厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
厚生年金保険法 令和6年第6問 A
特定適用事業所で使用されている甲(所定内賃金が月額88,000円以上、かつ、学生ではない。)は、雇用契約書で定められた所定労働時間が週20時間未満である。しかし、業務の都合によって、2か月連続で実際の労働時間が週20時間以上となっている。引き続き同様の状態が続くと見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3か月目の初日に、甲は厚生年金保険の被保険者資格を取得する。
法第12条第1項第5号
根拠条文を確認します。
(適用除外)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあつては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからハまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ハ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。厚生年金保険法
本肢は、「被保険者資格」に関する問題です。
問題文のケースでは、週の労働時間が変更となり、それが常態化する=3か月目の初日に、被保険者資格を取得するとされています。
本肢は○となり、本問の正解となります。
厚生年金保険法 令和6年第6問 B
第1号厚生年金被保険者が、2か所の適用事業所(管轄の年金事務所が異なる適用事業所)に同時に使用されることになった場合は、その者に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。この選択に関する届出は、被保険者が選択した適用事業所の事業主が、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出することとされている。
則第1条第2項
根拠条文を確認します。
(選択)
第一条
2 前項の選択は、二以上の事業所に使用されるに至つた日から十日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を、機構に提出することによつて行うものとする。
一 氏名、生年月日及び住所
二 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。以下「番号利用法」という。)第二条第五項に規定する個人番号(以下「個人番号」という。)又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第十四条に規定する基礎年金番号(以下「基礎年金番号」という。)
三 各事業所の事業主(第一号厚生年金被保険者に係るものに限る。以下同じ。)の氏名又は名称及び住所
四 各事業所の名称及び所在地
五 被保険者にあつては、各事業所につき公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第六十三号。以下「平成二十五年改正法」という。)附則第三条第十一号に規定する存続厚生年金基金(以下「基金」という。)が設立されているときは、当該基金の名称厚生年金保険法施行規則
本肢は、「適用事業所の選択」に関する問題です。
適用事業所の選択については、
・選択する=被保険者
・選択した結果を日本年金機構に届け出る=被保険者
とされています。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和6年第6問 C
老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額を計算する際に、総報酬制導入以後の被保険者期間分については、平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数で計算する。この給付乗率は原則として1000分の5.481であるが、昭和36年4月1日以前に生まれた者については、異なる数値が用いられる。
平成12年法附則第20条第1項第2号 / 平成12年法附則第21条第1項第2号
根拠条文を確認します。
(老齢厚生年金等の額の計算に関する経過措置)
第二十条 厚生年金保険の被保険者であった期間の全部又は一部が平成十五年四月一日前であるときは、厚生年金保険法第四十三条第一項(同法第五十条第一項及び第六十条第一項第一号においてその例による場合並びに同法第四十四条第一項及び第四十四条の三第四項(平成二十五年改正法附則第八十七条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、昭和六十年改正法附則第五十九条第二項、附則第十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた第五条の規定による改正前の厚生年金保険法第四十四条の三第四項並びに厚生年金保険法附則第十七条の五の規定により読み替えられた平成二十五年改正法附則第八十六条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成二十五年改正法第一条の規定による改正前の厚生年金保険法第四十四条の二第一項並びに厚生年金保険法附則第七条の三第四項及び第十三条の四第四項において適用する場合を含む。)及び同法附則第九条の二第二項第二号(同法附則第九条の三第一項及び第三項(同条第五項においてその例による場合を含む。)並びに同法附則第九条の四第一項(同法附則第二十八条の三第二項及び第二十八条の四第二項においてその例による場合を含む。)及び第四項(同法附則第九条の四第六項においてその例による場合を含む。)並びに平成六年改正法附則第十八条第二項、第十九条第二項及び第四項、第二十条第二項及び第四項並びに第二十条の二第二項及び第四項においてその例による場合を含む。)に定める額は、これらの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額を合算した額とする。
一 平成十五年四月一日前の被保険者であった期間の平均標準報酬月額(第六条の規定による改正前の厚生年金保険法第四十三条第一項に規定する平均標準報酬月額をいう。以下同じ。)の千分の七・一二五に相当する額に当該被保険者期間の月数を乗じて得た額
二 平成十五年四月一日以後の被保険者であった期間の平均標準報酬額の千分の五・四八一に相当する額に当該被保険者期間の月数を乗じて得た額第二十一条 厚生年金保険法による年金たる保険給付の額については、前条の規定により計算した額が次の各号に掲げる額を合算して得た額に従前額改定率を乗じて得た額に満たないときは、同条の規定にかかわらず、当該各号に掲げる額を合算して得た額に従前額改定率を乗じて得た額を、同条に定める額とする。
一 平成十五年四月一日前の被保険者であった期間の平均標準報酬月額の千分の七・五に相当する額に当該被保険者期間の月数を乗じて得た額
二 平成十五年四月一日以後の被保険者であった期間の平均標準報酬額の千分の五・七六九に相当する額に当該被保険者期間の月数を乗じて得た額厚生年金保険法平成12年附則
本肢は、「老齢厚生年金等の額の計算に関する経過措置」に関する問題です。
原則として「総報酬制導入以後(平成15年4月以降)の加入期間」は、以下の数式で算出します。
⇒ 平均標準報酬額 × 1000分の5.481 × 被保険者期間(月数)
そして、問題文にある「異なる数値が用いられる」ケースについては
・問題文…昭和36年4月1日以前に生まれた者
・正しくは…昭和21年4月1日以前に生まれた者
となります。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和6年第6問 D
届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合は、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることから、届出による婚姻関係が優先される。そのため、届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときでも、内縁関係にある者が事実婚関係にある者として認定されることはない。
生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕(平成23年3月23日年発0323第1号)
根拠通達を確認します。
6 重婚的内縁関係
(1) 認定の要件
届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合の取扱いについては、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、従って、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとすること。生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕(平成23年3月23日年発0323第1号)
本肢は、「重婚的内縁関係」に関する問題です。
重婚関係(届出による婚姻関係にある者が重ねて他の者と内縁関係にある場合)の取扱いについては、上記根拠条文のとおり、「届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定する」とされています。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和6年第6問 E
厚生年金保険法第47条の2に規定される事後重症による障害厚生年金は、その支給が決定した場合、請求者が障害等級に該当する障害の状態に至ったと推定される日の属する月の翌月まで遡って支給される。
法第36条第1項
根拠条文を確認します。
(年金の支給期間及び支払期月)
第三十六条 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。厚生年金保険法
本肢は、「年金の支給期間及び支払期月」に関する問題です。
「事後重症による請求」については、請求日の翌月から障害年金を受給できるとされています。
本肢は×です。