Xは、令和3年4月1日にY社に週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して就職し、初めて被保険者資格を得て同年7月31日に私傷病により離職した。令和5年11月5日、Xは離職の原因となった傷病が治ゆしたことからZ社に被保険者として週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して就職した。その後Xは私傷病により令和6年2月29日に離職した。
この場合、Z社離職時における基本手当の受給資格要件としての被保険者期間として、正しいものはどれか。なお、XはY社及びZ社において欠勤がなかったものとする
A 3か月
B 3と2分の1か月
C 4か月
D 7か月
E 7と2分の1か月
法第14条
根拠通達を確認します。
(被保険者期間)
第十四条 被保険者期間は、被保険者であつた期間のうち、当該被保険者でなくなつた日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であつた期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項において「喪失応当日」という。)の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼつた各期間(賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるものに限る。)を一箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。ただし、当該被保険者となつた日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が十五日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるときは、当該期間を二分の一箇月の被保険者期間として計算する。
2 前項の規定により被保険者期間を計算する場合において、次に掲げる期間は、同項に規定する被保険者であつた期間に含めない。
一 最後に被保険者となつた日前に、当該被保険者が受給資格(前条第一項(同条第二項において読み替えて適用する場合を含む。)の規定により基本手当の支給を受けることができる資格をいう。次節から第四節までを除き、以下同じ。)、第三十七条の三第二項に規定する高年齢受給資格又は第三十九条第二項に規定する特例受給資格を取得したことがある場合には、当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者であつた期間
二 第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日(第二十二条第五項に規定する者にあつては、同項第二号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日)前における被保険者であつた期間
3 前二項の規定により計算された被保険者期間が十二箇月(前条第二項の規定により読み替えて適用する場合にあつては、六箇月)に満たない場合における第一項の規定の適用については、同項中「であるもの」とあるのは「であるもの又は賃金の支払の基礎となつた時間数が八十時間以上であるもの」と、「であるとき」とあるのは「であるとき又は賃金の支払の基礎となつた時間数が八十時間以上であるとき」とする。雇用保険法
本肢は、「被保険者期間」に関する問題です。
被保険者期間の算定対象期間が、離職の日以前2年間だということは、特に問題ないと思います。
このことから、問題文のケースにおいて、Y社における被保険者期間は、Z社の離職日から2年以内にないので、含む必要がありません。
また、「欠勤がない」とありますので、算定対象期間の延長も考える必要がありません。
次に、被保険者期間期間のカウント方法ですが、上記根拠条文のとおり、「被保険者期間は、被保険者が離職した日の翌日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該被保険者であった期間内にある日の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼった各期間を1か月として計算する」とされています。
さらに、同条第3項において「離職日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の月が12か月に満たない場合は、被保険者が離職した日の翌日又は喪失応当日の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼった各期間を1か月として計算する」とされています。
このことから、Xは、週所定労働時間が40時間、休日が1週当たり2日の労働契約を締結して、令和5年11月5日にZ社に就職し、令和6年2月29日に離職しているので、各月の喪失応当日は、
令和6年2月1日・令和6年1月1日・令和5年12月1日
となり、被保険者期間は3か月となります。
最後に、1か月未満の期間については、上記根拠条文のとおり、「15日以上あり、かつ、その期間内に賃金支払基礎日数が11日以上又は離職日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の月が12か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上あるときに、その期間を被保険者期間の2分の1か月として計算する」とされています。
そのため、問題文のケースでは、令和5年11月に1か月未満の期間(設問では26日間)が生じているので、その期間を被保険者期間の2分の1か月として計算することとなります。
以上から、被保険者期間は「3と2分の1か月」となり、Aが本問の正解となります。