健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
健康保険法 令和5年第2問 A
夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について、夫婦の一方が被用者保険の被保険者で、もう一方が国民健康保険の被保険者の場合には、被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。
令和3年4月30日/保保発0430第2号/保国発0430第1号
根拠通達を確認します。
夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について
2 夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合には、以下の取扱いとする。
(1) 被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日/保保発0430第2号/保国発0430第1号)
本肢は、「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定」に関する問題です。
主たる生計維持者と判断するのは、
被用者保険:年間収入⇔国民健康保険:直近の年間所得で見込んだ年間収入
を比較する、となります。
本肢は○です。
健康保険法 令和5年第2問 B
高額療養費は公的医療保険による医療費だけを算定の対象にするのではなく、食事療養標準負担額、生活療養標準負担額又は保険外併用療養に係る自己負担分についても算定の対象とされている。
法第115条1項
根拠条文を確認します。
(高額療養費)
第百十五条 療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額(次条第一項において「一部負担金等の額」という。)が著しく高額であるときは、その療養の給付又はその保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。健康保険法
本肢は、「高額療養費」に関する問題です。
まず前半の「高額療養費は公的医療保険による医療費だけを算定の対象にするのではなく」についてですが、そもそも高額療養費制度は、保険適用される診療に対する給付ですので、誤りとなります。
また後半の「食事療養標準負担額、生活療養標準負担額又は保険外併用療養に係る自己負担分についても算定の対象とされている」についても、上記根拠条文のとおり、高額療養費の対象として含まれていませんので、誤りとなります。
本肢は×となり、本問の正解となります。
健康保険法 令和5年第2問 C
X事業所では、新たに在宅勤務手当を設けることとしたが、当該手当は実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分があるものとなった。この場合には、当該実費弁償分については「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に含まれる。また、当該手当について、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償分以外の部分の金額に変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象にはならない。
標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集
根拠となる事例集を確認します。
○在宅勤務・テレワークにおける交通費及び在宅勤務手当の取扱いについて
問3 在宅勤務・テレワークの実施に際し、在宅勤務手当が支給される場合の随時改定の取扱いはどうなるのか。
(答)【略】また、一つの手当において、実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分がある場合には、当該実費弁償分については「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に含まれる。この場合、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償以外の部分の金額に変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象とはならない。標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集
本肢は、「在宅勤務・テレワークにおける交通費及び在宅勤務手当の取扱い」に関する問題です。
上記事例集からそのまま出題されています。
テレワークを実施した際に、何らかの手当(在宅勤務手当、など)を支給する企業が多いです。
この何らかの手当は、健康保険料を算定する際の「報酬」にどのような影響があるのでしょうか。
まず、「実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分がある場合には、当該実費弁償分については「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に含まれる。」とされています。
例えば、在宅勤務手当の説明として、「1日150円のうち、100円は水道光熱費相当の実費弁償として支給する」なんていうルールが明示されている場合は、残りの50円は報酬として処理する必要があることになります。
さらに、例えばある月に20日間在宅勤務をして150円×20日=3000円(実費弁償:2000円+報酬:1000円)の支給を受け、その翌月に10日間在宅勤務をして150円×10日=1500円(実費弁償:1000円+報酬:500円)となり、報酬部分が1000円から500円に変動したとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象とはならない、とされています。
本肢は○です。
健康保険法 令和5年第2問 D
日雇特例被保険者の被扶養者が出産したときは、日雇特例被保険者に対し、家族出産育児一時金が支給されるが、日雇特例被保険者が家族出産育児一時金の支給を受けるには、出産の日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上又は当該月の前6か月間に通算して78日分以上の保険料が、その日雇特例被保険者について、納付されていなければならない。
法第144条第1項・第2項
根拠条文を確認します。
(家族出産育児一時金)
第百四十四条 日雇特例被保険者の被扶養者が出産したときは、日雇特例被保険者に対し、家族出産育児一時金を支給する。
2 日雇特例被保険者が家族出産育児一時金の支給を受けるには、出産の日の属する月の前二月間に通算して二十六日分以上又は当該月の前六月間に通算して七十八日分以上の保険料が、その日雇特例被保険者について、納付されていなければならない。健康保険法
本肢は、「日雇特例被保険者の家族出産育児一時金」に関する問題です。
日雇特例被保険者の被扶養者が出産したときは、日雇特例被保険者に対し、家族出産育児一時金が支給されます。
支給条件は、上記根拠条文のとおり、
・出産の日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上
または
・当該月の前6か月間に通算して78日分以上
の保険料が、その日雇特例被保険者について、納付されていなければならない、とされています。
本肢は○です。
健康保険法 令和5年第2問 E
特例退職被保険者が、特例退職被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、特定健康保険組合に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したときは、その日の翌日からその資格を喪失する。
法第38条第7項
根拠条文を確認します。
(任意継続被保険者の資格喪失)
第三十八条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。
一~六
七 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき。健康保険法
本肢は「任意継続被保険者の資格喪失」に関する問題です。
任意被保険者が、自ら資格喪失を申し出た場合は、「その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき」に資格喪失することになります。
本肢は○です。