社会保険労務士試験【健康保険法】<令和3年第8問>

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健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せ
は、後記AからEまでのうちどれか。
A (アとウ)
B (アとエ)
C (イとエ)
D (イとオ)
E (ウとオ)

健康保険法 令和3年第8問 ア

同一の事業所に使用される通常の労働者の1日の所定労働時間が8時間であり、1週間の所定労働日数が5日、及び1か月の所定労働日数が20日である特定適用事業所において、当該事業所における短時間労働者の1日の所定労働時間が6時間であり、1週間の所定労働日数が3日、及び1か月の所定労働日数が12日の場合、当該短時間労働者の1週間の所定労働時間は18時間となり、通常の労働者の1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数のそれぞれ4分の3未満ではあるものの、1日の所定労働時間は4分の3以上であるため、当該短時間労働者は被保険者として取り扱わなければならない。

解答の根拠

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて」の一部改正について(令和4年3月18日保保発0318第1号)

本問は、短時間労働者の社会保険加入要件(いわゆる、通常の労働者の4分の3以上の所定労働時間要件)について
・1週間および1ヶ月の所定労働時間は4分の3以上とならないが
・1日の所定労働時間は4分の3以上
の場合についての加入の要否に関する問題です。

根拠通達を確認します。

第1 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準等の概要
1 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準
(1) 4分の3基準
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準については、健康保険法(大正11年法律第70号)第3条第1項及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第12条の規定により、1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)である者を、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う。

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて」の一部改正について(令和4年3月18日保保発0318第1号)

上記の根拠通達にもあるとおり、被保険者資格の基準となるのは、1日の所定労働時間ではなく、1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働時間、とされています。

もともと改正前は1日の所定労働時間も条件に入っていましたが、改正により除外されました。

本肢は×です。

健康保険法 令和3年第8問 イ

特定適用事業所に使用される短時間労働者が、当初は継続して1年以上使用されることが見込まれなかった場合であっても、その後において、継続して1年以上使用されることが見込まれることとなったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱う。

解答の根拠

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて(平成28年5月13日保保発0513第1号年管管発0513第1号)

根拠通達を確認します。

第2 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準等に関する具体的事
務の取扱い
2 5要件について
(2) 同一の事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること当初は継続して1年以上使用されることが見込まれなかった場合であっても、その後において、継続して1年以上使用されることが見込まれることとなったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱うこととする。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて(平成28年5月13日保保発0513第1号年管管発0513第1号)

令和4年10月の法改正前までは、いわゆる「継続1年条件」がありましたが、改正後は廃止されています。

そのため、本肢自体が現状没肢としてお考え下さい。

本肢は、出題当初は○でしたが、法改正後は×となります。

健康保険法 令和3年第8問 ウ

特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者の報酬支払の基礎となった日数が4月は11日、5月は15日、6月は16日であった場合、報酬支払の基礎となった日数が15日以上の月である5月及び6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行う。

解答の根拠

法第41条

根拠条文を確認します。

(定時決定)
第四十一条 保険者等は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日(厚生労働省令で定める者にあっては、十一日。第四十三条第一項、第四十三条の二第一項及び第四十三条の三第一項において同じ。)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。

健康保険法

定時決定の際に判定に用いる月の要件として、通常の被保険者であれば、「報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月は除く」とされています。

しかし、条文上は「厚生労働省令で定める者」とされている「特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者」については、17日を11日と読み替えます。

ここで問題文を確認すると、
・4月…11日
・5月…15日
・6月…16日
となっており、いずれの月も11日以上となっているため、通常通り4~6月の3ヶ月分で判定することとなります。

本肢は×です。

以上のことから、アとウが誤りとなりますので、本問の正解は「A」となります。

健康保険法 令和3年第8問 エ

労働者派遣事業の事業所に雇用される登録型派遣労働者が、派遣就業に係る1つの雇用契約の終了後、1か月以内に同一の派遣元事業主のもとにおける派遣就業に係る次回の雇用契約(1か月以上のものとする。)が確実に見込まれたため被保険者資格を喪失しなかったが、その1か月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1か月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとして、事業主に資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させる必要はない。

解答の根拠

「派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて」の一部改正について(法36条,平成27年9月30日保保発0930第9号年管管発0930第11号)

根拠通達を確認します。

2.被保険者資格の喪失手続等
(1) 上記1の登録型派遣労働者について、1月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではないこと。

「派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて」の一部改正について(法36条,平成27年9月30日保保発0930第9号年管管発0930第11号)

読むのが辛い長文の肢ですね…。

登録型派遣労働者の、資格喪失時期に関する問題です。

登録型派遣とは、派遣元で雇用が継続する常用型派遣とはことなり、派遣業務単位で雇用関係が成立します。

しかし、Aという派遣業務が終わった翌日からBという派遣業務が開始することもあり、そのような場合でも毎回資格の得喪手続きをするのは、誰も何も得しないですよね。

そこで、バッファ期間を1ヶ月設けて、その間に次の派遣業務がないことが確実になる、または、もしかしたら派遣業務が決まるかも…という状態で決まらないまま1ヶ月経過した場合に、ようやくそこで「離職」したとして資格喪失手続を行う、というルールになっています。

本肢は○です。

健康保険法 令和3年第8問 オ

被扶養者の収入の確認に当たり、被扶養者の年間収入は、被扶養者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むものとされている。

解答の根拠

令和2年4月10日事務連絡

根拠通達を確認します。

2 確認に当たり、被扶養者の収入については、被扶養者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むものとすること。この際には、勤務先から発行された給与明細書、市区町村から発行された課税証明書等の公的証明書等を用いること。

被扶養者の収入の確認における留意点について(令和2年4月10日事務連絡)

本肢は、上記通達の記載のとおりですね。

被扶養者の収入については、
・過去の収入
・現時点での収入
・将来の収入見込み
などから、今後1年間の収入を見込んで、被扶養者条件を満たすかどうかを判断します。

本肢は○です。

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