厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
厚生年金保険法 令和6年第2問 A
甲は第1号厚生年金被保険者期間を140か月有していたが、後に第2号厚生年金被保険者期間を150か月有するに至り、それぞれの被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権が同じ日に発生した(これら以外の被保険者期間は有していない。)。甲について加給年金額の加算の対象となる配偶者がいる場合、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算される。
法第78条の27 / 令第3条の13第2項
根拠条文を確認します。
(老齢厚生年金に係る加給年金額の特例)
第七十八条の二十七 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金の額については、その者の二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして第四十四条(この法律及び他の法令において、引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)の規定を適用する。この場合において、同条第一項に規定する加給年金額は、政令で定めるところにより、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の額に加算するものとする。厚生年金保険法
(二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金に係る加給年金額の特例の適用に関する読替え等)
第三条の十三
2 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金について前項の規定により読み替えられた法第四十四条第一項の規定により同項に規定する加給年金額(以下この条において「加給年金額」という。)が加算される場合は、各号の厚生年金被保険者期間のうち法第七十八条の二十二に規定する一の期間(以下「一の期間」という。)に基づく老齢厚生年金のうち最も早い日において受給権を取得したもの(法附則第八条の規定による老齢厚生年金(六十五歳に達する日の前日において加給年金額が加算されていたものに限る。)の受給権者であつた者が六十五歳に達したときに支給する老齢厚生年金については、当該同条の規定による老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る被保険者の種別に係る被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金)について加給年金額を加算するものとする。この場合において、当該最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金が二以上あるときは、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間(当該一の期間が二以上ある場合は、次に掲げる順序による。)に基づく老齢厚生年金について加給年金額を加算するものとする。
(以下略)厚生年金保険法施行令
本肢は、「老齢厚生年金に係る加給年金額の特例」に関する問題です。
加給年金額の計算について、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の額については、被保険者期間を合算し、1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなします。
また、当該特例の適用については、所定の老齢厚生年金が2以上あるときは、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い1の期間に基づく老齢厚生年金について加給年金額を加算することとされています。
本肢のケースでは、被保険者期間を合算すると、140月+150月=290月と240月以上であるので、加給年金の要件を満たすとともに、最も長い第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金に加給年金額が加算されることとなります。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和6年第2問 B
厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われたときは、原則として延滞金が徴収されるが、納付義務者の住所及び居所がともに明らかでないため公示送達の方法によって督促したときは、延滞金は徴収されない。
法第87条第1項第3号
根拠条文を確認します。
(延滞金)
第八十七条 前条第二項の規定によつて督促をしたときは、厚生労働大臣は、保険料額に、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押の日の前日までの期間の日数に応じ、年十四・六パーセント(当該納期限の翌日から三月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。
三 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によつて督促したとき。厚生年金保険法
本肢は、「延滞金」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、延滞金徴収の例外事由として「納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によつて督促したとき。」と定められています。
本肢は○となり、本問の正解となります。
厚生年金保険法 令和6年第2問 C
厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われた場合において、督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は厚生年金保険法第87条第1項から第3項までの規定によって計算した金額が1,000円未満であるときは、延滞金は徴収しない。
法第87条第4項
根拠条文を確認します。
(延滞金)
第八十七条
4 督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は前三項の規定によつて計算した金額が百円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。厚生年金保険法
本肢は、「延滞金」に関する問題です。
単純な相違問題です。
延滞金を徴収しないのは、計算した金額が…
・問題文…1000円未満のとき
・正しくは…100円未満のとき
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和6年第2問 D
保険料の納付の督促を受けた納付義務者がその指定の期限までに保険料を納付しないときは、厚生労働大臣は、自ら国税滞納処分の例によってこれを処分することができるほか、納付義務者の居住地等の市町村(特別区を含む。以下本肢において同じ。)に対して市町村税の例による処分を請求することもできる。後者の場合、厚生労働大臣は徴収金の100分の5に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
法第86条第6項
根拠条文を確認します。
(保険料等の督促及び滞納処分)
第八十六条
6 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によつてこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。厚生年金保険法
本肢は、「保険料等の督促及び滞納処分」に関する問題です。
単純な相違問題です。
厚生労働大臣が、納付義務者の居住地等の市町村に対して市町村税の例による処分を請求する場合は…
・問題文…徴収金の100分の5に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
・正しくは…徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和6年第2問 E
滞納処分等を行う徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する日本年金機構の職員のうちから厚生労働大臣が任命する。
法第100条の6第2項
根拠条文を確認します。
(機構が行う滞納処分等に係る認可等)
第百条の六
2 前項の徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、機構の理事長が任命する。
本肢は、「機構の徴収職員」に関する問題です。
単純な相違問題です。
機構の徴収職員は…
・問題文…厚生労働大臣が任命
・正しくは…厚生労働大臣の認可を受けて、機構の理事長が任命
本肢は×です。