労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問においては保険年度の中途に特別加入者の事業の変更や異動等はないものとする。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第8問 A
中小事業主等が行う事業に係る労災保険率が1,000分の4であり、当該中小事業主等が労災保険法第34条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者である場合、当該者に係る給付基礎日額が12,000円のとき、令和5年度の保険年度1年間における第1種特別加入保険料の額は17,520円となる。
法第13条 / 則第21条第1項
根拠条文を確認します。
(第一種特別加入保険料の額)
第十三条 第一種特別加入保険料の額は、労災保険法第三十四条第一項の規定により保険給付を受けることができることとされた者について同項第三号の給付基礎日額その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める額の総額にこれらの者に係る事業についての第十二条第二項の規定による労災保険率(その率が同条第三項の規定により引き上げ又は引き下げられたときは、その引き上げ又は引き下げられた率)と同一の率から労災保険法の適用を受けるすべての事業の過去三年間の二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣の定める率を減じた率(以下「第一種特別加入保険料率」という。)を乗じて得た額とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律
(第一種特別加入保険料の算定基礎)
第二十一条 法第十三条の厚生労働省令で定める額は、労災保険法第三十四条第一項の規定により労災保険法の規定による保険給付を受けることができることとされた者(以下「第一種特別加入者」という。)の労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額とする。ただし、保険年度の中途に新たに第一種特別加入者となつた者又は労災保険法第三十三条第一号及び第二号に掲げる者に該当しなくなつた者(労災保険法第三十四条第二項の政府の承認又は同条第三項の規定による承認の取消しがあつた者を含む。)の法第十三条の厚生労働省令で定める額は、労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額を十二で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げる。)に当該者が当該保険年度中に第一種特別加入者とされた期間の月数(その月数に一月未満の端数があるときは、これを一月とする。)を乗じて得た額とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は、「第1種特別加入保険料(継続事業)」に関する問題です。
まず、第1種特別加入保険料の額は、上記根拠条文(法第13条)から「特別加入保険料算定基礎額の総額 × 第1種特別保険料率」であることがわかります。
こちらを問題文に当てはめると…
⇒特別加入保険料算定基礎額(12,000円×365日)×第1種特別保険料率(4/1000)
⇒17,520円
となります。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第8問 B
有期事業について、中小事業主等が労災保険法第34条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者である場合、当該者が概算保険料として納付すべき第1種特別加入保険料の額は、同項の承認に係る全期間における特別加入保険料算定基礎額の総額の見込額に当該事業についての第1種特別加入保険料率を乗じて算定した額とされる。
法第13条 / 則第21条第2項
根拠条文を確認します。
(第一種特別加入保険料の算定基礎)
第二十一条 2 有期事業については、第一種特別加入者の法第十三条の厚生労働省令で定める額は、前項の規定にかかわらず、労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額を十二で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げる。)に当該者が労災保険法第三十四条第一項第一号の規定により当該事業に使用される労働者とみなされるに至つた日から当該者が労災保険法第三十三条第一号及び第二号に掲げる者に該当しなくなつた日(当該日前に労災保険法第三十四条第二項の政府の承認又は同条第三項の規定による承認の取消しがあつたときは、当該承認又は承認の取消しがあつた日)までの期間の月数(その月数に一月未満の端数があるときは、これを一月とする。)を乗じて得た額とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は、「第1種特別加入保険料(有期事業)」に関する問題です。
肢Aと同じなのは「第1種特別加入保険料」であること、異なるのは、肢Aは継続事業でしたが、本肢は「有期事業」の話になります。
有期事業の第1種特別加入保険料の額は、当該特別加入の承認に係る全期間における特別加入保険料算定基礎額の総額の見込額に、当該事業についての第1種特別加入保険料率を乗じて算定した額となります。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第8問 C
労災保険法第35条第1項の規定により労災保険の適用を受けることができることとされた者に係る給付基礎日額が12,000円である場合、当該者の事業又は作業の種類がいずれであっても令和5年度の保険年度1年間における第2種特別加入保険料の額が227,760円を超えることはない。
法第14条第1項 / 則第22条 / 則別表第5
根拠条文を確認します。
(第二種特別加入保険料の額)
