健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
健康保険法 令和5年第6問 A
別居している兄弟が共に被保険者であり、その父は弟と同居しているが、兄弟が共に父を等分の扶養により生計を維持している場合、父が死亡したときの家族埋葬料は、兄弟の両方に支給される。
昭和23年4月28日保発623号
根拠通達を確認します。
一 別居したる兄弟共に被保険者である父(兄弟共に等分の扶養により生計を維持し弟と同居する父)が死亡したる場合の家族埋葬料は、いずれか一方に支給すべきか、両方に支給すべきか、一方に支給すべきとすれば、事実埋葬を行いたる埋葬認可申請人に支給すベきか。
一 弟と同居する父に対して、その弟が兄弟と共に等分の扶養費を負担している場合には、その父は弟である被保険者の被扶養者として取り扱い、その家族埋葬料は弟である被保険者にだけ支給すべきである。
家族埋葬料の支給について(昭和23年4月28日保発623号)
本肢は、「家族埋葬料」に関する問題です。
家族埋葬料が誰に支給されるかを問う問題です。
問題文では、父を扶養する兄弟が登場しますが、兄弟で同じ割合で扶養費を負担しているのであれば、同居している弟の方にのみ支給する、とされています。
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第6問 B
療養の給付に係る事由又は入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給に係る事由が第三者の行為によって生じたものであるときは、被保険者は、30日以内に、届出に係る事実並びに第三者の氏名及び住所又は居所(氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)及び被害の状況を記載した届書を保険者に提出しなければならない。
則第65条
根拠条文を確認します。
(第三者の行為による被害の届出)
第六十五条 療養の給付に係る事由又は入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給に係る事由が第三者の行為によって生じたものであるときは、被保険者は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を保険者に提出しなければならない。
一 届出に係る事実
二 第三者の氏名及び住所又は居所(氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)
三 被害の状況健康保険法施行規則
本肢は、「第三者の行為による被害の届出」に関する問題です。
出題パターンとしては、単純な語句相違問題です。
第三者の行為による被害の届出の提出期限について…
・問題文…30日以内
・正しくは…遅滞なく
となります。
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第6問 C
被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。
法第55条第4項
根拠条文を確認します。
(他の法令による保険給付との調整)
第五十五条
4 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。健康保険法
本肢は、「他の法令による保険給付との調整」に関する問題です。
同一の疾病・負傷が、各種法律・各種主体・各種給付を複数受けた場合は、同じ理由で健康保険法に基づく給付を行うことは過剰ですので、その限度について給付は行われない、となります。
この「支給調整」という概念は、健康保険法だけでなく、他の社会保険(年金等)にも共通の基本原則となっていますので、ぜひ押さえておきましょう。
本肢は○となり、本問の正解となります。
健康保険法 令和5年第6問 D
被保険者又は被保険者であった者が、少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき又は刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたときのいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は行わないが、その被扶養者に係る保険給付も同様に行わない。
法第118条第2項
根拠条文を確認します。
第百十八条 被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、行わない。
一 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき。
二 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。
2 保険者は、被保険者又は被保険者であった者が前項各号のいずれかに該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げない。健康保険法
本肢は、「保険給付の制限」に関する問題です。
少年院や刑事施設に収容されている間は、給付は行われない…というのは、イメージとして理解できると思います。
しかし、本人の収容と基本的には関係のない被扶養者に対する保険給付まで制限する必要はないでしょう。
上記根拠条文のとおり、被扶養者に対する保険給付は制限されませんので、注意しましょう。
本肢はです。
健康保険法 令和5年第6問 E
厚生労働大臣は、指定訪問看護事業を行う者の指定の申請があった場合において、申請者が、社会保険料について、当該申請をした日の前日までに、社会保険各法又は地方税法の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく3か月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料又は地方税法に基づく税を一部でも引き続き滞納している者であるときは、その指定をしてはならない。
法第89条第4項第7号
根拠条文を確認します。
(指定訪問看護事業者の指定)
第八十九条
4 厚生労働大臣は、第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の指定をしてはならない。
一~六(略)
七 申請者が、社会保険料について、当該申請をした日の前日までに、社会保険各法又は地方税法の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく三月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している者であるとき。
本肢は「指定訪問看護事業者の指定」に関する問題です。
出題パターンとしては、単純な語句相違問題です。
第三者の行為による被害の届出の提出期限について…
・問題文…一部でも引き続き滞納している者
・正しくは…すべてを引き続き滞納している者
となります。
本肢は×です。