社会保険労務士試験【国民年金法】<令和5年第8問>

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国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

国民年金法 令和5年第8問 A

令和5年度の老齢基礎年金の額は、名目手取り賃金変動率がプラスで物価変動率のプラスを上回ったことから、令和5年度において67歳以下の人(昭和31年4月2日以降生まれの人)は名目手取り賃金変動率を、令和5年度において68歳以上の人(昭和31年4月1日以前生まれの人)は物価変動率を用いて改定され、満額が異なることになったため、マクロ経済スライドによる調整は行われなかった。

解答の根拠

令和5年度の年金額改定について(厚生労働省)

根拠資料を確認します。

年金額の改定は、名目手取り賃金変動率が物価変動率を上回る場合、新規裁定者(67歳以下の方)の年金額は名目手取り賃金変動率を、既裁定者(68歳以上の方)の年金額は物価変動率を用いて改定することが法律で定められています。 このため、令和5年度の年金額は、新規裁定者は名目手取り賃金変動率(2.8%)を、既裁定者は物価変動率(2.5%)を用いて改定します。 また、令和5年度のマクロ経済スライドによる調整(▲0.3%)と、令和3年度・令和4年度のマクロ経済スライドの未調整分による調整(▲0.3%)が行われます。 よって、令和5年度の年金額の改定率は、新規裁定者は2.2%、既裁定者は1.9%となります。

令和5年度の年金額改定について(厚生労働省)

本肢は、「マクロ経済スライド」に関する問題です。

問題文には「マクロ経済スライドによる調整は行われなかった。」とありますが、ただしくは上記根拠資料のように「行われた」となります。

本肢は×です。

国民年金法 令和5年第8問 B

令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。

解答の根拠

令和5年度の年金額改定について(厚生労働省)

根拠資料を確認します。

【国民年金保険料について】
国民年金の保険料は、平成16年の年金制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29年度に上限(平成16年度水準で16,900円)に達し、引き上げが完了しました。その上で、平成31年4月から、次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者(自営業の方など)に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、令和元年度分より、平成16年度水準で、保険料が月額100円引き上がり17,000円となりました。

令和5年度の年金額改定について(厚生労働省)

本肢は、「国民年金保険料」に関する問題です。

国民年金の保険料は、令和元年度分より、平成16年度水準で、保険料が月額100円引き上がり17,000円となっています。

本肢は×です。

国民年金法 令和5年第8問 C

保険料の4分の3免除、半額免除及び4分の1免除の規定により、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、追納を行うためには、その免除されていない部分である残余の額が納付されていなければならない。

解答の根拠

法第94条第1項

根拠条文を確認します。

(保険料の追納)
第九十四条被保険者又は被保険者であつた者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、厚生労働大臣の承認を受け、第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前十年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき追納をすることができる。ただし、同条第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限る。

国民年金法

本肢は、「保険料の追納」に関する問題です。

本問は上記根拠条文のとおりとなります。

追納は免除された金額をあとから支払うことですが、追納できるのは「免除されていない金額をしはらっているとき」に限るとされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

国民年金法 令和5年第8問 D

昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。

解答の根拠

昭60法附則8条5項1号

根拠条文を確認します。

(国民年金の被保険者期間等の特例)
第八条
5 次の各号に掲げる期間は、国民年金法附則第九条第一項の規定の適用については合算対象期間に算入する。
一 旧国民年金法附則第六条第一項の規定により国民年金の被保険者となることができた者が、同項に規定する申出を行わなかつたため、国民年金の被保険者とならなかつた期間

本肢は、「国民年金の被保険者期間等の特例」に関する問題です。

20歳以上60歳未満の学生が、強制加入となったのは、平成3年4月1日からです。

では、その前の昭和36年4月1日から平成3年3月31日までの間で任意加入していなかった期間はどのように取り扱われるかというと、上記根拠条文のとおり合算対象期間として算入されることになります。

問題文には「平成4年3月31日まで」とありますので、誤りとなります。

本肢は×です。

国民年金法 令和5年第8問 E

保険料の全額免除期間については、保険料の全額免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料をその後追納しなくても老齢基礎年金の年金額に反映されるが、それは免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用について国庫が負担しているからであり、更に、平成15年4月1日以降、国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたことから年金額の反映割合も免除の種類に応じて異なっている。

解答の根拠

法第85条第1項、ほか

根拠条文を確認します。

(国庫負担)
第八十五条 国庫は、毎年度、国民年金事業に要する費用(次項に規定する費用を除く。)に充てるため、次に掲げる額を負担する。
一 当該年度における基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金をいう。以下同じ。)の給付に要する費用の総額(次号及び第三号に掲げる額を除く。以下「保険料・拠出金算定対象額」という。)から第二十七条第三号、第五号及び第七号に規定する月数を基礎として計算したものを控除して得た額に、一から各政府及び実施機関に係る第九十四条の三第一項に規定する政令で定めるところにより算定した率を合算した率を控除して得た率を乗じて得た額の二分の一に相当する額
(以下略)

国民年金法

本肢は「国庫負担」に関する問題です。

問題文中にある「国庫負担割合の引き上げ」は、
・問題文…平成15年4月1日以降
・正しくは…平成21年4月1日以降
です。

本肢は×です。

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