労働安全衛生法の健康診断に係る規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
労働安全衛生法 令和5年第10問 A
事業者は、労働安全衛生法第66条第1項の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
法第66条の4
根拠条文を確認します。
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
労働安全衛生法
第六十六条の四 事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
本肢は、「健康診断の結果についての医師等からの意見聴取」に関する問題です。
上記根拠条文の通りのストレートな問題です。
労働者に健康診断を受けさせたら、受けさせっぱなしではダメです。
事業者は、その健康診断結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師又は歯科医師の意見を聴くことが義務付けられています。
本肢は○となり、本問の正解となります。
労働安全衛生法 令和5年第10問 B
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならないが、医師による健康診断を受けた後、6月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
則第43条
根拠条文を確認します。
(雇入時の健康診断)
労働安全衛生規則
第四十三条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
本肢は、「雇入時の健康診断」に関する問題です。
単純な数値入れ替えの問題です。
問題文:6か月
↓
正:3ヶ月
となります。
半年も経っていたら、健康診断の結果も変わるかもしれませんからね。
本肢は×です。
労働安全衛生法 令和5年第10問 C
事業者(常時100人以上の労働者を使用する事業者に限る。)は、労働安全衛生規則第44条の定期健康診断又は同規則第45条の特定業務従事者の健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、遅滞なく、所定の様式の定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
則第52条第1項
根拠条文を確認します。
(健康診断結果報告)
労働安全衛生規則
第五十二条 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、第四十四条又は第四十五条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
本肢は、「健康診断結果報告」に関する問題です。
単純な数値入れ替えの問題です。
問題文:常時100人以上
↓
正:常時50人以上
となります。
衛生管理者の選任要件など、他の規定も「50人」という数字が、一つの基準となっているものが安衛法には多いので、セットで覚えておきましょう。
本肢は×です。
労働安全衛生法 令和5年第10問 D
事業者は、労働安全衛生規則第44条の定期健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)を通知しなければならない。
則第51条の4
根拠条文を確認します。
(健康診断の結果の通知)
労働安全衛生規則
第五十一条の四 事業者は、法第六十六条第四項又は第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
本肢は、「健康診断の結果の通知」に関する問題です。
当たり前ですが、試験でも健康診断でも「結果は受けた人、全員に通知する」
問題文では、「(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)」とありますが、もちろん健康診断を受けた人の多くは「異常の所見がない方」
異常の所見がなかった方にも、遅滞なく結果を通知する必要があります。
本肢は×です。
労働安全衛生法 令和5年第10問 E
労働者は、労働安全衛生法の規定により事業者が行う健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行う健康診断を受けることを希望しない場合において、その旨を明らかにする書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
法第66条第5項
根拠条文を確認します。
(健康診断)
労働安全衛生法
第六十六条
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
本肢は「健康診断」に関する問題です。
問題文と上記根拠条文を見比べてみると…
問題文:その旨を明らかにする書面
↓
正:その結果を証明する書面
健康診断は、労働者の健康を確保するのに必要な措置です。
事業者の指定した医師・歯科医師ではなく、自分の好みの医師・歯科医師による健康診断を受けても良いですが、健康診断受診を徹底するには、ただ「別の医師・歯科医師で健康診断を受けます!」という書面でなく、「ちゃんと別のところで受診しましたよ」という結果を提出してもらわないといけません。
本肢は×です。