社会保険労務士試験【労働基準法】<令和5年第1問>

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下記のとおり賃金を支払われている労働者が使用者の責に帰すべき事由により半日休業した場合、労働基準法第26条の休業手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

賃  金:日給 1日 10,000円
     半日休業とした日の賃金は、半日分の5,000円が支払われた。
平均賃金:7,000円

労働基準法 令和5年第1問 A

使用者は、以下の算式により2,000円の休業手当を支払わなければならない。
7,000円 – 5,000円 = 2,000円

解答の根拠

昭和27年8月7日基収3445号

根拠通達を確認します。

一日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない

昭和27年8月7日基収3445号

本問全体が「休業手当」に関する問題です。

根拠となるのは、全肢上記の根拠通達となりますので、これに従って検討をしていきます。

まず肢Aを確認します。

休業手当は「平均賃金の100分の60以上の手当」ですが、こちらは絶対におさえておきましょう。

今回の問題のポイントは、一日まるまる休んでいるわけではなく、一日の一部を休業した際の取り扱いがどうなるか、になります。

その場合は、下記の取り扱いとなります・

●一日の一部を休業した場合の休業手当

現実に就労した時間に対して支払われる賃金 ー 平均賃金の100分の60

 設問では、平均賃金は、7,000円であるので、原則的な休業手当の額は、4,200円(7,000円 × 0.6)であり、その日の賃金(5,000円)が休業手当の額を上回るので、使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しない。

これを問題文のケースにあてはめてみます。

・現実に就労した時間に対して支払われる賃金 = 5000円
・平均賃金の100分の60 =7000円 × 100分の60 = 4200円

上記の通り、既に実際に支払われている賃金が平均賃金の100分の60を超えているため、休業手当の支給をする必要がない、となります。

本肢は×です。

労働基準法 令和5年第1問 B

半日は出勤し労働に従事させており、労働基準法第26条の休業には該当しないから、使用者は同条の休業手当ではなく通常の1日分の賃金10,000円を支払わなければならない。

解答の根拠

昭和27年8月7日基収3445号

考え方は肢Aと同じです。

本問のケースでは、最低でも「4200円」が労働者に補償されている必要があります。

そのため、問題文にあるように、10000円を支払う必要はありません。

本肢は×です。

労働基準法 令和5年第1問 C

使用者は、以下の算式により1,000円の休業手当を支払わなければならない。
10,000円 × 0.6 – 5,000円 = 1,000円

解答の根拠

昭和27年8月7日基収3445号

考え方は肢Aと同じです。

本問のケースでは、最低でも「4200円」が労働者に補償されている必要があります。

これは肢Aで計算した通り、「平均賃金」の100分の60で算出される金額です。

肢Cでは日給(10000円)に100分の60をかけてしまっているので誤りとなります。

本肢は×です。

労働基準法 令和5年第1問 D

使用者は、以下の算式により1,200円の休業手当を支払わなければならない。
(7,000円 – 5,000円)× 0.6 = 1,200円

解答の根拠

昭和27年8月7日基収3445号

考え方は肢Aと同じです。

本問のケースでは、最低でも「4200円」が労働者に補償されている必要があります。

これは肢Aで計算した通り、「平均賃金」の100分の60で算出される金額です。

肢Dでは、平均賃金から一部働いた部分の賃金「5000円」を差し引いた額(2000円)に100分の60をかけていますので、誤った計算となります。

本肢は×です。

労働基準法 令和5年第1問 E

使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しない。

解答の根拠

昭和27年8月7日基収3445号

考え方は肢Aと同じです。

肢Aの解説でも触れましたが、本問のケースの結論は「既に実際に支払われている賃金が平均賃金の100分の60を超えているため、休業手当の支給をする必要がない」となります。

肢Eの問題文がその結論となっておりますので、正しい内容となります。

本肢は○となり、本問の正解となります。

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