国民健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第7問 A
都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。)とともに行う国民健康保険(「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日の翌日又は国民健康保険法第6条各号のいずれにも該当しなくなった日の翌日から、その資格を取得する。
国民健康保険法第7条
本問は「国民健康保険法」に関する問題です。
健康保険法はメイン科目の一つですが、国民健康保険法は一般常識の中で出題されます。
そのため、健康保険法に比べてそこまで深く学習する必要はありませんが、出題があった場合は基本的な事項が多いため、必ず得点したいところです。
健康保険法との違いを意識して学習すると良いかもしれません。
それでは解説に入ります。
まず、根拠条文を確認します。
(資格取得の時期)
国民健康保険法
第七条 都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至つた日又は前条各号のいずれにも該当しなくなつた日から、その資格を取得する。
国民健康保険の被保険者資格の取得に関する肢ですね。
上記の通り、資格取得は
・都道府県の区域内に住所を有するに至った日
・前条(第6条:適用除外)のいずれにも該当しなくなった日
から資格を取得する、とされています。
問題文には「翌日」とありますので、誤りとなります。
その日に資格取得できなければ、その日病院行きたい!となっても保険適用となりませんからね…。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第7問 B
生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村(特別区を含む。)とともに行う国民健康保険(「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者となる。
国民健康保険法第6条第1項第9号
根拠条文を確認します。
(適用除外)
国民健康保険法
第六条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者としない。
九 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者
知っていれば即答の問題ですね。
「生活保護法による保護を受けている世帯に属する者」は上記のとおり被保険者となりません。
ここで終わってしまうと普通の解説記事なので、もう一歩進めます。
「生活保護を受けている方が国民健康保険に加入できないなんて…冷たい!国民皆保険ではないのか」と思われる方もいらっしゃると思います。
実は、生活保護を受けている方には「医療扶助」という制度が適用され、簡単に言うと医療費はかからない(無料)となるのです。
そのため、国民健康保険に加入しなくてもよい=適用除外となるわけです。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第7問 C
市町村(特別区を含む。)及び国民健康保険組合は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。
国民健康保険法第62条
根拠条文を確認します。
第六十二条 市町村及び組合は、被保険者又は被保険者であつた者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。
国民健康保険法
こちらも条文そのままの出題ですね。
仮に条文を知らなかったとしても、「ちゃんとした理由がないのに療養の指示に従わないなんて、そりゃダメでしょう。給付が止められても仕方ないよね」とイメージできると思います。
本肢は○となり、本問の正解となります。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第7問 D
国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(その区域内の都道府県若しくは市町村(特別区を含む。)又は国民健康保険組合の3分の2以上が加入しないものを除く。)に置かれ、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに被保険者を代表する委員をもって組織される。
国民健康保険法第88条第1項
根拠条文を確認します。
(審査委員会の組織)
国民健康保険法
第八十八条 審査委員会は、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、都道府県及び当該都道府県内の市町村並びに組合(以下「保険者」という。)を代表する委員並びに公益を代表する委員をもつて組織する。
少しマニアックな問題ですね。
「診療報酬審査委員会」は、その名の通り、診療報酬の運用が適切かどうかを審査する機関です。
どのようなメンツで構成されているかというと…
①都道府県知事が定める保険医・保険薬剤師を代表する委員
②都道府県及び当該都道府県内の市町村並びに組合(保険者)を代表する委員
③公益を代表する委員
の三者で構成されています。
ここで、肢Dの問題文を見てみると、上記の①・②は書かれていますが、③の記載がなく、代わりに「被保険者を代表する委員」と記載されていますので、この部分が間違っている、となります。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和3年第7問 E
市町村(特別区を含む。)は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の10倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる
国民健康保険法第127条第3項
根拠条文を確認します。
第百二十七条
国民健康保険法
3 市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他この法律の規定による徴収金の徴収を免かれた者に対し、その徴収を免かれた金額の五倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。
こちらも条文そのままの問題ですね。
単純なすり替え問題で、過料の基準が
問題文:10倍 → 条文(正解):5倍
となっています。
こちらを知っている…人はほとんどいないと思います。
本問全体を通してみると、明らかに肢Cが正しいと判断できるので、消去法で解けばいけるのではないかと思います。
本肢は×です。