労働基準法に定める就業規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働基準法 令和7年第7問 A
就業規則を作成した使用者は、当該就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要がある。
令和5年10月12日基発1012第2号
根拠通達を確認します。
第3 その他
1 就業規則の周知 就業規則等の周知については、平成11年3月31日付け基発第169号「労働基準法関係解釈例規の追加について」において、「就業規則等を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあることが「周知させる」ための要件である。」と示しているところであるが、具体的には、使用者は、就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があるものであること。令和5年10月12日基発1012第2号
本肢は「就業規則」に関する問題です。
上記根拠通達にあるとおり、使用者は、就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があります。
作成したけど、どこにあるかわからない、見たいときに見れない…では意味がないですからね。
本肢は○です。
労働基準法 令和7年第7問 B
使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行う所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行われるときは、従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務があるとするのが、最高裁判所の判例である。
最判昭和43年8月2日
本肢は「就業規則」に関する問題です。
判例からの出題です。
端的にまとめると、会社での持ち物検査は、①実施の合理的理由、②妥当な方法、③制度として画一的に実施、④就業規則等に基づいて行われる、という条件がそろっていれば、従業員は特段の事情がない限りは検査を受けなければならない、ということになります。
本肢は○です。
労働基準法 令和7年第7問 C
労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態(シフト制)の労働者に関する労働基準法第89条第1項第1号に係る事項の就業規則への記載に際して、「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにならないが、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えない。
いわゆる「シフト制」により就業する労働者の 適切な雇用管理を行うための留意事項
根拠条文を確認します。
2 シフト制労働契約に関する留意事項
⑵ 労働契約の締結
イ シフト制労働者に関して、就業規則上「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことになりませんが、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えありません。いわゆる「シフト制」により就業する労働者の 適切な雇用管理を行うための留意事項
本肢は「就業規則」に関する問題です。
シフト制は適用される労働時間が不規則になるため、しっかりと労働者に対して労働時間が明示されている状態にする必要があります。
そのため、就業規則上の規定として「個別の労働契約による」や「シフトによる」などだけで済ませてしまっているのはNGです。
しかし、状況によって労働時間が可変的になるためにシフト制を採用しているわけなので、実務的には「個別の労働契約」や「シフト」で実際の労働時間を明示することもあるでしょう。
そのような場合は、就業規則において「基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で」、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えないとされています。
本肢は○です。
労働基準法 令和7年第7問 D
労働基準法第90条第2項の規定により就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載しただけでは足りず、この者の押印もなければならない。
則第49条第2項
根拠通達を確認します。
第四十九条
② 法第九十条第二項の規定により前項の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければならない。
本肢は「就業規則」に関する問題です。
就業規則の労基署への届出の際に添付する必要がある「意見書」ですが、労働者側の代表の「氏名の記載」があれば十分で、押印までは必要とされておりません。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労働基準法 令和7年第7問 E
労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その時間分の減給は、労働基準法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、同条に定める規定の適用を受ける。
昭和63年3月14日基発150号
根拠通達を確認します。
遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受ける。
昭和63年3月14日基発150号
本肢は「就業規則」に関する問題です。
ノーワーク・ノーペイの原則により、遅刻・早退で労働しなかった部分の賃金をカットすることは問題ありません。
しかし、当該遅刻・早退の時間を超えて減給をすることは、可罰的な意味をもつ対応のため、もちろん法第91条の減給の制裁の規定の範囲内で実施しなければ違法となります。
本肢は○です。

  
  
  
  