厚生労働省労働基準局通知「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号。以下本問において「認定基準」という。)に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A(アとイ)
B(アとウ)
C(イとエ)
D(ウとオ)
E(エとオ)
労働者災害補償保険法 令和7年第3問 ア
認定基準にいう「特に過重な業務」とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうが、ここでいう日常業務には、労働基準法第36条に基づく労使協定により延長することができる労働時間内に行う業務が含まれる。
「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
根拠通達を確認します。
第4 認定要件の具体的判断
2 長期間の過重業務
(2) 特に過重な業務 特に過重な業務とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうものであり、日常業務に就労する上で受ける負荷の影響は、血管病変等の自然経過の範囲にとどまるものである。 ここでいう日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
本肢は「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準」に関する問題です。
問題文にある「日常業務」の定義は、通達では「通常の所定労働時間内の所定業務内容」とされています。
したがって、「労働基準法第36条に基づく労使協定により延長することができる労働時間内に行う業務」は含まれません。
本肢は×です。
労働者災害補償保険法 令和7年第3問 イ
認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つに勤務時間の不規則性があり、特に長期間の過重業務の判断に当たっては、勤務間インターバルがおおむね9時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価することとされている。
「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
根拠通達を確認します。
第4 認定要件の具体的判断
2 長期間の過重業務
(4) 過重負荷の有無の判断
ウ 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の観点から、以下に掲げる負荷要因について十分検討すること。
(イ) 勤務時間の不規則性
c 勤務間インターバルが短い勤務
なお、長期間の過重業務の判断に当たっては、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価すること。「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
本肢は「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準」に関する問題です。
単純な相違問題です。
・問題文…勤務間インターバルがおおむね9時間未満の勤務の有無
・正しくは…勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無
本肢は×です。
労働者災害補償保険法 令和7年第3問 ウ
認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つである作業環境(温度環境、騒音)は、長期間の過重業務の判断に当たっては付加的に評価するのに対し、短期間の過重業務の判断に当たっては付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討することとされている。
「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
根拠通達を確認します。
第4 認定要件の具体的判断
3 短期間の過重業務
(3) 過重負荷の有無の判断
ウ 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、以下に掲げる負荷要因について十分検討すること。
(イ) 労働時間以外の負荷要因
なお、短期間の過重業務の判断においては、前記2(4)ウ(カ)の作業環境について、付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討すること。「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
本肢は「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準」に関する問題です。
問題文にある、「短期間の過重業務の判断」について、上記根拠通達では「付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討すること。」とされています。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和7年第3問 エ
器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する者が、認定基準にいう対象疾病である虚血性心疾患等を発症した場合については、業務と発症との関連が認められることはない。
「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
根拠通達を確認します。
第5 その他
1 基礎疾患を有する者についての考え方
器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する場合についても、その病態が安定しており、直ちに重篤な状態に至るとは考えられない場合であって、業務による明らかな過重負荷によって自然経過を超えて著しく重篤な状態に至ったと認められる場合には、業務と発症との関連が認められるものであること。「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
本肢は「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準」に関する問題です。
器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する場合については、
・その病態が安定して直ちに重篤な状態に至るとは考えられない場合
・業務による明らかな過重負荷によって自然経過を超えて著しく重篤な状態に至ったと認められる場合
には、「業務と発症との関連が認められる」とされています。
本肢は×です。
労働者災害補償保険法 令和7年第3問 オ
労災保険法第7条第1項第2号に定める複数業務要因災害による脳・心臓疾患の認定に関しては、認定基準における過重性の評価に際して、二以上の事業の業務による業務の過重性の検討に当たり、異なる事業における労働時間を通算して評価する。
「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
根拠通達を確認します。
第6 複数業務要因災害
1 二以上の事業の業務による「長期間の過重業務」及び「短期間の過重業務」の判断 前記第4の2の「長期間の過重業務」及び同3の「短期間の過重業務」に関し、業務の過重性の検討に当たっては、異なる事業における労働時間を通算して評価する。「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)
本肢は「血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳血管疾患および虚血性心疾患等の認定基準」に関する問題です。
複数業務要因災害による脳・心臓疾患の認定に関しては、「異なる事業における労働時間を通算して評価する」とされています。
本肢は○です。
以上から、正しい選択肢はウとオとなり、D(ウとオ)が正解となります。


