24年2月9日基収4234号

本肢は「36協定の締結の当事者」に関する問題です。

原則として、労使協定は事業場単位で作成・届け出ます。

それは、たくさんの事業場がある場合も例外ではありません。

しかし、本問のケースのように、
・労働組合が各事業場の労働者の過半数で組織されている
・その労働組合本部の長を当事者として36協定を締結する
場合は、「支店又は出張所がそれぞれ当該事業場の業務の種類、労働者数、所定労働時間等所要事項のみ記入して届け出る」という省略バージョンの届出方法も認められる
、とされています。

本肢は○です。

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