第十四条 第二種特別加入保険料の額は、労災保険法第三十五条第一項の規定により労災保険の適用を受けることができることとされた者(次項において「第二種特別加入者」という。)について同条第一項第六号の給付基礎日額その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める額の総額に労災保険法第三十三条第三号の事業と同種若しくは類似の事業又は同条第五号の作業と同種若しくは類似の作業を行う事業についての業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率(労災保険法第三十五条第一項の厚生労働省令で定める者に関しては、当該同種若しくは類似の事業又は当該同種若しくは類似の作業を行う事業についての業務災害及び複数業務要因災害に係る災害率)、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣の定める率(以下「第二種特別加入保険料率」という。)を乗じて得た額とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律
(第二種特別加入保険料の算定基礎)
第二十二条 法第十四条第一項の厚生労働省令で定める額は、労災保険法第三十五条第一項の規定により労災保険法の規定による保険給付を受けることができることとされた者(以下「第二種特別加入者」という。)の労災則第四十六条の二十四において準用する労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額とする。ただし、保険年度の中途に新たに第二種特別加入者となつた者又は労災保険法第三十三条第三号から第五号までに掲げる者に該当しなくなつた者(労災保険法第三十五条第三項又は第四項の規定により保険関係が消滅した団体の構成員である者を含む。)の法第十四条第一項の厚生労働省令で定める額は、労災則第四十六条の二十四において準用する労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額を十二で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げる。)に当該者が当該保険年度中に第二種特別加入者とされた期間の月数(その月数に一月未満の端数があるときは、これを一月とする。)を乗じて得た額とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は、「第2種特別加入保険料」に関する問題です。
第2種であったとしても、計算式は肢Aと同じ「特別加入保険料算定基礎額の総額 × 特別保険料率」となります。
保険料率は業種によって様々ですが、一番高いのは林業の「52/1000」です(これは覚えておきましょう)
それをもとに保険料を計算してみると…
⇒12,000円 × 365日 × 52/1,000 = 227,760円
となります。
つまり問題文にあるとおり、第2種特別加入保険料の額が227,760円を超えることはないわけですね。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第8問 D
フードデリバリーの自転車配達員が労災保険法の規定により労災保険に特別加入をすることができる者とされた場合、当該者が納付する特別加入保険料は第2種特別加入保険料である。
労災則第46条の17第1項第1号
根拠条文を確認します。
第四十六条の十七 法第三十三条第三号の厚生労働省令で定める種類の事業は、次のとおりとする。
一 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業労働者災害補償保険法施行規則
本肢は、「第2種特別加入」に関する問題です。
フードデリバリーとは、時代を反映した問題ですね。
上記根拠条文の通り、「フードデリバリーの自転車配達員」は、「自転車を使用して行う貨物の運送の事業」に該当するため、第2種特別加入の対象となります。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和5年第8問 E
中小事業主等が行う事業に係る労災保険率が1,000分の9であり、当該中小事業主等に雇用される者が労災保険法第36条第1項の規定により保険給付を受けることができることとされた者である場合、当該者に係る給付基礎日額が12,000円のとき、令和5年度の保険年度1年間における第3種特別加入保険料の額は39,420円となる。
則第23条の2 / 則第23条の3
根拠条文を確認します。
(第三種特別加入保険料の算定基礎)
第二十三条の二 法第十四条の二第一項の厚生労働省令で定める額は、第三種特別加入者の労災則第四十六条の二十五の三において準用する労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額とする。ただし、保険年度の中途に新たに第三種特別加入者となつた者又は労災保険法第三十三条第六号及び第七号に掲げる者に該当しなくなつた者(労災保険法第三十六条第二項で準用する労災保険法第三十四条第二項の政府の承認又は労災保険法第三十六条第二項で準用する労災保険法第三十四条第三項の承認の取消しがあつた者を含む。)の法第十四条の二第一項の厚生労働省令で定める額は、労災則第四十六条の二十五の三において準用する労災則第四十六条の二十第一項の給付基礎日額に応ずる別表第四の右欄に掲げる額を十二で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げる。)に当該者が当該保険年度中に第三種特別加入者とされた期間の月数(その月数に一月未満の端数があるときは、これを一月とする。)を乗じて得た額とする。(第三種特別加入保険料率)
第二十三条の三 法第十四条の二第一項の第三種特別加入保険料率は、千分の三とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は「第3種特別加入保険料」に関する問題です。
第3種であったとしても、計算式は肢Aと同じ「特別加入保険料算定基礎額の総額 × 特別保険料率」となります。
第3種の保険料は、上記根拠条文の通り「3/1000」ですが、問題文では「9/1000」としているため誤りとなります。
本肢は×となり、本問の正解となります。