社会保険労務士試験【雇用保険法】<令和7年第6問>

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一般被保険者に係る基本手当の給付制限に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ

雇用保険法 令和7年第6問 ア

基本手当の受給資格者が、公共職業安定所に紹介された事業主の面接を受けて採用通知を受けた直後において、正当な理由がなく就職することを拒否した場合、当該受給資格者はこれを理由に給付制限を受ける。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領 52151

根拠となる要領を確認します。

52151(1)概要
ハ 正当な理由なく(ニ及び52152~52155 参照)次の行為をなした場合は、安定所の紹介する職業に就くこと、安定所長の指示した公共職業訓練等を受けること又は安定所が行う職業指導を受けることを拒んだ場合に含まれると解して法第 32 条の給付制限を行う。
(イ) c 安定所に紹介された先の事業主のもとにおいて面接した際に採用を拒否する場合及び面接の結果採用になった後において就職することを拒否する場合

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「給付制限」に関する問題です。

正当な理由なく「安定所に紹介された先の事業主のもとにおいて面接した際に採用を拒否する場合及び面接の結果採用になった後において就職することを拒否する」と給付制限となります。

次の就職までのつなぎの保険であることを考えると、理由なく就職をしないことはその趣旨に反します。

本肢は○です。

雇用保険法 令和7年第6問 イ

建築、配線、潜水作業等の専門の知識、技能を有しない基本手当の受給資格者が、公共職業安定所にそれら専門の知識、技能を必要とする職業を紹介され、当該職業に就くことを拒んだ場合、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領 52152

根拠となる要領を確認します。

52152(2)安定所の紹介する職業に就くことを拒むことが正当な理由があると認められる場合の認定基準
イ 法第32条第1項第1号の「紹介された職業が、受給資格者の能力から見て不適当な場合」の認定基準
(ハ)その者の知識及び技能から見て不適当な業務に紹介された場合 この基準は、次の場合に適用する。
専門の知識、技能を有しない者がそれらを必要とする業務に紹介された場合 例えば、建築、配線、潜水作業等の技能、熟練を必要とする業務に、それらの能力のない者が紹介された場合等を指すのである。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「給付制限」に関する問題です。

技能を有しない者が、建築、配線、潜水作業等の技能、熟練を必要とする業務など、専門の知識等を必要とする業務に紹介された場合、「紹介された職業が、受給資格者の能力から見て不適当な場合」に該当し、給付制限の対象とはなりません。

本肢は○です。

雇用保険法 令和7年第6問 ウ

公共職業安定所が、離職時より住所又は居所を変更していない基本手当の受給資格者に対し、その者の受けることができる基本手当の額のおおむね100分の100よりも低くなる賃金の手取額である就職先を離職直後に紹介した場合、当該受給資格者が、当該手取額を理由として当該職業に就くことを拒んだとき、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領 52152

根拠となる要領を確認します。

52152(2)安定所の紹介する職業に就くことを拒むことが正当な理由があると認められる場合の認定基準
ハ 法第32条第1項第3号の「一般の賃金水準と比べて不当に低い場合」の認定基準 次の(イ)又は(ロ)のいずれかに該当する場合は、正当な理由があると認められる。
(ロ)就職先の賃金の手取額がその者の受けることができる基本手当の額のおおむね100 分の 100 よりも低い場合

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「給付制限」に関する問題です。

就職先の賃金の手取額がその者の受けることができる基本手当の額のおおむね100 分の 100 よりも低い場合」は、「その他正当な理由があるとき」に該当し、給付制限の対象とはなりません。

本肢は○です。

雇用保険法 令和7年第6問 エ

基本手当の受給資格者が、公共職業安定所に紹介された事業所の労働時間が不当であるとして当該職業に就くことを拒んだ場合であって、公共職業安定所が当該事業所の労働時間につき、法令には反しないがその地域の同種の業務において行われるものに比べて不当であると判定したとき、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領 52152

根拠となる要領を確認します。

52152(2)安定所の紹介する職業に就くことを拒むことが正当な理由があると認められる場合の認定基準
ホ 法第32条第1項第5号の「その他正当な理由があるとき」の認定基準
(ロ)労働時間その他の労働条件がその地域の同種の業務について行われるものに比べて、不当である事業所に紹介された場合

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「給付制限」に関する問題です。

「労働時間その他の労働条件がその地域の同種の業務について行われるものに比べて、不当である事業所に紹介された場合」は、「その他正当な理由があるとき」に該当し、給付制限の対象とはなりません。

本肢は○です。

雇用保険法 令和7年第6問 オ

一時的に2か月間賃金の2分の1が不払いとなったことがある事業所を公共職業安定所から紹介された基本手当の受給資格者が当該事業所の職業に就くことを拒んだ場合、紹介された時点では当該事業所の賃金不払いが解消しており、今後は正当な時期に賃金が支払われることが確実であっても、当該受給資格者はこれを理由とした給付制限を受けない。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領 52152

根拠となる要領を確認します。

52152(2)安定所の紹介する職業に就くことを拒むことが正当な理由があると認められる場合の認定基準
ホ 法第32条第1項第5号の「その他正当な理由があるとき」の認定基準
(ハ)1 か月以上賃金不払(賃金の 3 分の 1を上回る額が支払われなかった場合を含む。)の事業所(将来正当な時期に賃金が支払われるものと認められるものを除く。)に紹介された場合 「1 か月以上賃金不払」というのは、最近の、又は紹介を受けた当時における事実を指す。しかしながら、その事実が一時的なものであって、近い将来正当な時期に賃金が支払われることが確実な場合は、その就職を拒む正当な理由とはならない。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「給付制限」に関する問題です。

まず原則として、「1か月以上賃金不払(賃金の3分の1を上回る額が支払われなかった場合を含む。)の事業所(将来正当な時期に賃金が支払われるものと認められるものを除く。)に紹介された場合」は、「その他正当な理由があるとき」に該当し、給付制限の対象とはなりません。

ただし、その事実が一時的なものであって、近い将来正当な時期に賃金が支払われることが確実な場合は、その就職を拒む正当な理由とはなりません。

問題文には「紹介された時点では当該事業所の賃金不払いが解消しており、今後は正当な時期に賃金が支払われることが確実」とありますので、正当な理由とならないこととなります。

本肢は×です。

以上から、誤っている選択肢は「オ」一つとなり、「A 一つ」が本問の正解となります。

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