健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
A アとイ B アとウ C イとウ D ウとオ E エとオ
健康保険法 令和5年第9問 ア
被保険者甲の産前産後休業開始日が令和4年12月10日で、産前産後休業終了日が令和5年3月8日の場合は、令和4年12月から令和5年2月までの期間中の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
法第159条の3
根拠条文を確認します。
第百五十九条の三 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。
健康保険法
本肢は、「保険料免除」に関する問題です。
問題文のケースを整理します。
①「被保険者甲の産前産後休業開始日が令和4年12月10日で」
→12月10日が属する月→12月が保険料免除期間の開始月
②「産前産後休業終了日が令和5年3月8日」
→3月8日の翌日→3月9日が属する月→3月の前月→2月が保険料免除期間の終了月
従って、問題文の記述内容は正しい、となります。
本肢は○です。
健康保険法 令和5年第9問 イ
被保険者乙の育児休業等開始日が令和5年1月10日で、育児休業等終了日が令和5年3月31日の場合は、令和5年1月から令和5年3月までの期間中の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
法第159条第1項第1号
根拠条文を確認します。
第百五十九条 育児休業等をしている被保険者(第百五十九条の三の規定の適用を受けている被保険者を除く。次項において同じ。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に関する保険料(その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。)は、徴収しない。
一 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月健康保険法
本肢は、「保険料免除」に関する問題です。
問題文のケースを整理します。
①「被保険者乙の育児休業等開始日が令和5年1月10日」
→1月10日が属する月…1月が保険料免除期間の開始月
②「育児休業等終了日が令和5年3月31日」
→3月31日の翌日→4月1日が属する月→4月の前月…3月が保険料免除期間の終了月
従って、問題文の記述内容は正しい、となります。
本肢は○です。
健康保険法 令和5年第9問 ウ
被保険者丙の育児休業等開始日が令和5年1月4日で、育児休業等終了日が令和5年1月16日の場合は、令和5年1月の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。
法第159条第1項第2号
根拠条文を確認します。
第百五十九条 育児休業等をしている被保険者(第百五十九条の三の規定の適用を受けている被保険者を除く。次項において同じ。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に関する保険料(その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。)は、徴収しない。
二 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が十四日以上である場合当該月健康保険法
本肢は、「保険料免除」に関する問題です。
肢Bの応用問題です。
保険料免除期間が1ヶ月…つまり、免除開始月と免除終了月が同じである場合、保険料は免除されるか否か。
上記根拠条文によれば、以下の2つの条件をいずれも満たす場合は免除となります。
①その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一(つまり、免除開始月と免除終了月が同一)
②その期間の育児休業等の日数が14日以上
問題文のケースは、①の条件は満たしますが、②については「1月4日~1月16日→13日間」とギリギリ14日に達していないため、保険料免除とはなりません。
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第9問 エ
入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)とする。
法第85条第2項
根拠条文を確認します。
(入院時食事療養費)
第八十五条
2 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等(介護保険法第五十一条の三第一項に規定する特定介護保険施設等をいう。)における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする。健康保険法
本肢は、「入院時食事療養費」に関する問題です。
入院時食事療養費は、上記根拠条文のとおり、以下の計算式で求められます。
A:当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額
B:平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額【食事療養標準負担額】
入院時食事療養費 = A ー B
問題文では、上記のAの記載しかありませんので、誤りとなります。
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第9問 オ
特定長期入院被保険者(療養病床に入院する65歳以上の被保険者)が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等である病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。
法第85条の2第1項
根拠条文を確認します。
(入院時生活療養費)
第八十五条の二 特定長期入院被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、同条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する。健康保険法
本肢は「入院時生活療養費」に関する問題です。
問題文で説明されている給付は、「入院時食事療養費」ではなく、上記根拠条文のとおり、「入院時生活療養費」となります。
わずかな単語の違いで、試験本番中に焦っていると見落としがちな部分なので、気をつけましょう!
本肢は×です。
以上から、正しい選択肢は「ア」と「イ」となり、「A」が正解となります。