社会保険労務士試験【雇用保険法/徴収法】<令和3年第9問>

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労働保険事務組合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

雇用保険法/徴収法 令和3年第9問 A

労働保険事務組合は、雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労働保険事務の処理の委託をしている事業主ごとに雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿を事務所に備えておかなければならない。

解答の根拠

法36条 / 則68条3号

本問は全体的に「労働保険事務組合」に関する問題になります。

試験合格後の実務では、関わる可能性がある方もいらっしゃると思いますので、しっかり学んでいきましょう!

本肢の根拠条文を確認します。

(帳簿の備付け)
第三十六条 労働保険事務組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備えておかなければならない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(帳簿の備付け)
第六十八条 法第三十六条の規定により労働保険事務組合が備えておかなければならない帳簿は、次のとおりとする。
一 労働保険事務の処理を委託している事業主ごとに次に掲げる事項を記載した労働保険事務等処理委託事業主名簿
二 労働保険事務の処理の委託をしている事業主ごとに次に掲げる事項を記載した労働保険料等徴収及び納付簿
三 雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあつては、労働保険事務の処理の委託をしている事業主ごとに次に掲げる事項を記載した雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

上記を端的にまとめると、

●労働保険事務組合が備える帳簿
①処理委託事業主名簿(いわゆる顧客名簿のようなもの)
②労働保険料等徴収・納付簿(顧客から預かり→納付した労働保険料の記録簿)
③雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿(雇用保険に関する各種届出の記録簿)

本肢で触れられているのは、上記の③に該当します。

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第9問 B

労働保険徴収法第33条第1項に規定する事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であっても、労働保険事務の処理を委託することが必要であると認められる事業主は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる。

解答の根拠

法33条1項 / 則62条1項

本肢の根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合)
第三十三条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であつて代表者の定めがないものを除く。以下同じ。)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、この章の定めるところにより、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(委託事業主の範囲)
第六十二条 法第三十三条第一項の厚生労働省令で定める事業主は、同項に規定する事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であつて、当該事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体又はその連合団体に委託することが必要であると認められるものとする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

なかなかややこしい条文構成になっています。

まずは前者の「法第33条第1項」に、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる者として…
①団体の構成員
②連合団体を構成する団体の構成員である事業主
③その他厚生労働省令で定める事業主

の三者を規定しています。

そして、後者の「施行規則第62条第1項」で、上記③の具体的な条件として「①・②以外の事業主で、委託をすることが必要であると認められるもの」とされています。

結局なんじゃい!!とツッコミを入れたくなるような抽象度ですが、仕方ありません。

問題文に戻ると、「…事業主以外の事業主であっても…できる」となっていますので、正しい内容となります。

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第9問 C

保険給付に関する請求書等の事務手続及びその代行、雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行、印紙保険料に関する事項などは、事業主が労働保険事務組合に処理を委託できる労働保険事務の範囲に含まれない。

解答の根拠

法33条1項など

まず、肢Aで引用した「法33条第1項」に「印紙保険料に関する事項を除く」と規定されています。

そのほか、一般的には以下の事務ができないとされています。
・雇用保険二事業に係る事務手続およびその代行
・労災保険及び雇用保険の保険給付に関する請求等の事務

その他の事項も含めて、以下の厚生労働省のホームページを一読していただくことをオススメします。

労働保険事務組合制度

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第9問 D

労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業場の所在地を管轄する行政庁が、当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する行政庁と異なる場合、当該事業場についての一般保険料の徴収は、労働保険事務組合の主たる事務所の所在地の都道府県労働局歳入徴収官が行う

解答の根拠

則69条

根拠となる条文を確認します。

(管轄の特例)
第六十九条 労働保険事務組合にその処理を委託された労働保険事務(雇用保険法施行規則第一条の雇用保険に関する事務を除く。)については、当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び公共職業安定所長並びに都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官(労働保険事務組合であつて、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち法第三十九条第一項の規定に係る事業及び労災保険法第三十五条第一項の承認に係る団体(以下「労災二元適用事業等」という。)のみに係るものについては、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長並びに都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官)を、それぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄公共職業安定所長並びに所轄都道府県労働局歳入徴収官(労働保険事務組合であつて、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災二元適用事業等のみに係るものについては、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長並びに所轄都道府県労働局歳入徴収官)とする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

途中かっこ書きが入り、長ったらしい条文となっていますが、黄色マーカー部分だけ読みましょう。

言いたいことは…

労働保険事務組合の所在地管轄 = 所轄とする

ということです。

本肢は○です。

雇用保険法/徴収法 令和3年第9問 E

労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があったときは、委託を受けた日の翌日から起算して14日以内に、労働保険徴収法施行規則第64条に定める事項を記載した届書を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。

解答の根拠

則64条1項

根拠となる条文を確認します。

(委託等の届出)
第六十四条 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があつたときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。
(以下、略)

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

最後はオーソドックスなひっかけ問題です。

「14日以内」ではなく「遅滞なく」となります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

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