社会保険労務士試験【労働基準法】<令和6年第2問>

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労働基準法の解釈に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せとして、正しいものはどれか。

A ア:○  イ:○  ウ:○
B ア:○  イ:○  ウ:×
C ア:○  イ:×  ウ:○
D ア:×  イ:○  ウ:×
E ア:×  イ:×  ウ:○

労働基準法 令和6年第2問 ア

労働基準法において一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定するが、例えば工場内の診療所、食堂等の如く同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とするとされている。

解答の根拠

平成11年3月31日基発168号

根拠通達を確認します。

1  個々の事業に対して労働基準法を適用するに際しては、当該事業の名称又は経営主体等にかかわることなく、相関連して一体をなす労働の態様によって事業としての適用を定めること。

2  事業とは、工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではないこと。

3 
従って一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として分割することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とすること。
② しかし、同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とすること。例えば工場内の診療所、食堂等の如きはこれに該当すること。なお、個々の労働者の業務による分割は認めないこと。
③ また、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力等を勘案して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱うこと。例えば、新聞社の通信部の如きはこれに該当すること。

平成11年3月31日基発168号

本肢は、「事業の単位」に関する問題です。

労働基準法においける「事業の単位」の考え方は、「一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもの」とされています。

まずは、「同じ場所にある=一つの事業」と考えるのが原則となります。

しかし、上記根拠通達にあるとおり、「同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とする。例えば工場内の診療所、食堂等の如きはこれに該当する」とされています。

工場と、それに併設されている診療所や食堂は、いくら同じ場所にあるといっても、業務内容や働き方が全然違いますよね。

そのような場合は、別個の事業として考える、とされているわけです。

本肢は○です。

労働基準法 令和6年第2問 イ

労働基準法において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいい、「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

解答の根拠

法第10条 / 法第11条

根拠条文を確認します。

第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

労働基準法

本肢は、「使用者」に関する問題です。

労働基準法において「使用者」の定義は、上記根拠条文のとおり、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」とされています。

本肢は×です。

労働基準法 令和6年第2問 ウ

労働契約とは、本質的には民法第623条に規定する雇用契約や労働契約法第6条に規定する労働契約と基本的に異なるものではないが、民法上の雇用契約にのみ限定して解されるべきものではなく、委任契約、請負契約等、労務の提供を内容とする契約も労働契約として把握される可能性をもっている。

解答の根拠

ー(特になし)

本肢は、「労働契約」に関する問題です。

労働契約とは、問題文にあるとおり
・民法623条に規定する雇用契約
・労働契約法6条に規定する労働契約
を指すのが原則です。

しかし、それいがいの契約…問題文にあるような、委任契約、請負契約等、労務の提供を内容とする契約も、労働者保護の観点から労働契約として把握される可能性をもっている、とされています。

「可能性をもっている」という風に問題文が締めくくられていたら、「可能性がゼロ」であることを証明することは困難なので、基本的に「○」と考えてよいです。

本肢は○です。

したがって、ア:○、イ:×、ウ:○、となり、「C」が本問の正解となります。

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