労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
雇用保険法/徴収法 令和7年第10問 A
概算保険料額の認定決定の処分がなされ、当該処分について不服がある者は、所轄都道府県労働局の労働保険審査官に対して審査請求をすることができる。
行政不服審査法第4条第1項第3号
根拠条文を確認します。
(審査請求をすべき行政庁)
第四条 審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする。
三 主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(前二号に掲げる場合を除く。) 当該主任の大臣行政不服審査法
本肢は「審査請求をすべき行政庁」に関する問題です。
上記の通り、主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合に審査請求をすべき行政庁は「当該主任の大臣」とされています。
そのため、概算保険料に係る認定決定について審査請求を行う場合には、厚生労働大臣に対して審査請求をすることとなります。
本肢は×です。
雇用保険法/徴収法 令和7年第10問 B
概算保険料額の認定決定の処分がなされ、当該処分に不服がある場合、当該処分があったことを知った日から3か月以内かつ処分の日から1年以内でなければ、取消訴訟を提起することができない。
行政事件訴訟法14条1項2項
根拠条文を確認します。
(出訴期間)
第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。行政事件訴訟法
本肢は「出訴期間」に関する問題です。
取消訴訟は
・処分又は裁決があったことを知った日から6箇月を経過したとき
・処分又は裁決の日から1年を経過したとき
は提起することができないとされています(正当な理由があるときは、この限りではありません)
本肢は×です。
雇用保険法/徴収法 令和7年第10問 C
概算保険料額の認定決定の処分がなされ、当該処分に不服がある場合、審査請求の裁決を経た後でなければ、当該処分の取消しの訴えを提起することができない。
行政事件訴訟法第8条第1項
根拠条文を確認します。
(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。行政事件訴訟法
本肢は「処分の取消しの訴えと審査請求との関係」に関する問題です。
事業主は、概算保険料に係る認定決定について、審査請求の裁決を経ずに直ちにその取消しの訴えを提起することができます。
本肢は×です。
雇用保険法/徴収法 令和7年第10問 D
当該保険年度の概算保険料を期限内に申告納付したが、誤って当該概算保険料を同一期限内に再度納付したため誤納金が生じた場合、再度納付した日の翌日から起算して2年を経過したとき、当該誤納金の還付を受ける権利は時効によって消滅する。
法第41条第1項
根拠条文を確認します。
(時効)
第四十一条 労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。労働保険の保険料の徴収等に関する法律
本肢は「時効」に関する問題です。
上記の通り、「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する」と規定されています。
時効の起算日は、設問にある「再度納付した日の翌日」となります。
本肢は○となり、本問の正解となります。
雇用保険法/徴収法 令和7年第10問 E
概算保険料の確定精算に基づき納付すべき不足額が時効で消滅している場合、納付義務者がその時効による利益を放棄して納付する意思を示したときは、政府はその徴収権を行使できる。
法第41条第1項
根拠条文は、選択肢Dと同じです。
本肢は「時効」に関する問題です。
問題文には「時効成立後に納付義務者がその時効による利益を放棄して徴収金を納付する意思を示したとき」とありますが、既に時効成立により消滅しているのであれば放棄のしようがありませんので、政府はその徴収権を行使できません。
本肢は×です。


