社会保険労務士試験【健康保険法】<令和5年第1問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和5年第1問 A

適用業種である事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用する事業所は適用事業所とされるが、事業所における従業員の員数の算定においては、適用除外の規定によって被保険者とすることができない者であっても、当該事業所に常時使用されている者は含まれる。

解答の根拠

昭和18年4月5日保発905号

根拠通達を確認します。

従業員の員数の算定は、その事業所に常時使用されるすべての者について計算すべきものとする。すなわち、健康保険の被保険者となるべき者はもちろん、法第3条第1項但書の規定によって被保険者とすることができない者であっても当該事業所に常時使用される者についてはこれを算入すべきものとする。

昭和18年4月5日保発905号

本肢は、「常時5人以上の従業員の要件」に関する問題です。

健康保険法上の適用事業所とされる人数要件に、被保険者要件を満たす者はもちろんカウントしますが、被保険者要件を満たさない者はカウントされるのかどうか…

こちらについては、上記根拠通達のとおり、「被保険者とすることができない者であっても、当該事業所に常時使用される者についてはこれを算入すべき」とされています。

被保険者となる者が何人いるか、ということが大事なのではなく、「どのくらいの規模の事業所なのか」が大事であることがわかりますね。

本肢は○となり、本問の正解となります。

健康保険法 令和5年第1問 B

厚生労働大臣は、全国健康保険協会(以下本問において「協会」という。)の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、定款若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるときは、期間を定めて、協会又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。協会又はその役員が上記の是正・改善命令に違反したときは、厚生労働大臣は協会に対し、期間を定めて、理事長及び当該違反に係る役員の解任を命ずることができる。

解答の根拠

法第7条の39第2項

根拠条文を確認します。

(監督)
第七条の三十九 
2 協会又はその役員が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、協会に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。

健康保険法

本肢は、「監督」に関する問題です。

とても細かい内容相違問題です。

問題文…理事長及び当該違反に係る役員の解任を命ずることができる。
正しくは…当該違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。

つまり、解任を命ずることができる対象に、「理事長」は含まれません

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第1問 C

全国健康保険協会は、役員として、理事長1人、理事6人以内及び監事2人を置く。役員の任期は3年とする。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事の互選により選ばれた者がその職務を代理し、又はその職務を行う。

解答の根拠

法第7条の10第2項

根拠条文を確認します。

(役員の職務)
第七条の十
2 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。

健康保険法

本肢は、「役員の職務」に関する問題です。

本肢も細かい内容相違問題です。

●理事長に事故・理事長が欠けたとき…
問題文…理事の互選により選ばれた者がその職務を代理し、又はその職務を行う。
正しくは…理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う

つまり、自分(理事長)のピンチヒッターを務める者は、理事長自身が指定する、となります。

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第1問 D

健康保険組合の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密をその理由の如何を問わず漏らしてはならない。

解答の根拠

法第7条の37第1項 / 法第22条の2

根拠条文を確認します。

(秘密保持義務)
第七条の三十七 協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。

(協会の役員及び職員の秘密保持義務に関する規定の準用)
第二十二条の二 第七条の三十七第一項の規定は、健康保険組合の役員及び職員について準用する。

健康保険法

本肢は、「秘密保持義務」に関する問題です。

本肢も細かい内容相違問題です。

●秘密保持義務について…
・問題文…その理由の如何を問わず漏らしてはならない。
・正しくは…正当な理由がなく漏らしてはならない。

100%ダメではなく、「正当な理由」があれば致し方ないときもある…となります。

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第1問 E

食事の提供である療養であって入院療養と併せて行うもの(療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者に係るものを除く。)は、療養の給付に含まれる。

解答の根拠

法第85条第1項

根拠条文を確認します。

(入院時食事療養費)
第八十五条 被保険者(特定長期入院被保険者を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、同条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。

健康保険法

本肢は「入院時食事療養費」に関する問題です。

問題文の表現では、「食事の提供である療養であって入院療養と併せて行うもの」は「療養の給付」に含まれる、とされています。

しかし、正しくは上記根拠条文のとおり、「入院時食事療養費」という独立した給付があり、「療養の給付」の一部として支給されているわけではありません。

本肢は×です。

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