遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和3年第6問
A.労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者より先順位となる。
B.労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた祖父母は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より先順位となる。
C.労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた孫は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より先順位となる。
D.労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった子より先順位となる。
E.労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた兄弟姉妹は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった父母より先順位となる。
法16条の7
本問はボーナス問題といっても良いと思います。
こういう問題を、自信をもって確実に解くことができるかどうかは、非常に重要です。
ぜひ復習をするとともに、次回の試験で本問のようなオーソドックスな問題が出題されたら、確実に正解できるようにしましょう!
…と言っておしまいではなく、しっかりと確認しておきたいと思います。
本問の根拠条文は以下の通りです。
第十六条の七 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。
労働者災害補償保険法
一 配偶者
二 労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
三 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
② 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順序により、同項第二号及び第三号に掲げる者のうちにあつては、それぞれ、当該各号に掲げる順序による。
ということで、暗記方法はオーソドックスな「はいしふそんそけい (配・子・父・孫・祖・兄)」ですね。
ただし、条文の内容をより正確に表現するのであれば、「生計維持関係」の視点も交えて、以下のような順番になります。
1.配偶者(生計維持関係は問わない)
2.生計維持関係のある子
3.生計維持関係のある父母
4.生計維持関係のある孫
5.生計維持関係のある祖父母
6.生計維持関係のある兄弟姉妹
7.生計維持関係のない子
8.生計維持関係のない父母
9.生計維持関係のない孫
10.生計維持関係のない祖父母
11.生計維持関係のない兄弟姉妹
ということで、以上の順位を、本問各肢に当てはめていきましょう。
比較する前者は全員「生計維持関係あり」/後者は全員「生計維持関係なし」ですね。
そして、各肢は「前者は後者よりも先順位となる」で共通で、本問は「誤っているものを選べ」なので、
【 前者 < 後者 】 ※後者の方が順位が上、という意味です
の選択肢を選べば、誤っている肢を選ぶことになります。
そうすると、上記の順番で、生計維持関係がなくても生計維持関係ありの家族に勝てる(順位が上)なのは、1の配偶者しかいない、ということがわかります。
念のため確認します。
A.労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた父母【上記の順位で第3位】は、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していなかった配偶者【上記の順位で第1位】より先順位となる。
となり、「先順位となる」という文末が相応しくない…となります。
したがって、肢Aが本問の正解(誤っているもの)となります。
ちなみに、本問はたまたま、比較する前者は全員「生計維持関係あり」/後者は全員「生計維持関係なし」で統一されていたのでシンプルな問題でした。
ですが、もし作問者の立場になって、この問題にひねりを加えるとしたら、もちろん「生計維持関係あり」/「生計維持関係なし」をごちゃまぜにしてくるでしょう。
仮にそのような問題が出たとしても、難易度としてはさほど変わらず、先ほどの順位が頭の中に入っていれば、落ち着いて整理しながら確実に正解を導き出すことができると思います。
本試験中、「簡単そうにみえるけど、こんがらがった糸を丁寧にほぐさないとミスるな…」という問題に遭遇したら、落ち着いて図示する・表を作るなどして整理して、ケアレスミスをなくすようにしましょう。
個人的には、このような問題は多少時間をかけても確実に取るべきだと思っています。