社会保険労務士試験【雇用保険法】<令和4年第7問>

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雇用保険制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

雇用保険法 令和4年第7問 A

雇用保険法では、疾病又は負傷のため公共職業安定所に出頭することができなかった期間が15日未満である受給資格者が失業の認定を受けようとする場合、行政庁が指定する医師の診断を受けるべきことを命じ、受給資格者が正当な理由なくこれを拒むとき、当該行為について懲役刑又は罰金刑による罰則を設けている。

解答の根拠

法第78条 / 法第85条

根拠条文を確認します。

(診断)
第七十八条 行政庁は、求職者給付の支給を行うため必要があると認めるときは、第十五条第四項第一号の規定により同条第二項に規定する失業の認定を受け、若しくは受けようとする者、第二十条第一項の規定による申出をした者又は傷病手当の支給を受け、若しくは受けようとする者に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

第八十五条 被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付等の支給を請求する者その他の関係者が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
 第四十四条の規定に違反して偽りその他不正の行為によつて日雇労働被保険者手帳の交付を受けた場合
 第七十七条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合
 第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

雇用保険法

本肢は、「罰則」に関する問題です。

まず、前提として、問題文にある「疾病又は負傷のため公共職業安定所に出頭することができなかった期間が15日未満である受給資格者が失業の認定を受けようとする場合」には、上記根拠条文(第78条)のとおり、行政庁は「その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる」とされています。

医師の診断を受けさせることで、出頭できなかった理由である疾病・負傷が確かなものか、必要に応じて確認するわけですね。

では、その「診断を受ける命令」に当該者が従わなかった場合、何か罰則を課すことができるのでしょうか。

罰則の規定は、上記根拠条文(第85条)に規定がありますが、この中に第78条に関する規定がないことがわかります。

したがって、「診断を受ける命令」に従わない場合でも、罰則を課すことはないことになります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

雇用保険法 令和4年第7問 B

偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合に政府が納付をすべきことを命じた金額を徴収する権利は、これを行使することができる時から2年を経過したときは時効によって消滅する。

解答の根拠

法第74条第1項

根拠条文を確認します。

(時効)
第七十四条 失業等給付等の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び第十条の四第一項又は第二項の規定(これらの規定を第六十一条の六第二項において準用する場合を含む。)により納付をすべきことを命ぜられた金額を徴収する権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

雇用保険法

本肢は、「時効」に関する問題です。

雇用保険にも「時効」の考え方があります。

それに関する規定が、上記根拠条文(第74条)です。

「失業等給付等の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び返還命令等の規定により納付をすべきことを命ぜられた金額を徴収する権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する」とされており、問題文のケースに該当するため、時効によって消滅することになります。

本肢は○です。

雇用保険法 令和4年第7問 C

厚生労働大臣は、基本手当の受給資格者について給付制限の対象とする「正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合」に該当するかどうかの認定をするための基準を定めようとするときは、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

解答の根拠

法第33条第2項 / 法第72条第1項

根拠条文を確認します。

第三十三条
 受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする。

(労働政策審議会への諮問)
第七十二条 厚生労働大臣は、(中略)第三十三条第二項(中略)の基準又は第三十八条第一項第二号の時間数を定めようとするとき、その他この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

雇用保険法

本肢は、「労働政策審議会への諮問」に関する問題です。

雇用保険法上、重要事項について厚生労働大臣が決めるときは、上記根拠条文(第72条)にあるとおり、「労働政策審議会」の意見を聴かなければならない、とされています。

さて「重要事項」というのは第72条に列挙されているのですが、その中の一つに「第33条第2項」の基準があります。

この「第33条第2項」は、「『正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合』に該当するかどうかの認定」についての規定であり、条文の中で「公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする」とされています。

この「厚生労働大臣の定める基準」というのが第72条の中で「重要事項」とされており、決めるにあたって「労働政策審議会」の意見を聴かなければならない…とされているわけですね。

ちなみに、興味がある方は、下記厚生労働省の「労働政策審議会」に関するホームページを一読することをお勧めします。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouzenpan/roudouseisaku/index.html

厚生労働省 労働政策審議会

本肢は○です。

雇用保険法 令和4年第7問 D

行政庁は、関係行政機関又は公私の団体に対して雇用保険法の施行に関して必要な資料の提供その他の協力を求めることができ、協力を求められた関係行政機関又は公私の団体は、できるだけその求めに応じなければならない。

解答の根拠

法第77条の2

根拠条文を確認します。

(資料の提供等)
第七十七条の二 行政庁は、関係行政機関又は公私の団体に対して、この法律の施行に関して必要な資料の提供その他の協力を求めることができる。
 前項の規定による協力を求められた関係行政機関又は公私の団体は、できるだけその求めに応じなければならない。

雇用保険法

本肢は、「資料の提供」に関する問題です。

本肢は、条文ドストレートの問題ですね。

上記根拠条文(第77条の2)では
・1項…行政庁は関係行政機関・公私の団体に対して、必要な資料提供・その他の協力を求めることができる
・2項…関係行政機関・公私の団体は、できるだけ応じなければならない

とされています。

個人的には「できるだけ」というのが曖昧だな…という感じがしますが…

本肢は○です

雇用保険法 令和4年第7問 E

事業主は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び労働保険徴収法又は同法施行規則による書類を除く。)のうち被保険者に関する書類を4年間保管しなければならない。

解答の根拠

則第143条

根拠条文を確認します。

(書類の保管義務)
第百四十三条 事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)をその完結の日から二年間(被保険者に関する書類にあつては、四年間)保管しなければならない。

雇用保険法施行規則

本肢は「書類の保存義務」に関する問題です。

こちらも条文ドストレートの問題ですね。

上記根拠条文(則第143条)では、書類の保存義務に関して
・原則…2年間
・被保険者に関する書類…4年間

と定めています。

試験上はこまごまとした些末な知識ですが、実務上は非常に重要なポイントです。

というのも、この手の資料は紙が多く、判断するのが面倒だからと永遠に保存していると、保存スペースを圧迫することにつながります。

なので、法律に基づいて適切に廃棄していくことが重要なんですね。

本肢は○です。

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