厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
厚生年金保険法 令和6年第3問 A
同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下本肢において同じ。)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払いが行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払いとみなすことができる。
法第39条第3項
根拠条文を確認します。
(年金の支払の調整)
第三十九条
3 同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下この項において同じ。)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払が行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払とみなすことができる。厚生年金保険法
本肢は、「年金の支払の調整」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文のとおりの内容となっています。
・年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として年金たる給付の支払が行われたとき
⇒年金たる保険給付の内払とみなすことができる
本肢は○です。
厚生年金保険法 令和6年第3問 B
適用事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)は、厚生年金保険法第9条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て被保険者となることができる。
法附則第4条の3第1項
根拠条文を確認します。
(高齢任意加入被保険者)
第四条の三 適用事業所に使用される七十歳以上の者であつて、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しないもの(第十二条各号に該当する者を除く。)は、第九条の規定にかかわらず、実施機関に申し出て、被保険者となることができる。厚生年金保険法附則
本肢は、「高齢任意加入被保険者」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文のとおりの内容となっています。
・適用事業所に使用されている
・70歳以上
・老齢厚生年金、老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しない
⇒実施機関に申し出て、被保険者となることができる。
本肢は○です。
厚生年金保険法 令和6年第3問 C
適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により地方公共団体情報システム機構が保存する本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)は、その住所を変更したときは、所定の事項を記載した届書を10日以内に日本年金機構に提出しなければならない。
則第5条の5
根拠条文を確認します。
(高齢任意加入被保険者の住所変更の届出)
第五条の五 法附則第四条の三第一項の規定による被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法第三十条の九の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)は、その住所を変更したときは、十日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。この場合において、当該届書に基礎年金番号を記載するときは、当該届書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えなければならない。
一 氏名、生年月日並びに変更前及び変更後の住所
二 住所の変更年月日
三 個人番号又は基礎年金番号厚生年金保険法施行規則
本肢は、「高齢任意加入被保険者の住所変更の届出」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文のとおりの内容となっています。
・適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者
⇒住所変更時は、10日以内に日本年金機構に提出しなければならない
本肢は○です。
厚生年金保険法 令和6年第3問 D
甲は、令和6年5月1日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したが、同月15日にその資格を喪失し、同日、国民年金の第1号被保険者の資格を取得した。この場合、同年5月分については、1か月として厚生年金保険における被保険者期間に算入する。
法第19条第2項
根拠条文を確認します。
第十九条
2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。
本肢は、「被保険者期間」に関する問題です。
被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1箇月として被保険者期間に算入します。(これを同月得喪といいます)。
ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(第2号被保険者を除く)の資格を取得したときは、算入しないこととされています。
したがって、問題文のケースでは、令和6年5月分については厚生年金保険における被保険者期間に算入されません。
本肢は×となり、本問の正解となります。
厚生年金保険法 令和6年第3問 E
厚生年金保険法第28条によれば、実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに所定の事項を記録しなければならないとされるが、この規定は第2号厚生年金被保険者についても適用される。
法第28条 / 法第31条の3
根拠条文を確認します。
(記録)
第二十八条 実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)、基礎年金番号(国民年金法第十四条に規定する基礎年金番号をいう。)その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。(適用除外)
第三十一条の三 第二号厚生年金被保険者であり、若しくはあつた者、第三号厚生年金被保険者であり、若しくはあつた者又は第四号厚生年金被保険者であり、若しくはあつた者及びこれらの者に係る事業主については、この節の規定(第二十八条及び前条を除く。)は、適用しない。
本肢は、「記録」に関する問題です。
問題文の内容は、上記根拠条文(法第28条)に規定されています。
・実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに所定の事項を記録しなければならない
この「法第28条」は、その後の第31条の3のかっこ書きにて「適用除外を除外(つまり適用する」されています。
本肢は○です。