社会保険労務士試験【雇用保険法/徴収法】<令和5年第9問>

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労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

雇用保険法/徴収法 令和5年第9問 A

日雇労働被保険者が負担すべき額を賃金から控除する場合において、労働保険徴収法施行規則第60条第2項に定める一般保険料控除計算簿を作成し、事業場ごとにこれを備えなければならないが、その形式のいかんを問わないため賃金台帳をもってこれに代えることができる。

解答の根拠

則第60条第2項

根拠条文を確認します。

(賃金からの控除)
第六十条
2 前項の場合において、事業主は、一般保険料控除計算簿を作成し、事業場ごとにこれを備えなければならない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「一般保険料控除計算簿」に関する問題です。

事業主は、被保険者に賃金を支払う都度、当該賃金に応ずる被保険者の負担すべき一般保険料の額に相当する額を当該賃金から控除します。

そして、上記根拠条文のとおり、事業主は一般保険料控除計算簿を作成し事業場ごとにこれを備えなければならない、とされています。

この「一般保険料控除計算簿」は、特段決まったフォーマットがあるわけではなく、その形式のいかんを問わない、とされています。

したがって、賃金台帳をもって「一般保険料控除計算簿」とする…という対応でも問題ありません。

本肢は○となり、本問の正解となります。

雇用保険法/徴収法 令和5年第9問 B

事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ、労働保険徴収法施行規則第42条第1項に掲げる事項を記載した申請書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならない。

解答の根拠

則第42条第1項

根拠条文を確認します。

(雇用保険印紙購入通帳)
第四十二条 事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳(様式第一号)の交付を受けなければならない。
一労働保険番号
二事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
三事業の名称、事業の行われる場所及び事業の種類

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「雇用保険印紙購入通帳」に関する問題です。

本肢は、上記根拠条文そのままの出題…と一瞬思いそうですが、よく読んでみると申請書の提出先が、
(問題文)所轄都道府県労働局歳入徴収官
(条文)所轄公共職業安定所長

と異なっています。

単純なひっかけ問題ですが、試験中は見落としそうなので要注意です。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和5年第9問 C

印紙保険料納付計器を厚生労働大臣の承認を受けて設置した事業主は、使用した日雇労働被保険者に賃金を支払う都度、その使用した日の被保険者手帳における該当日欄に納付印をその使用した日数に相当する回数だけ押した後、納付すべき印紙保険料の額に相当する金額を所轄都道府県労働局歳入徴収官に納付しなければならない。

解答の根拠

則第51条第2項

根拠条文を確認します。

(始動票札の交付を受ける方法)
第五十一条
2前項の規定により始動票札の交付を受けようとする者は、当該印紙保険料納付計器により表示することができる印紙保険料の額に相当する金額の総額を、あらかじめ当該印紙保険料納付計器を設置した事業場の所在地を管轄する都道府県労働局収入官吏に納付しなければならない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「印紙保険料納付計器」に関する問題です。

印紙保険料納付計器を厚生労働大臣の承認を受けて設置した事業主は、使用した日雇労働被保険者に賃金を支払うつど、その使用した日の被保険者手帳における該当日欄に納付印をその使用した日数に相当する回数だけ押さなければならない、とされています。

問題文では、「納付印を押した後 ⇒ 納付すべき印紙保険料の額に相当する金額を所轄都道府県労働局歳入徴収官に納付」となっています。

しかし、正しくは上記根拠条文のとおり「あらかじめ当該印紙保険料納付計器を設置した事業場の所在地を管轄する都道府県労働局収入官吏に納付しなければならない。」とされています。

後払いではなく、「前払い」ということですね。

本肢は×。

雇用保険法/徴収法 令和5年第9問 D

事業主は、雇用保険印紙が変更されたときは、その変更された日から1年間、雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所に雇用保険印紙購入通帳を提出し、その保有する雇用保険印紙の買戻しを申し出ることができる。

解答の根拠

則第43条第2項

根拠条文を確認します。

(雇用保険印紙の購入等)
第四十三
2 事業主は、次の各号の場合においては、雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所に雇用保険印紙購入通帳を提出し、その保有する雇用保険印紙の買戻しを申し出ることができる。ただし、第三号に該当する場合においては、その買戻しの期間は、雇用保険印紙が変更された日から六月間とする。
一 雇用保険に係る保険関係が消滅したとき。
二 日雇労働被保険者を使用しなくなつたとき(保有する雇用保険印紙の等級に相当する賃金日額の日雇労働被保険者を使用しなくなつたときを含む。)。
三 雇用保険印紙が変更されたとき。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「雇用保険印紙の購入」に関する問題です。

事業主は、保険関係が消滅したり日雇労働被保険者を使用しなくなり、購入した雇用保険印紙を使わなくなった場合に、郵便局に買戻しを請求することができます。

もう一つ、買戻しを請求できるケースとして「雇用保険印紙が変更されたとき」があります。

ただし、上記根拠条文のとおり、この場合だけは「変更された日から六月間」という期限が定められています。

無期限で認めていると、いつまで経っても新しい印紙に変わらないので、期限を設けているわけですね。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和5年第9問 E

日雇労働被保険者を使用する事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、雇用保険印紙を日雇労働被保険者手帳に貼付することを故意に怠り、1,000円以上の額の印紙保険料を納付しなかった場合、労働保険徴収法第46条の罰則が適用され、6月以下の懲役又は所轄都道府県労働局歳入徴収官が認定決定した印紙保険料及び追徴金の額を含む罰金に処せられる。

解答の根拠

法第25条第2項 / 法第46条第1号

根拠条文を確認します。

第四十六条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。労災保険法第三十五条第一項に規定する団体が第五号又は第六号に該当する場合におけるその違反行為をした当該団体の代表者又は代理人、使用人その他の従業者も、同様とする。
一 第二十三条第二項の規定に違反して雇用保険印紙をはらず、又は消印しなかつた場合

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(印紙保険料の決定及び追徴金)
第二十五条
2 事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠つたときは、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により決定された印紙保険料の額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)の百分の二十五に相当する額の追徴金を徴収する。ただし、納付を怠つた印紙保険料の額が千円未満であるときは、この限りでない。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「罰則・追徴金」に関する問題です。

本肢は、以下の2つの事象がごちゃ混ぜになっているので、しっかり整理して考える必要があります。

まずは「雇用保険印紙を貼るべきなのに貼らず、消印をしなかった」

これに対しては、上記根拠条文(法第46条第1項第1号)にあるとおり、「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という罰則が科せられます。

次に「正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を怠ったとき」

これに対しては、上記根拠条文(法第25条第2項)にあるとおり、「印紙保険料の額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)の100分の25に相当する額の追徴金を徴収する。ただし、納付を怠った印紙保険料の額が1,000円未満であるときは、この限りでない。」と、追徴金が課せられます。

しっかりと分けて考えましょう。

本肢は×です。

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