社会保険労務士試験【労働基準法】<令和3年第6問>

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労働基準法第 65 条に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

労働基準法 令和3年第6問 A

労働基準法第65条の「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩をいうが、1か月は28日として計算するので、4か月以上というのは、85日以上ということになる。

解答の根拠

法65条 / S23.12.23.基発1885号

解答の根拠に挙げた通達には、以下のような記載があります。

出産は妊娠4か月以上(1か月は28日として計算する。したがって、4か月以上というのは、85日以上のことである。)の分娩とし、生産のみならず死産をも含むものとする。

S23.12.23.基発1885号

1か月というのは月によって28~31日まで日数が変動しますので、時期によって総日数が異なるのは不明確であるとのことから上記通達が発信されたと思われます。

なお、この通達の後段(出産とは死産も含む)ということも非常に重要です。

85日以降の死産であれば、生産時と同様の各種制度…産休、出産育児一時金、出産手当金が受けられますので、併せて押さえておきましょう。

ちなみに、試験とは関係ありませんが、過去人事担当者として「死産」の出産手当金や出産育児一時金の請求対応を担当したことがあります。

子を持つ親として、そして、自分の子が無事に生まれてきた時のかけがえのない気持ちを感じたことのある立場だからこそ、当該社員の気持ちを思うといたたまれない気持ちになります…。

この肢は○です。

労働基準法 令和3年第6問 B

労働基準法第65条の「出産」の範囲に妊娠中絶が含まれることはない。

解答の根拠

法65条 / S26.4.2.婦発113号

解答の根拠に挙げた通達には、以下のような記載があります。

出産とは、妊娠4カ月(1カ月は28日)以上の分娩で死産(人工妊娠中絶を含む) をも含む

S26.4.2.婦発113号

ひとつ前の設問とセットで覚えておきましょう!

この肢が×となり、本問の正解になります。

労働基準法 令和3年第6問 C

使用者は、産後8週間(女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならないが、出産当日は、産前6週間に含まれる。

解答の根拠

法65条2項 / S25.3.31.基収4057号

「出産日当日は産前」というのは、試験のみならず実務でも必要な知識ですので、しっかりと押さえておきましょう!

ちなみに、私には子供が2人いますが、一人は午前6時、もう一人は午前1時に生まれています。

となると、出産日(子の誕生日)当日は、24時間のうち産後の時間が圧倒的に長いのですが、それでも「産前」となるんだな…とその時に思ったものです。

この肢は○となります。

労働基準法 令和3年第6問 D

6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性労働者については、当該女性労働者の請求が産前の休業の条件となっているので、当該女性労働者の請求がなければ、労働基準法第65条第1項による就業禁止に該当しない。

解答の根拠

法65条1項

産前産後休業の就業禁止レベルについては、しっかりと理解しておくことが必要です。

①産前休業…本人が休業を請求した場合は、就業させてはならない
      →裏を返すと、本人が請求しなければ出産の直前まで就業可能
②産後休業6週まで…絶対的に就業禁止
③産後休業6週以降…本人が就業を請求+医師が支障がないと認めた業務に就かせることは可能

本設問の記載内容は、上記の①に該当します。

実務上は、産前休業が取得できる6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)を過ぎても働いている方はあまり多くない印象があります。

徐々に働くことが辛くなってくる時期でもありますし、せっかく健康保険から出産手当金がもらえるのにわざわざ働いても…と思う方が多いですね。

ついでに、産休・育休中に時効消滅してしまう年次有給休暇を産前休業前にくっつけて長めにお休みをとる方もいます。

ルールをしらないと復職時に有休残日数が想像以上に少なかった…無駄にした…ということにもなりかねませんので、注意が必要です。

本肢は○となります。

労働基準法 令和3年第6問 E

労働基準法第65条第3項は原則として妊娠中の女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない。

解答の根拠

法65条3項 / S61.3.20.基発151号婦発69号

この論点は非常に有名ですので、しっかりと押さえておきましょう。

根拠となっている通達を知っていれば秒殺の肢ですが、仮に知らなかったとしても、「当該社員のために、わざわざ必要のない業務を新たに創り出して応じる義務を事業主に課すのはおかしいのでは」と考えていただければ良いと思います。

本肢は○となります。

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