就職促進給付に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
A (ア と イ)
B (ア と ウ)
C (イ と エ)
D (ウ と オ)
E (エ と オ)
雇用保険法 令和5年第5問 ア
障害者雇用促進法に定める身体障害者が1年以上引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就いた場合、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であれば就業促進手当を受給することができない。
法第56条の3第1項第2号
根拠条文を確認します。
(就業促進手当)
第五十六条の三 就業促進手当は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。
二 厚生労働省令で定める安定した職業に就いた受給資格者(当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の三分の一未満である者に限る。)、高年齢受給資格者(高年齢求職者給付金の支給を受けた者であつて、当該高年齢受給資格に係る離職の日の翌日から起算して一年を経過していないものを含む。以下この節において同じ。)、特例受給資格者(特例一時金の支給を受けた者であつて、当該特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して六箇月を経過していないものを含む。以下この節において同じ。)又は日雇受給資格者(第四十五条又は第五十四条の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者をいう。以下同じ。)であつて、身体障害者その他の就職が困難な者として厚生労働省令で定めるもの雇用保険法
本肢は、「就業促進手当」に関する問題です。
上記根拠条文の通り、就業促進手当は「当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1未満である者に限る」と定められています。
そのため、支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であれば設問の常用就職支度手当を受給することができます。
本肢は×です。
雇用保険法 令和5年第5問 イ
受給資格者が1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就いた日前3年の期間内に厚生労働省令で定める安定した職業に就いたことにより就業促進手当の支給を受けたことがあるときは、就業促進手当を受給することができない。
法第56条の3第2項 / 則第84条の4
根拠条文を確認します。
(就業促進手当)
第五十六条の三
2受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者(第五十八条及び第五十九条第一項において「受給資格者等」という。)が、前項第一号ロ又は同項第二号に規定する安定した職業に就いた日前厚生労働省令で定める期間内の就職について就業促進手当(同項第一号イに該当する者に係るものを除く。以下この項において同じ。)の支給を受けたことがあるときは、前項の規定にかかわらず、就業促進手当は、支給しない。雇用保険法
(法第五十六条の三第二項の厚生労働省令で定める期間)
第八十二条の四 法第五十六条の三第二項の厚生労働省令で定める期間は三年とする。雇用保険法施行規則
本肢は、「就業促進手当」に関する問題です。
短期の離職⇒就職を繰り返した場合、再度就業促進手当は受給できるのでしょうか。
もともとの給付の趣旨としては、再就職をしたことに対するインセンティブなので、原則は支給することとなりますが、あまりにも短期間だと対象外となります。
その基準が、上記根拠条文(施行規則)にあるとおり、「3年」とされています。
本肢は○です。
雇用保険法 令和5年第5問 ウ
受給資格者が公共職業安定所の紹介した雇用期間が1年未満の職業に就くためその住居又は居所を変更する場合、移転費を受給することができる。
則第86条但書
根拠条文を確認します。
(移転費の支給要件)
第八十六条 移転費は、受給資格者等が公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者(職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)第十三条の二第二項に規定する者を除く。第九十四条及び第九十五条において同じ。)の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合であつて、次の各号のいずれにも該当するときに支給するものとする。ただし、その者の雇用期間が一年未満であることその他特別の事情がある場合は、この限りでない。雇用保険法
本肢は、「移転費」に関する問題です。
移転費は、就職に伴い引っ越しをした場合に支給される手当です。
原則は引っ越しすればもらえるものですが、上記根拠条文にあるとおり「雇用期間が1年未満」の就職に伴う引っ越しは対象外とされています。
安定した=長く働ける就職に伴う引っ越しの手当、という考えなのでしょう。
本肢は×です。
雇用保険法 令和5年第5問 エ
職業に就いた者(1年を超え引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就く等、安定した職業に就いた者を除く。)であって当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上のものに対して支給される就業促進手当の額は、雇用保険法第56条の3にいう基本手当日額に10分の3を乗じて得た額である。
法56条の3第1項
根拠条文を確認します。
(就業促進手当)
第五十六条の三
3就業促進手当の額は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一第一項第一号イに該当する者現に職業に就いている日(当該職業に就かなかつたこととした場合における同日から当該就業促進手当に係る基本手当の受給資格に係る第二十条第一項及び第二項の規定による期間(第三十三条第三項の規定に該当する受給資格者については同項の規定による期間とし、次条第一項の規定に該当する受給資格者については同項の規定による期間とする。)の最後の日までの間に基本手当の支給を受けることができることとなる日があるときに限る。)について、第十六条の規定による基本手当の日額(その金額が同条第一項(同条第二項において読み替えて適用する場合を含む。)に規定する一万二千九十円(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)に百分の五十(受給資格に係る離職の日において六十歳以上六十五歳未満である受給資格者にあつては、百分の四十五)を乗じて得た金額を超えるときは、当該金額。以下この条において「基本手当日額」という。)に十分の三を乗じて得た額雇用保険法
本肢は、「就業促進手当」に関する問題です。
こちらは条文通りの出題です。
問題文には「雇用保険法第56条の3にいう基本手当日額に10分の3を乗じて得た額」とあり、上記黄色マーカー部分にあるとおり、「十分の三を乗じて得た額」となります。
ちなみに、前段の「雇用保険法第56条の3にいう基本手当日額」というのは、上記根拠条文内の青マーカー部分になりますので、念のため一読しておいてください。
本肢は○です。
雇用保険法 令和5年第5問 オ
受給資格者が公共職業安定所の職業指導に従って行う再就職の促進を図るための職業に関する教育訓練を修了した場合、当該教育訓練の受講のために支払った費用につき、教育訓練給付金の支給を受けていないときに、その費用の額の100分の30(その額が10万円を超えるときは、10万円)が短期訓練受講費として支給される。
則第100条の3
根拠条文を確認します。
(短期訓練受講費の額)
第百条の三 短期訓練受講費の額は、受給資格者等が前条に規定する教育訓練の受講のために支払つた費用の額に百分の二十を乗じて得た額(その額が十万円を超えるときは、十万円)とする。雇用保険法施行規則
本肢は「短期訓練受講費」に関する問題です。
本肢は単純な数値入れ替え問題です。
短期訓練受講費の額は、受給資格者等が所定の教育訓練の受講のために支払った費用の額の、100分の30…ではなく、100分の20を乗じて得た額(その額が10万円を超えるときは、10万円)となります。
本肢は×です。
以上から、正しい選択肢は「イ」と「エ」となりますので、「C」が正解となります。